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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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Codependency』番外。召使視点。


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あの二人はもう駄目ですよ。からきしイカれておりましょう。ズブズブのどぉろどろ、誰にも引き離せやしない。どっちも、そうしたいと思ってなってるわけじゃないと考えてなさるんでしょう? そりゃあそうだ、経緯を辿っても、現状あたしたちの目に見えるお立場一つ取ったって、舌にとろける甘い恋情なんかちィとも見当たらないと来た。あの方はあの子を拾っただけ。ボロボロの、布きれみたいに転がってたあの子を拾って、世話して磨いてやって。そうしたら想像よりも使い勝手が良いから? それなりに大事にして近くに置いてるだけだって、そう思っていなさる。まぁ確かにあの子は察しが良い。我も張らないし、お閨だって悪くないみたいだ。手に馴染むっていやそうだろうよ。でもねぇ、それだけじゃあない。あの子は毒でもあるからさ。そこにじっとしているだけで、存在してるだけで害になるんだ。だって考えてもみてごらん、あの子は彼の国の民だ。しかも王族でも何でもない、その辺に打ち捨てられていた娘。その娘を、戦の司令官だったあの方が連れ帰って、しかも王様になったときたら! 

あの子の“仕事”は知ってるよ。あの方は表向きただの妾のように扱って、隠していなさるつもりだが、もうこんな下女の口端にまで上がっている。当然、憎む連中も現れるだろうね……そのせいで不利益を被った商売敵も、親兄弟を殺されちまった人間だっているんだからさ。おっと、これは喋り過ぎたね、いけないいけない。とにかく、そんな女の腹が膨れて――その内に何が宿るかなんて、怖くて考えたくもないね。きっと人ならざる者が生まれてくる。そうでなくたって、どうやっても混ざりものなんだよ、王家に連ねて良いものなのかい? 認められないよ、誰にだってね。あの子にもそれがわかってるんだ――だからあんなに子堕ろしの草を――ええ、何でもありゃしませんよ。いや、館に住んでた時からね、こう、必ず森に分け入ってね。畑じゃ作れないもんだからね。あの子が夜伽をするようになって間もないころに、聞かれて教えてやったのさ。いや、違う違うあの子は玄人だよ? あたしが教えてやったのは、草の生えてる場所だけさ。まぁ良い、あの方に知られたら面倒なことになるからね。あの方の意を汲んでしていたことだとは思うけれど、じゃあ何でそれが起きちまったのか、ってまた恐ろしい話になるからね。あんたの胸に秘めといておくれ。

まぁあの二人の一番の問題は、他にないと思ってる事さ。お互いに、相手のことをね。それから今の二人の繋がりのことを。あの関係以外にないと思ってるのさ。だからしょうがない、とね。不本意なんだよ、二人とも――でもあんた、あたしに言わせりゃね、そう思っちまうこと自体が愛なんじゃないの? そう呼んじゃいけないのかい? 互いにたった一人の人を見つけたら、世間じゃ愛って言うだろう? 替えが利くと思ってるなら実際にやってみたら良いんだ。良い薬草を煎じる者より利口な医者を、劇薬の代わりに優秀な暗殺者を、ってね。あの方に反感を持ってる者なら山ほどいる。ご身分のある方の中にもね。その内の一人に、戦であの方がした非道を訴えれば良いのさ。乱暴されて無理矢理連れてこられたとか、でっちあげたってそれなりに説得力のある状況だろ? 相手はあの方の弱味を掴んだと思って大事にするさ。上手くすりゃあ故郷(くに)に帰れるかもしれないんだ。でもね、あの二人はそうしないのさ。“こうするしかない”を言い訳にしてズルズル寄りかかり続けてるんだよ。そういうことにしてるんだ、認められないんだよ、必要もないのに寄り添ってる現実を、さ。

 



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拍手ありがとうございます。
現代・幼なじみ・高校生SSS。オチは無いが和む話が書きたかった。

