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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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ギリシャ神話モチーフSSS。
マイケル・ジャクソン追悼とちょっと核批判っぽい(-_-;
(※やたら“ ”が多いので読みにくいかもしれませんm(__)m)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 
「ジョン・レノンが死んで、マイケル・ジャクソンが死んで、
“僕”の時代(とき)は本当に終わってしまった。
いつまでもぐずぐずと此処に留まっているわけにはいかないよ」

「待て、待てよアポロン。“俺”はまだこの世界に居たい。生きていたいんだよ!
だから、“おまえ”もっ……!」

「何を言っているんだアレス。レコードやCDや、カセットテープやMDによって
音楽が世界中に運ばれていく時代は終わったんだ。
“世界中に広まる”という意味では同じだが、
形式的には音楽は再びかたちの無いものに戻ろうとしている。
それでなくとも、美しいものを好む“僕”にとって此処はこんなにも醜く、汚い。
正直に言って、近ごろ息がしづらいんだ。このまま此処にいては、
“僕”たちの魂は、“僕”たちの時代は汚されていくばっかりじゃないか」

「でも、“俺”たちは何度も見て、聞いてきただろう?
核の美しい花火、軍用機の轟音、機関銃の奏でる協奏曲……」

「何てことだ、アレス!君はあんなものを美しいと感じていたのか!?
信じられない!“僕”たちの時代を、“僕”たちの地球(ほし)
汚してきたのは他ならぬそいつらだと言うのに!」

「アポロン、“俺たち”は所詮見物人に過ぎない。
此処に生きるものどものすることに介入する権利も、力も無い。
ニンゲンの言うところの“神”であり、“神”ではない。
担当の箇所の、巡り合った“時代”を見守るだけ。
そうしてその“時代”が終わり、役目を終えると消えていく。死んでいく。
俺の担当は音楽じゃない。戦争と破壊だ。
核の誕生と同時に生まれた“俺”は、きっと当分この世に生き続けるだろうな」

「ああ、そうだねアレス。
“君”はレコードの誕生と同時に生まれた“僕”より後から此処に来た。
つまり、今去るべきは“僕”だけだ。
すぐにまた次の“僕”が、次の“アポロン”が“僕”の代わりに生まれるだろう。
“僕”が“死”を選ぶにも関わらず、“君”が“生”を望み続けるのは、
つまりはそういうことなんだろう……お別れだ、“アレス”」

「アポロン……“俺”は“おまえ”を失うことがどうしようもなく悲しい。
いつの“時代”でも、最初から一番近くにいたのはおまえだった。
敵への威嚇を示す太鼓の音、開戦を告げる笛の音……。
いつの“時代”でも、おまえとの別れはつらい。
それでも、出会えたことに後悔はしない。
“おまえ”が此処に居てくれて良かった。
ありがとう、“アポロン”、幸せだった……。
ごめんな、いっつもおまえの愛でるものを次から次へと壊しちまって」

「馬鹿だな、アレス。僕の音楽があったから、
君に“死”をもたらした、君の“時代”を君にとっては面白くない方向に
変えてしまったことだって何度もあったのに……。
そうだな、“僕”も“君”と出会えて良かったと思ってるよ、我が愛しき弟。
“君”と、これからやって来る新しい“アポロン”に、心からの祝福を……」

“アレス”の手を“アポロン”が力強く握った瞬間、その姿は光の中に消えた。

そうして、次にその光の向こうから姿を現した少年に向かって
“アレス”は出来るだけ優しく微笑んで、投げやりに問いかけた。

「やぁ、俺は“アレス”。気分はどうだい、新しい“アポロン”――?」
  





後書き
 

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「ジョン・レノンが死んで、マイケル・ジャクソンが死んで、
“僕”の時代(とき)は本当に終わってしまった。
いつまでもぐずぐずと此処に留まっているわけにはいかないよ」

「待て、待てよアポロン。“俺”はまだこの世界に居たい。生きていたいんだよ!
だから、“おまえ”もっ……!」

「何を言っているんだアレス。レコードやCDや、カセットテープやMDによって
音楽が世界中に運ばれていく時代は終わったんだ。
“世界中に広まる”という意味では同じだが、
形式的には音楽は再びかたちの無いものに戻ろうとしている。
それでなくとも、美しいものを好む“僕”にとって此処はこんなにも醜く、汚い。
正直に言って、近ごろ息がしづらいんだ。このまま此処にいては、
“僕”たちの魂は、“僕”たちの時代は汚されていくばっかりじゃないか」

「でも、“俺”たちは何度も見て、聞いてきただろう?
核の美しい花火、軍用機の轟音、機関銃の奏でる協奏曲……」

「何てことだ、アレス!君はあんなものを美しいと感じていたのか!?
信じられない!“僕”たちの時代を、“僕”たちの地球(ほし)
汚してきたのは他ならぬそいつらだと言うのに!」

「アポロン、“俺たち”は所詮見物人に過ぎない。
此処に生きるものどものすることに介入する権利も、力も無い。
ニンゲンの言うところの“神”であり、“神”ではない。
担当の箇所の、巡り合った“時代”を見守るだけ。
そうしてその“時代”が終わり、役目を終えると消えていく。死んでいく。
俺の担当は音楽じゃない。戦争と破壊だ。
核の誕生と同時に生まれた“俺”は、きっと当分この世に生き続けるだろうな」

「ああ、そうだねアレス。
“君”はレコードの誕生と同時に生まれた“僕”より後から此処に来た。
つまり、今去るべきは“僕”だけだ。
すぐにまた次の“僕”が、次の“アポロン”が“僕”の代わりに生まれるだろう。
“僕”が“死”を選ぶにも関わらず、“君”が“生”を望み続けるのは、
つまりはそういうことなんだろう……お別れだ、“アレス”」

「アポロン……“俺”は“おまえ”を失うことがどうしようもなく悲しい。
いつの“時代”でも、最初から一番近くにいたのはおまえだった。
敵への威嚇を示す太鼓の音、開戦を告げる笛の音……。
いつの“時代”でも、おまえとの別れはつらい。
それでも、出会えたことに後悔はしない。
“おまえ”が此処に居てくれて良かった。
ありがとう、“アポロン”、幸せだった……。
ごめんな、いっつもおまえの愛でるものを次から次へと壊しちまって」

「馬鹿だな、アレス。僕の音楽があったから、
君に“死”をもたらした、君の“時代”を君にとっては面白くない方向に
変えてしまったことだって何度もあったのに……。
そうだな、“僕”も“君”と出会えて良かったと思ってるよ、我が愛しき弟。
“君”と、これからやって来る新しい“アポロン”に、心からの祝福を……」

“アレス”の手を“アポロン”が力強く握った瞬間、その姿は光の中に消えた。

そうして、次にその光の向こうから姿を現した少年に向かって
“アレス”は出来るだけ優しく微笑んで、投げやりに問いかけた。

「やぁ、俺は“アレス”。気分はどうだい、新しい“アポロン”――?」
  





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