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あの二人はもう駄目ですよ。からきしイカれておりましょう。ズブズブのどぉろどろ、誰にも引き離せやしない。どっちも、そうしたいと思ってなってるわけじゃないと考えてなさるんでしょう? そりゃあそうだ、経緯を辿っても、現状あたしたちの目に見えるお立場一つ取ったって、舌にとろける甘い恋情なんかちィとも見当たらないと来た。あの方はあの子を拾っただけ。ボロボロの、布きれみたいに転がってたあの子を拾って、世話して磨いてやって。そうしたら想像よりも使い勝手が良いから? それなりに大事にして近くに置いてるだけだって、そう思っていなさる。まぁ確かにあの子は察しが良い。我も張らないし、お閨だって悪くないみたいだ。手に馴染むっていやそうだろうよ。でもねぇ、それだけじゃあない。あの子は毒でもあるからさ。そこにじっとしているだけで、存在してるだけで害になるんだ。だって考えてもみてごらん、あの子は彼の国の民だ。しかも王族でも何でもない、その辺に打ち捨てられていた娘。その娘を、戦の司令官だったあの方が連れ帰って、しかも王様になったときたら!
あの子の“仕事”は知ってるよ。あの方は表向きただの妾のように扱って、隠していなさるつもりだが、もうこんな下女の口端にまで上がっている。当然、憎む連中も現れるだろうね……そのせいで不利益を被った商売敵も、親兄弟を殺されちまった人間だっているんだからさ。おっと、これは喋り過ぎたね、いけないいけない。とにかく、そんな女の腹が膨れて――その内に何が宿るかなんて、怖くて考えたくもないね。きっと人ならざる者が生まれてくる。そうでなくたって、どうやっても混ざりものなんだよ、王家に連ねて良いものなのかい? 認められないよ、誰にだってね。あの子にもそれがわかってるんだ――だからあんなに子堕ろしの草を――ええ、何でもありゃしませんよ。いや、館に住んでた時からね、こう、必ず森に分け入ってね。畑じゃ作れないもんだからね。あの子が夜伽をするようになって間もないころに、聞かれて教えてやったのさ。いや、違う違うあの子は玄人だよ? あたしが教えてやったのは、草の生えてる場所だけさ。まぁ良い、あの方に知られたら面倒なことになるからね。あの方の意を汲んでしていたことだとは思うけれど、じゃあ何でそれが起きちまったのか、ってまた恐ろしい話になるからね。あんたの胸に秘めといておくれ。
まぁあの二人の一番の問題は、他にないと思ってる事さ。お互いに、相手のことをね。それから今の二人の繋がりのことを。あの関係以外にないと思ってるのさ。だからしょうがない、とね。不本意なんだよ、二人とも――でもあんた、あたしに言わせりゃね、そう思っちまうこと自体が愛なんじゃないの? そう呼んじゃいけないのかい? 互いにたった一人の人を見つけたら、世間じゃ愛って言うだろう? 替えが利くと思ってるなら実際にやってみたら良いんだ。良い薬草を煎じる者より利口な医者を、劇薬の代わりに優秀な暗殺者を、ってね。あの方に反感を持ってる者なら山ほどいる。ご身分のある方の中にもね。その内の一人に、戦であの方がした非道を訴えれば良いのさ。乱暴されて無理矢理連れてこられたとか、でっちあげたってそれなりに説得力のある状況だろ? 相手はあの方の弱味を掴んだと思って大事にするさ。上手くすりゃあ故郷(くに)に帰れるかもしれないんだ。でもね、あの二人はそうしないのさ。“こうするしかない”を言い訳にしてズルズル寄りかかり続けてるんだよ。そういうことにしてるんだ、認められないんだよ、必要もないのに寄り添ってる現実を、さ。
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「ヒロく~ん! ヒロくん、起きて、朝だよっ!」
からかうように問いかけると、ミキはまたムッとした様子で振り返る。
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朝、東の海が青いきらめきを放つ。
遠く見ゆる小舟に飛沫が泡立ち、海鳥の鳴き声が太陽に歌う。
夜、西の街が極彩の輝きをまき散らす。
とりどりの明かりが空を照らし、寄り添い眺める恋人たちの溜息が洩れる。
眩しい海、美しい街。生きていた、生きていた。
大地が轟き、大波が襲う。
海は泥に、街は闇に。
朝、東には何も見えず。
舟も、家も、人も。プロペラ音が空しく響く。
夜、西に広がるのは暗闇。
黒、黒、黒。静寂だけがそこにある。
澱んだ海、止まった街。生きている、生きている。
音が聞こえる。光が見える。一つ、また一つと増えていく。
取り戻す。海、街、鮮やかな色に満ちたあの日々を。
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たくさんの物事と出会い、色々な人とたくさん話をして、しばらく経ってからでもどんなことがあったかふと思い出す瞬間があったり、久々の再会でも昔どんな話をしたか思い出せる関係を築けるってのはやっぱりこの世代ならではなんだろうなぁ、と。
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名前を書いちゃうと色々マズイこともありそうなので(-_-;
ぐるぐるするニュースが多すぎてついつい・・・orz
妄想が自由にできるのって素晴らしいと思います。
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