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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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『水晶の夏』アルマン視点。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「僕が決めたんだ。君を守る。そばにいるよ」
 
そう自分が告げれば、恥ずかしそうに頬を染めて頷いた彼女の
どこまでも澄んだ湖のような瞳を今も覚えている。
もう十年も前、多忙な両親に厄介払い的に送り込まれた真夏の避暑地。
名のある貴族たちが集うその場所で、初めて出会った同い年の少女。
部屋にこもりがちな彼女の手を無理やり引っ張って、森や、川や、草原に誘った。
はじめは中々打ち解けてくれなかった彼女も、繰り返し連れ出すうちに
柔らかな手の平を、花が咲いたような微笑みを、
優しく名を呼ぶ声を僕にも向けてくれるようになった。
好きだった。彼女と過ごす時間が。彼女のことが。あれはきっと、初めての恋だった。
あの夏から十年が過ぎた冬の今日、
彼女は私の婚約者の義母(はは)として僕の前に現れる。


 
五年前、先の王妃が薨去した。
その後添えに彼女が選ばれたと聞いた時、私はまだたった十六だった。
父や他の貴族の意見に異を唱えることも、彼女を攫って逃げることもできずに
彼女と国王の結婚式に参列したあの日。
私は父に願い出て三年間の遊学の旅に出ることを決めた。逃げたのだ。
国王の隣に佇み、やがてはその腹にこの国の世継ぎを宿し、
その子を優しく腕に抱く彼女の姿を見ることから。
彼女の懐妊の報を聞いて間もなく、私は故国を離れた。
待ち望まれた王子の誕生を知った時、仲睦まじい国王一家の噂を聞いた時、
刺すような胸の痛みも、煮えたぎるような嫉妬も、全てを忘れようとした。
忘れなければならなかった。父から決められた三年という期限の間に。
 
異国の地に後ろ髪を惹かれつつも父からの催促で帰国した私を
待ち受けていたのは、シャルロット王女の降嫁の話だった。
シャルロット王女と年の釣り合う上流貴族の跡取り……
私の帰国を、国王は待ちわびていたらしい。
両親は喜びいさんでこの話にとびついたようで、
否も応もなく帰国早々王女との見合いの日取りが設定された。
記憶の中にあるよりいくらか大人びたシャルロット王女は親しみやすく可愛らしい人だった。
 
「わたくしのことはシャルロットとお呼びくださいな。
わたくしもアルマンと呼ばせていただきます。どうぞ仲良くなさってくださいね」
 
彼女は王女という身分にあっても少しも気取ることなく、一生懸命私のことを慕ってくれた。
しかし彼女の後ろに、私は常にルイーズの影を追ってしまっていた。
何故、ルイーズは彼女の義母なのか。
何故、シャルロットはルイーズの義娘(むすめ)なのか。
何故、私はシャルロットと婚約しているのか。
恨むべきは誰なのか、私には最早わからなかった。
 

~~~

 
「お初にお目にかかります、アルマン・ド・シェフェールと申します。
王妃殿下にはご機嫌麗しく……」
 
「堅苦しい挨拶は抜きに致しましょう。あなたは私の娘婿となられるのですから、
家族も同然ですわ。ねえそうでしょう?シャルロット?」
 
「お義母さまったら……!
アルマン、義母もこうおっしゃっていることですし、楽になさって?」
 
「は、いえ、しかし……」
 
「シェフェール公爵」
 
「はい、何でしょうか?王妃殿下」
 
「なさぬ仲とはいえ、シャルロットはわたくしの可愛い義娘……
どうか大切に、幸せにしてくださいね」
 
「……はい、この命に代えましても」
 
ルイーズ、ああ、ルイーズ!
何も変わっていなかった、あの人の心をどこまでも見透かすような深い湖の瞳も、
まっすぐに流れる栗色の髪も! うっすらと施された化粧と女性らしい
丸みを増した身体つきは彼女の本質を何も損ないはしない。
彼女のドレスの胸元に輝く金剛石を見たとき、今にも震え出しそうになった。
彼女は覚えていない。何も覚えていないのだ、僕と過ごしたあの夏の日のことなど!
覚えていて何故、あんなに優しく微笑める? あんな誓いを私に立てさせるのだ?
守ると、そばにいると告げた女以外の相手を幸せにすると!
ああ、否私は矛盾している。あの誓いに頷いたのは私だ。
大切な許嫁を、傷を負った私の心に、癒しと安らぎを与えてくれたシャルロットを
幸せにすると彼女に約束したのは他ならぬ私自身だ。
それなのに、それなのに……今はこんなにも、彼女のことが憎くて、憎くて仕方ない。
あの夏の日から今日まで……こんな気持ちになることは一度だってなかったのに。


