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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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デンパンブックス『School Days』より移行。別名文具シリーズ。
連作タイトルを改題・登場人物の名字も変更しました。

Main Casts

『HB』&『B』・・・佑樹
『ⅡB』&『ⅠA』・・・祥太郎
『≠』&『≒』・・・廉

『2B』・・・咲也子
『ⅢC』・・・遥香
『=』・・・怜奈
 


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「Bって……濃くない?」

「すぐ折れそうだし」

「そんなことない。一番書きやすい見やすい使いやすい」

また、HBしか無い。 おれはBか、2Bが欲しい。

「あ、おい待てよ佑樹!」

「え~、もう一軒行くの~!?」

文句を言うなら、付いてこなけりゃいいのに。慌てて追い掛けてくる二人を、チラッと振り返る。
小学校から一緒の祥太郎。中学に入ってから知り合った廉。
何だかんだと、おれらはいつも一緒にいる。
黒髪に黒い肌、どこか日本人離れしたエキゾチックな雰囲気を纏った祥太郎。
祥とは対照的な白い肌にウェーブがかった薄茶の髪を少し長めに伸ばし、
柔らかな微笑みを常に絶やさない廉。
祥は元サッカー部、廉は元バスケ部で、それぞれエースストライカーのポジションにいた。
それなのに、おれと一緒に大してスポーツが盛んとも言えないこの高校に来て、
先輩方の熱心な誘いも無視して帰宅部を続けている。 


~~~


『だって、部活続けてたら一緒遊ぶ時間が減るじゃん』

と笑いながら告げた祥の言葉に、廉が頷く。

『おれは別にお前らと遊ばなくてもいいんだけど……』

と呆れたように呟くと、背中から祥に飛びかかられた。

『なーに佑樹くんたら冷たーい!』

『照れんなって、佑』

正面に回り、にこにこ笑いながら頭を撫でてくる廉。
おれだってチビではないはずなのに、頭一つでかい廉の顔を見上げる格好になる。
ううん、少しムカつくことを思い出してしまった。 


~~~


「佑ー? 何、トリップしてんのー? 目が怖いんですけど」

数週間前の出来事を回顧する内に、知らず知らず廉のことを睨みつけていたらしい。

「あ、何でもない。ごめん」

目線を外して歩き出すと、廉は笑いながら、

「きっとオレが女の子なら、目だけで落とされてるわ」

とからかうように言った。

「ギャハハ! あ、そいえば佑、お前浜崎さんに告られたってマジ!?」

身を乗り出すように問うてきた祥の言葉に、記憶の糸を手繰り寄せる。

「あ~、そんなことも、あったかもね」 


~~~


『中学の時から、ずっと好きでした!』

顔を真っ赤にして告げてきた彼女は、“ミスM中”と
言われていた中学時代よりも遥かに色褪せて見えた。
どこか垢抜けない、二つに結んだ黒い髪。長さを調節するために必死に折ったのだろう、
制服のスカートのプリーツは不自然な歪みを生じている。

『……ごめん』

それだけ告げると、彼女はその大きな瞳からボロボロと大粒の涙をこぼし始めた。
こういう時に気の利いた台詞が言えるおれでもないので、
泣き続ける彼女を一人残して、おれはその場を後にした。 


~~~


「え~やっぱ振ったの!? もったいないなぁオレが慰めてあげたい!」

大袈裟に驚いて見せる廉の白々しさに、苦笑が漏れる。

「やっぱ顔がいい奴はすることが違うよな~。あ~羨ましい!」

冗談混じりに祥も乗っかる。

「……よく言うよ」

とおれが言うと、二人は目配せをして、共犯者めいた笑みを浮かべた。

おれたち三人は、よく目立つ。
告白される回数だって、二人とおれの間にそれほど大きな差があるとは思えない。
おれと祥と廉の顔は世間一般で言うところの“イケメン”の部類に入るらしい。
“男らしい”祥、“セクシー”な廉に対しおれは「中性的」と言われることが多い。

『佑樹くんて、かわいいけどかっこいいよね』

と、クラスメートの女子が少し顔を赤らめて言ってきたことがあった。
少しだけ染めた栗色の髪は、特別な手入れをしなくてもいつもサラサラだし、
鏡を覗けば目に映るのは、パッチリした瞳に長い睫、スッと通った鼻筋にピンク色の唇。
それらは全て美人の母譲りで、確かに男にしては整っている方かもしれない。

「でも、見た目だけで人って好きになれんのかな……?」

ボソッと呟くと、祥がこちらを見て目を見開き、そして吹き出した。

「プッ……あはは! お前全然分かってねぇのな!」

「いいんだよ祥。それが佑のいいところなんだから」

廉もにこにこ笑いながらこちらを見る。何だか居心地が悪くて唇を尖らすと、

「あ、また佑がその口やってる」

とますます笑われた。

「佑、むつけんなって」

おれの頭をポンポンと叩く祥の手を振り払う。本気で笑い過ぎたらしく、祥はまだ涙目だ。

文房具屋は、7時で閉まる。早く見付けなくちゃ、Bのシャー芯。





後書き
  B(佑樹2ページ目)