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「ヒロく~ん! ヒロくん、起きて、朝だよっ!」
 
シャッ、とカーテンレールが動く音と共に差し込んできた眩しい光に続いて響いた明るい大声。
 
「ん~、ん、もうちょっとだけ寝かせて……って、ミキ!?」
 
もぞもぞと布団の奥に潜り込みながら、いつもの母親とは違う声の持ち主を思い出す。
 
「うん、ミキです」
 
慌てて身を起こした俺の目の前には、くりくりとしたつぶらな瞳の少女がニコニコしながらのしかかっていた。
 
「おまえ、何でここにいんだよ!?」
 
「だ~って、こないだの初デートの時ヒロくん遅刻したから。今日は絶対寝坊させないようにわざわざ来てあげたんじゃない」
 
ふにっ、と頬を押す指の感触に、顔が赤く染まっていくのが分かる。
ミキ―― 一つ年下の幼なじみである彼女に寄せられていた好意には、ずっと前から気づいていた。物心つく前から当たり前のように一緒にいて、ミキが俺の後を追いかけてくるのも、少し離れたところで彼女を待ち続けるのも、馴染んだ情景で呼吸だった。ほんの一年後にはまた一緒に通えるようになるというのに、小学校や中学校を卒業する度に大泣きして俺の名札やボタンを欲しがった彼女。
俺の高校に入るために、寝る間も惜しんで机に向かい続けるミキの傍で、何だかんだ質問には答え、時には隣町のケーキ屋に何時間も並んで買った差し入れを持っていき、かいがいしくココアなんぞも淹れてやっていた自分の気持ちがどこにあるかも、とっくの昔に分かっていた。だから、合格報告に来たミキにほころびかけの蕾の下で告白された時――嬉しさより先に『やっとか』、と安堵の気持ちが訪れたのだ。
付き合い始めてからも、特に緊張したりミキが俺に対して遠慮しているような様子も無かったけれど、やっぱりそこは年頃の男子、大好きな彼女といれば触れたいとか、年上の男なんだからリードしなきゃとか、諸々の欲望や理想がないまぜになって、悶々としつつある今日この頃。
初デートの前日も、プランやコースをつい色々考え過ぎて眠れなかったと、どうして告げることができるだろう。……結局、慌ててマスコットキャラクターの気ぐるみからもらってきた風船で、おかんむりのミキもすぐ笑顔になったのだが。ジェットコースターでやたらとくっついてくる彼女は可愛かったなぁ、とか、観覧車のてっぺんでした初めてのキスの味とか、プランは全く意味をなさなかったけれど、大切な思い出が沢山できた、二人の関係が一歩進んだあの日。二回目は同じ過ちを繰り返すまい、と思ってはいたんだけどなぁ……。
 
「ヒロくん、ほらボーッとしてないで! 今日は水族館に行くんでしょ!? イルカショー、見れなくなっちゃうよ」
 
ペチペチとほっぺたを叩かれて現実に目覚める。
 
「おまえホント変わんねーなぁ……学校のプールに連れてけ、って騒いでた小1の頃から何にも成長してないんじゃねーの?」
 
自分の部屋、彼女と二人、ベッドの上、という限りなくオイシイ状況にも関わらず余りにも色気の無い展開にぼやいてみせると、ミキはぷうっと頬を膨らませて
 
「失礼ね、ちゃんと育ってます! ……ほら、ね」
 
チュッ、と頬に優しく触れた唇に、サッと身を起こすと彼女はそそくさと離れて扉へと向かった。
 
「目玉焼き、焼いてあげるから早く着替えて降りてきてね!」
 
しばらくポカン、と口を開けて頬を押さえた俺に向かって告げられた言葉。
 
「あれ、おまえスクランブルエッグしか作れないんじゃなかったっけ?」

からかうように問いかけると、ミキはまたムッとした様子で振り返る。
 
「だーかーら、どうしてそうやって私のこと子供扱いするの!? ベーコンエッグだって、ハムエッグだって、作れるようになったもん! 将来、毎朝作ってあげたい人がいるから」
 
今度こそ扉をパタンと閉めて、慌てて階段を駆け下りていく彼女の足音に、俺の頬を支配していた熱は耳にまで伝播し、口の端はだらしなく緩んだ。
 
「やっべ……かわいい」
 
遂には声にまで溢れ出た想い。幸せはすぐ傍に、些細な日常の中にこそある。単純で大切なことを教えてくれた君と、これからもずっと――ずっと笑って、過ごしていけたら。






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ようやくネット復旧しました。地震の詩です。
かなり個人的なことなのでネタとしてのまとまりは無いです。

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朝、東の海が青いきらめきを放つ。
遠く見ゆる小舟に飛沫が泡立ち、海鳥の鳴き声が太陽に歌う。
夜、西の街が極彩の輝きをまき散らす。
とりどりの明かりが空を照らし、寄り添い眺める恋人たちの溜息が洩れる。
眩しい海、美しい街。生きていた、生きていた。

大地が轟き、大波が襲う。
海は泥に、街は闇に。

朝、東には何も見えず。
舟も、家も、人も。プロペラ音が空しく響く。
夜、西に広がるのは暗闇。
黒、黒、黒。静寂だけがそこにある。
澱んだ海、止まった街。生きている、生きている。

音が聞こえる。光が見える。一つ、また一つと増えていく。
取り戻す。海、街、鮮やかな色に満ちたあの日々を。






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昨日の流れで卒業ネタポエム(笑)

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中学の卒業式でボタンをくれたケイくん。初めてのメル友のゆーちゃん。バンドマンのタケル。アイドルのマツシュン。毎朝電車で顔を合わせる、名前も知らない他校の男子。
たくさん恋した。たくさんときめいて、たくさん泣いて、たくさん笑った。
 