~~~

 
「エミール殿下を殺してしまえば良いではありませんか。
そうすれば世継ぎの王子を死なせた妃としてのルイーズ様の評判は地に落ち、
王の寵愛もなくなりましょう。あなたの妻となられるシャルロット王女が
王のただ一人の実子となられれば、自然あなたの宮廷でのお力も増しましょう」
 
そういった戯言を吐いてくる側近たちの甘言はことごとく交わしてきた。
シャルロット自身に王位や権力を欲する気持ちが皆無なのは見てとれるし、
ルイーズやエミール王子とも親しい関係を保っているらしい。
 
「ルイーズお義母さまは幼いころから姉のような方だったし、お優しくて大好きよ。
エミールも、わたくしずっときょうだいというものに憧れていたから、可愛くて仕方がないわ」
 
無邪気に笑うシャルロットに、安堵と共に複雑な気持ちがこみ上げる。
 
ルイーズ。王は念願の世継ぎを生んだ彼女をとても大切にしているという。
それでなくても、彼女は美しく年も若い。
王に愛され、ルイーズもまた王を愛したのだろうか?
その腕に抱かれ、子を孕み、隣に侍り続けて……
私を、あの約束を交わした僕を忘れてしまった? 安物の水晶ではなく、
正真正銘のよく磨かれた金剛石を身につけるようになって……。
暗く醜い気持ちが私を襲う。
 
「王妃殿下とて女です。女とは欲深きもの。あなたとの思い出の品は
とうに捨てられて、宝石箱の中は王からの賜り物で満杯でしょう。
この上シャルロット様が亡き者になれば、確実にエミール殿下が次期国王。
国王の母ともなれば今よりももっと妃殿下の権勢は高まります。
実際に妃殿下の側近たちの中でシャルロット王女暗殺を
企てている者もいるそうですし、いくら幼き日を共に過ごした
あなた様とはいえ、シャルロット殿下の婚約者というお立場上、
いえそれを利用されて狙われるやも……」
 
囁いた占い師は、ルイーズの元にも出入りしていると聞く。
ならば確かな情報なのか。
あの夏の木漏れ日のような水晶は、もう残っていない?
雪の塊のような金剛石を身につけて、ルイーズ、君は変わってしまったのか?
シャルロットを守るために、自分自身を守るために、
君を殺さなければならないならば、いっそ私が……


~~~

 
シャルロットが寝室で亡くなっているのが発見されたのは、
その翌日のことだった。全ては手遅れだったのだ。
私はルイーズを止められず、シャルロットを救えなかった。
いつも朗らかに笑い、彼女の向こうに別の女性を見ていた私を一途に見つめてくれていた人を。
許せなかった。シャルロットの死が。彼女の罪が。己の過ちが。
犯人として引っ立てられた女官が去った部屋で、私はたった一人、真犯人の証拠に気づいた。
血に濡れたシャルロットのガウンに付けられていた、薄汚れた水晶のブローチ。
幼き日の私が、宝物だと信じていたもの。彼女があの地を去る直前、その手に握らせた……。


~~~
 
 
王妃の居室を訪れたのは、シャルロットの葬儀が全て終わり、
無理やり犯人に仕立て上げられた元女官の裁判が始まる前日のことだった。
 
「……何故、なぜ彼女を殺したのですか?」
 
押し殺した声で問うた自分を、彼女は静かな瞳で見つめた。
その青い瞳が、私の手に握りしめられたブローチを見る。
やはり彼女は故意に残したのだ、私に、己が犯人だと気付かせるために。
そして私を待っていた。裁かれるためか、それとも……
 
「……エミールを、我が子を守るためです」
 
彼女は私の問いに微笑って答えた。
その微笑を、言葉を、受け入れることを心が拒絶する。
 
「あなたを、この水晶の中に閉じ込めていられたら……
こんな悲劇は起きなかったのでしょうか?」
 
彼女を見つめて吐き出した言葉に、彼女は微笑んで首を振った。
 
「いいえ、わたくしの心がその水晶にいつまでも囚われていたからこそ、
現実(いま)が受け入れられないのです」
 
胸元に輝く冷たい金剛石を外した彼女の白い頬を伝う涙に、私はようやく彼女の想いを知った。
私は泣いた。あの夏の日、彼女との別れの間際に人生で初めて流した涙を思い出しながら。
黒い銃口を彼女に向け、その細い手に握られたきらめく剣先を見つめて。
 
「ルイーズ、僕は君を……」
 
銃声は夕闇を切り裂き、後に続く咆哮がいつまでも部屋に木霊していた。






初出2009/4/22

→ 『翡翠の春』(シャルロット視点・拍手ログ)
 