 目次(現代)
 

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~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「Bって……濃くない?」

「すぐ折れそうだし」

「そんなことない。一番書きやすい見やすい使いやすい」

また、HBしか無い。 おれはBか、2Bが欲しい。

「あ、おい待てよ佑樹!」

「え~、もう一軒行くの~!?」

文句を言うなら、付いてこなけりゃいいのに。慌てて追い掛けてくる二人を、チラッと振り返る。
小学校から一緒の祥太郎。中学に入ってから知り合った廉。
何だかんだと、おれらはいつも一緒にいる。
黒髪に黒い肌、どこか日本人離れしたエキゾチックな雰囲気を纏った祥太郎。
祥とは対照的な白い肌にウェーブがかった薄茶の髪を少し長めに伸ばし、
柔らかな微笑みを常に絶やさない廉。
祥は元サッカー部、廉は元バスケ部で、それぞれエースストライカーのポジションにいた。
それなのに、おれと一緒に大してスポーツが盛んとも言えないこの高校に来て、
先輩方の熱心な誘いも無視して帰宅部を続けている。 


~~~


『だって、部活続けてたら一緒遊ぶ時間が減るじゃん』

と笑いながら告げた祥の言葉に、廉が頷く。

『おれは別にお前らと遊ばなくてもいいんだけど……』

と呆れたように呟くと、背中から祥に飛びかかられた。

『なーに佑樹くんたら冷たーい!』

『照れんなって、佑』

正面に回り、にこにこ笑いながら頭を撫でてくる廉。
おれだってチビではないはずなのに、頭一つでかい廉の顔を見上げる格好になる。
ううん、少しムカつくことを思い出してしまった。 


~~~


「佑ー? 何、トリップしてんのー? 目が怖いんですけど」

数週間前の出来事を回顧する内に、知らず知らず廉のことを睨みつけていたらしい。

「あ、何でもない。ごめん」

目線を外して歩き出すと、廉は笑いながら、

「きっとオレが女の子なら、目だけで落とされてるわ」

とからかうように言った。

「ギャハハ! あ、そいえば佑、お前浜崎さんに告られたってマジ!?」

身を乗り出すように問うてきた祥の言葉に、記憶の糸を手繰り寄せる。

「あ~、そんなことも、あったかもね」 


~~~


『中学の時から、ずっと好きでした!』

顔を真っ赤にして告げてきた彼女は、“ミスM中”と
言われていた中学時代よりも遥かに色褪せて見えた。
どこか垢抜けない、二つに結んだ黒い髪。長さを調節するために必死に折ったのだろう、
制服のスカートのプリーツは不自然な歪みを生じている。

『……ごめん』

それだけ告げると、彼女はその大きな瞳からボロボロと大粒の涙をこぼし始めた。
こういう時に気の利いた台詞が言えるおれでもないので、
泣き続ける彼女を一人残して、おれはその場を後にした。 


~~~


「え~やっぱ振ったの!? もったいないなぁオレが慰めてあげたい!」

大袈裟に驚いて見せる廉の白々しさに、苦笑が漏れる。

「やっぱ顔がいい奴はすることが違うよな~。あ~羨ましい!」

冗談混じりに祥も乗っかる。

「……よく言うよ」

とおれが言うと、二人は目配せをして、共犯者めいた笑みを浮かべた。

おれたち三人は、よく目立つ。
告白される回数だって、二人とおれの間にそれほど大きな差があるとは思えない。
おれと祥と廉の顔は世間一般で言うところの“イケメン”の部類に入るらしい。
“男らしい”祥、“セクシー”な廉に対しおれは「中性的」と言われることが多い。

『佑樹くんて、かわいいけどかっこいいよね』

と、クラスメートの女子が少し顔を赤らめて言ってきたことがあった。
少しだけ染めた栗色の髪は、特別な手入れをしなくてもいつもサラサラだし、
鏡を覗けば目に映るのは、パッチリした瞳に長い睫、スッと通った鼻筋にピンク色の唇。
それらは全て美人の母譲りで、確かに男にしては整っている方かもしれない。

「でも、見た目だけで人って好きになれんのかな……?」

ボソッと呟くと、祥がこちらを見て目を見開き、そして吹き出した。

「プッ……あはは! お前全然分かってねぇのな!」

「いいんだよ祥。それが佑のいいところなんだから」

廉もにこにこ笑いながらこちらを見る。何だか居心地が悪くて唇を尖らすと、

「あ、また佑がその口やってる」

とますます笑われた。

「佑、むつけんなって」

おれの頭をポンポンと叩く祥の手を振り払う。本気で笑い過ぎたらしく、祥はまだ涙目だ。

文房具屋は、7時で閉まる。早く見付けなくちゃ、Bのシャー芯。





後書き
  B(佑樹2ページ目)

 目次(現代)
 

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