幼稚園からずっと一緒のみーちゃん。入学式で席が隣だったヤマグチ。転校生のサトミ。副部長として頼りない部長を支えてくれたまりっぺ。塾でいつも模試の成績を競っていた、話したこともない眼鏡の女の子。
たくさん喧嘩した。中には勝手に闘志を燃やしただけの相手もいるけど、たくさん怒って、たくさん泣いて、たくさん仲直りした。
 
生んでくれたお父さんとお母さん。憧れの先輩。部の指導に来るOGのコーチ。頭髪の心配な担任。生徒指導の体育教師。優しい保健医。ちょっと口うるさいゴミ拾いのおじさん。
たくさん叱られた。たくさん悔しがって、たくさん泣いて、たくさん学んだ。
 
初めて一人でしたメイク。二人で行ったカラオケ。ぎゅうぎゅう詰めで撮ったプリクラ。狭いホテルの一室に寄り集まって喋り続けた修旅の夜。部活のみんなで行ったお好み焼き屋さん。見知らぬ人とも盛り上がれた、大好きなアイドルのコンサート。
たくさんはしゃいだ。たくさん叫んで、たくさん歌って、たくさん笑った。
 
夕暮れに染まる教室。木漏れ日を反射するサッシの煌めき。黒板の緑に浮き上がる白墨、雨が降ると臭う机の隅に開けられた穴。軋む椅子。無造作に積まれた資料集。袖のほつれたジャージ。襞の取れかかったスカート。色あせた靴下。
たくさん眺めた。たくさん座った。たくさん着て、たくさん履いた。
 
笑って、泣いて、怒り、学んだ。長いようで短い時間、少ないようで多い思い出。ここで出会った“たくさん”が、今の私に確かに息づく。これまでを生き、これからも生きる。今はまだ、道の途中――














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たくさんの物事と出会い、色々な人とたくさん話をして、しばらく経ってからでもどんなことがあったかふと思い出す瞬間があったり、久々の再会でも昔どんな話をしたか思い出せる関係を築けるってのはやっぱりこの世代ならではなんだろうなぁ、と。
 


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拍手ありがとうございます。
ちょっと『転換点はまだ見えない』とリンク。時事ネタっぽい。

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「これはシン、これはアダム、これはハピ、これはトガ……」
 
ひとひら、ひとひら白い花びらをむしりながら歌うように囁き続ける女の姿に、アレスは足を止め声をかけた。
 
「何をしてるんだ、ぺルセポネ?」
 
女――冥府の神ハデスの妻・ぺルセポネの夢の彼方をたゆたうような瞳が、雄々しき戦いの神を捉え柔らかく歪められる。
 
「この頃ハデスの元にやってくる子たちがね、どういうわけかみんなこの花を携えてくるの。とても綺麗で、良い香り……無性に撒き散らしたくなるでしょう?」
 
麗しき女神の微笑みは、荒々しき軍神の背筋に一筋の寒気をもたらした。
 
「清純・素直・愛……おまえはその花の意味を知っているのか?」
 
傍らに座したアレスに、ぺルセポネはまたゆるりと視線を手の中の花へと戻す。
 
「知らないわ。ただ、この花が紅にも黒にも染まることだけは知っている」
 
低められた声にアレスは苦々しく顔を俯ける。ぺルセポネは白い花弁を空高くに放り、舞い落ちる花びらを抱えるように腕を広げた。
 
「一つの国を作るために二百万の血が流れたのだもの。きっとまだまだ、この花は散る。血塗れの腕(かいな)に抱かれて黄泉の国へとやってくる」
 
倒錯的な科白に、アレスは堪え切れず声を上げる。
 
「人々が俺を求めるから、俺はここにいるんだ! 彼らは俺を必要としている、だから力を貸した。そこから先はハデスの領域のはずだろう!」
 
叫びの中に込められた夫の名前に、女神は大きな瞳を丸く見開き、戦いの神に向き合った。
 
「あなたを責めてる訳じゃない。そんなことを言い出せば、そもそも私とハデスがいなければ人の世に――彼らに“死”は訪れなかったのかもしれないもの」
 
そう告げて足元にしゃがみ込むと、ぺルセポネは花の色に負けぬほど白い指で、散らばった花びらを一枚、一枚丁寧に拾い出す。
 
「私たちはただ“待つ”ことしかできない。でもね、できることなら私は――摘まれた花ではなく生きて在る花を、いつかこの目で見たいと思うわ」
 
女神の笑顔にようやく花のごとき温もりを見出すと、固く張りつめた軍神の肩は初めてかすかな揺らぎを見せた。














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名前を書いちゃうと色々マズイこともありそうなので(-_-;
ぐるぐるするニュースが多すぎてついつい・・・orz
妄想が自由にできるのって素晴らしいと思います。


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