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「僕が決めたんだ。君を守る。そばにいるよ」
 
そう自分が告げれば、恥ずかしそうに頬を染めて頷いた彼女の
どこまでも澄んだ湖のような瞳を今も覚えている。
もう十年も前、多忙な両親に厄介払い的に送り込まれた真夏の避暑地。
名のある貴族たちが集うその場所で、初めて出会った同い年の少女。
部屋にこもりがちな彼女の手を無理やり引っ張って、森や、川や、草原に誘った。
はじめは中々打ち解けてくれなかった彼女も、繰り返し連れ出すうちに
柔らかな手の平を、花が咲いたような微笑みを、
優しく名を呼ぶ声を僕にも向けてくれるようになった。
好きだった。彼女と過ごす時間が。彼女のことが。あれはきっと、初めての恋だった。
あの夏から十年が過ぎた冬の今日、
彼女は私の婚約者の義母(はは)として僕の前に現れる。


 
五年前、先の王妃が薨去した。
その後添えに彼女が選ばれたと聞いた時、私はまだたった十六だった。
父や他の貴族の意見に異を唱えることも、彼女を攫って逃げることもできずに
彼女と国王の結婚式に参列したあの日。
私は父に願い出て三年間の遊学の旅に出ることを決めた。逃げたのだ。
国王の隣に佇み、やがてはその腹にこの国の世継ぎを宿し、
その子を優しく腕に抱く彼女の姿を見ることから。
彼女の懐妊の報を聞いて間もなく、私は故国を離れた。
待ち望まれた王子の誕生を知った時、仲睦まじい国王一家の噂を聞いた時、
刺すような胸の痛みも、煮えたぎるような嫉妬も、全てを忘れようとした。
忘れなければならなかった。父から決められた三年という期限の間に。
 
異国の地に後ろ髪を惹かれつつも父からの催促で帰国した私を
待ち受けていたのは、シャルロット王女の降嫁の話だった。
シャルロット王女と年の釣り合う上流貴族の跡取り……
私の帰国を、国王は待ちわびていたらしい。
両親は喜びいさんでこの話にとびついたようで、
否も応もなく帰国早々王女との見合いの日取りが設定された。
記憶の中にあるよりいくらか大人びたシャルロット王女は親しみやすく可愛らしい人だった。
 
「わたくしのことはシャルロットとお呼びくださいな。
わたくしもアルマンと呼ばせていただきます。どうぞ仲良くなさってくださいね」
 
彼女は王女という身分にあっても少しも気取ることなく、一生懸命私のことを慕ってくれた。
しかし彼女の後ろに、私は常にルイーズの影を追ってしまっていた。
何故、ルイーズは彼女の義母なのか。
何故、シャルロットはルイーズの義娘(むすめ)なのか。
何故、私はシャルロットと婚約しているのか。
恨むべきは誰なのか、私には最早わからなかった。
 

~~~

 
「お初にお目にかかります、アルマン・ド・シェフェールと申します。
王妃殿下にはご機嫌麗しく……」
 
「堅苦しい挨拶は抜きに致しましょう。あなたは私の娘婿となられるのですから、
家族も同然ですわ。ねえそうでしょう?シャルロット?」
 
「お義母さまったら……!
アルマン、義母もこうおっしゃっていることですし、楽になさって?」
 
「は、いえ、しかし……」
 
「シェフェール公爵」
 
「はい、何でしょうか?王妃殿下」
 
「なさぬ仲とはいえ、シャルロットはわたくしの可愛い義娘……
どうか大切に、幸せにしてくださいね」
 
「……はい、この命に代えましても」
 
ルイーズ、ああ、ルイーズ!
何も変わっていなかった、あの人の心をどこまでも見透かすような深い湖の瞳も、
まっすぐに流れる栗色の髪も! うっすらと施された化粧と女性らしい
丸みを増した身体つきは彼女の本質を何も損ないはしない。
彼女のドレスの胸元に輝く金剛石を見たとき、今にも震え出しそうになった。
彼女は覚えていない。何も覚えていないのだ、僕と過ごしたあの夏の日のことなど!
覚えていて何故、あんなに優しく微笑める? あんな誓いを私に立てさせるのだ?
守ると、そばにいると告げた女以外の相手を幸せにすると!
ああ、否私は矛盾している。あの誓いに頷いたのは私だ。
大切な許嫁を、傷を負った私の心に、癒しと安らぎを与えてくれたシャルロットを
幸せにすると彼女に約束したのは他ならぬ私自身だ。
それなのに、それなのに……今はこんなにも、彼女のことが憎くて、憎くて仕方ない。
あの夏の日から今日まで……こんな気持ちになることは一度だってなかったのに。


~~~

 
「エミール殿下を殺してしまえば良いではありませんか。
そうすれば世継ぎの王子を死なせた妃としてのルイーズ様の評判は地に落ち、
王の寵愛もなくなりましょう。あなたの妻となられるシャルロット王女が
王のただ一人の実子となられれば、自然あなたの宮廷でのお力も増しましょう」
 
そういった戯言を吐いてくる側近たちの甘言はことごとく交わしてきた。
シャルロット自身に王位や権力を欲する気持ちが皆無なのは見てとれるし、
ルイーズやエミール王子とも親しい関係を保っているらしい。
 
「ルイーズお義母さまは幼いころから姉のような方だったし、お優しくて大好きよ。
エミールも、わたくしずっときょうだいというものに憧れていたから、可愛くて仕方がないわ」
 
無邪気に笑うシャルロットに、安堵と共に複雑な気持ちがこみ上げる。
 
ルイーズ。王は念願の世継ぎを生んだ彼女をとても大切にしているという。
それでなくても、彼女は美しく年も若い。
王に愛され、ルイーズもまた王を愛したのだろうか?
その腕に抱かれ、子を孕み、隣に侍り続けて……
私を、あの約束を交わした僕を忘れてしまった? 安物の水晶ではなく、
正真正銘のよく磨かれた金剛石を身につけるようになって……。
暗く醜い気持ちが私を襲う。
 
「王妃殿下とて女です。女とは欲深きもの。あなたとの思い出の品は
とうに捨てられて、宝石箱の中は王からの賜り物で満杯でしょう。
この上シャルロット様が亡き者になれば、確実にエミール殿下が次期国王。
国王の母ともなれば今よりももっと妃殿下の権勢は高まります。
実際に妃殿下の側近たちの中でシャルロット王女暗殺を
企てている者もいるそうですし、いくら幼き日を共に過ごした
あなた様とはいえ、シャルロット殿下の婚約者というお立場上、
いえそれを利用されて狙われるやも……」
 
囁いた占い師は、ルイーズの元にも出入りしていると聞く。
ならば確かな情報なのか。
あの夏の木漏れ日のような水晶は、もう残っていない?
雪の塊のような金剛石を身につけて、ルイーズ、君は変わってしまったのか?
シャルロットを守るために、自分自身を守るために、
君を殺さなければならないならば、いっそ私が……


~~~

 
シャルロットが寝室で亡くなっているのが発見されたのは、
その翌日のことだった。全ては手遅れだったのだ。
私はルイーズを止められず、シャルロットを救えなかった。
いつも朗らかに笑い、彼女の向こうに別の女性を見ていた私を一途に見つめてくれていた人を。
許せなかった。シャルロットの死が。彼女の罪が。己の過ちが。
犯人として引っ立てられた女官が去った部屋で、私はたった一人、真犯人の証拠に気づいた。
血に濡れたシャルロットのガウンに付けられていた、薄汚れた水晶のブローチ。
幼き日の私が、宝物だと信じていたもの。彼女があの地を去る直前、その手に握らせた……。


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王妃の居室を訪れたのは、シャルロットの葬儀が全て終わり、
無理やり犯人に仕立て上げられた元女官の裁判が始まる前日のことだった。
 
「……何故、なぜ彼女を殺したのですか?」
 
押し殺した声で問うた自分を、彼女は静かな瞳で見つめた。
その青い瞳が、私の手に握りしめられたブローチを見る。
やはり彼女は故意に残したのだ、私に、己が犯人だと気付かせるために。
そして私を待っていた。裁かれるためか、それとも……
 
「……エミールを、我が子を守るためです」
 
彼女は私の問いに微笑って答えた。
その微笑を、言葉を、受け入れることを心が拒絶する。
 
「あなたを、この水晶の中に閉じ込めていられたら……
こんな悲劇は起きなかったのでしょうか?」
 
彼女を見つめて吐き出した言葉に、彼女は微笑んで首を振った。
 
「いいえ、わたくしの心がその水晶にいつまでも囚われていたからこそ、
現実(いま)が受け入れられないのです」
 
胸元に輝く冷たい金剛石を外した彼女の白い頬を伝う涙に、私はようやく彼女の想いを知った。
私は泣いた。あの夏の日、彼女との別れの間際に人生で初めて流した涙を思い出しながら。
黒い銃口を彼女に向け、その細い手に握られたきらめく剣先を見つめて。
 
「ルイーズ、僕は君を……」
 
銃声は夕闇を切り裂き、後に続く咆哮がいつまでも部屋に木霊していた。






初出2009/4/22

→ 『翡翠の春』(シャルロット視点・拍手ログ)
 

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