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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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一度出して引っ込めたご時世的にアレなネタだけど登録とかしなければ良いかな、って。

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『しかして、真に地球市民(コスモポリタン)の地位を勝ち得た我々に理想の自由は訪れなかった。一つの巨大な政府の前に、逃れる“他国”を失った自由主義者(リベラリスト)は死んだのである。彼らの生み出した混沌の中、無政府主義者(アナーキスト)はとうの昔に忌むべき遺物となり果てた』

3000年 ワン・ワールド連合樹立。世界平和宣言――真に一つの世界を築き平和を実現するために我々は人種・宗教・思想の壁を乗り越えなければならない。すべての人々は混じり合い“融和”すべきである。故に、特例として認められるべき不測の事態を除き、同人種間での婚姻・出産は禁じることを理想的原則とす。

3005年 婚姻法制定――男女間の婚姻、または養子縁組の取り決めは旧出身国の異なる者同士で行われることを推奨する。三年の期間を経て推奨より義務化。

3015年 婚姻法改正――ヨーロッパ/中東/アフリカ/東南アジア/南アジア/東アジアの「地域区分」が確定。同一地域内での婚姻が制限されるが、アメリカ・オセアニア地区のみ既に「融和」が進んでいる地域として例外措置を受ける。

3026年 戸籍法制定――出生届提出時、両親の出身地域、三代前までの祖先の人種・母語・宗教が明確に異なることを証明することが義務付けられる。

『ワン・ワールドはやり遂げた! 法治の元に、むべなるかな、差別主義(レイシスト)の純血主義者たち! さらば、さらば高らかに!』


~~~


全ては、西の海の端で上げられた一つの政党の産声から始まる。ワン・ワールド、多文化社会の確立と差別の撤廃を掲げて立ったこの党は“グローバル”という時代の潮流に乗り世界中に支持を広げ、やがて彼らの理想とする一つの世界――ワン・ワールド連合の樹立を達成する。与党、つまり連合中央政府の主な取り決めを行う立場になった彼らは悲願としてきた法の制定を26年の歳月をかけて成し遂げたのだった――だから(・・・)、俺はこんな風に生きなきゃならない。

フェルスは頭に巻きつけていたターバンを目深に下げ、うつむいたまま足早に市場を脱けた。黒ずくめの大きなマントに、極力肌の露出を避けるための手袋と長いブーツ。それでもわずかに覗いてしまう首や手首には土と草を混ぜて作った茶色の塗料を塗りつけていた。この服装も、はるか昔の世界ではどこかの宗教の慣習として大切にされていたものだったらしい。彼らは自分のような肌の色をした人たちと信仰を巡って争った、と聞いたこともある。全てが混じり合ってしまった現在では、それぞれが持っていたはずの宗教や信仰なんて残っていないし、ただ前時代の名残として“それを着用する権利”が認められているというだけのものだ。今日は久々にジャガイモと少しの砂糖、それに小麦粉が手に入った。父と二人、裏のルートで回ってきた難解な機械の修理を何とかやり終え、二束三文と言っても無いよりはずっとマシな臨時収入を得た甲斐があった。バターが無いのは残念だが、いつものパンとは違う味の、甘いクッキーかケーキを食べられるかもしれない――とは言え、匂いで居場所が気取られては大変だから、とフェルスの母はわざわざ余所で焼いてきた冷たいパンを持って帰ってくるのが常なのだが。
とその時、背に背負った袋の中身に思いを巡らせていた少年のターバンが、急に激しく引っ張られた。

「おい見ろ、こいつやっぱり“純血(ユニ)”だ!」

乱暴にむしり取られた布の内から現れた明るい色の髪と、ごまかしようのないフェルスの鮮やかな瞳を指さしてはやし立てるごろつき共に呼応するように、市場の周囲は騒然となった。

「へぇ、近親相姦の犯罪者野郎、何しにのこのこ出てきやがった?」

「一発殴らせろ、捕まえてやる!」

獰猛な唸り声を上げる人々から逃れようと走り出したフェルスに向かってくるのは鼻白む目、ささやかれる侮蔑の言葉、激しい憎悪。今さっき手に入れたばかりの食糧が、少年の肩に酷く重たく肩に食い込んだ。まずい、このままでは……!

「こっち!」

甲高い声と共に細い路地へと少年を引き込んだ手は白かった。彼が驚いて見上げれば、その持ち主は彼以上に厳重な、目だけを出した装束で顔をすっかり覆った姿。カンカンと音の鳴る錆びた階段を駆け上がる。昇り切った先、古いアパートの屋上で彼女はようやくヴェールを外した。

「久しぶりね、フェルス」

「おまえ……エミュー?」

明るい榛色の瞳。にこりと笑う表情の中に、フェルスは懐かしい面差しを見出す。今よりもっと幼い頃、彼が生まれた“隔離地区(ゲットー)”でいつも遊んでいた女の子。子供たちには自分たちのように苦しい日々を送ってほしくない、という親心からそこに住まう“純血”の人々はどんどん数を減らしてゆき、知り合った時近所に同じくらいの年の子供はほとんど二人だけであったと思う。必然的に、彼らはいつも一緒にいたし、誰よりも親しい存在だったと言えるだろう。

「今この近くに隠れてるのよ、ゲットーが閉鎖されてから色々あってね……。今はとある親切な方(・・・・・・・)の屋根裏を貸してもらっているの」

言葉の裏に込められた皮肉に、フェルスは苦い笑みを返した。彼の家族だって似たようなものだ。ゲットー……懐かしい場所。一度そこに追いやられたはずの彼らは、法に背く存在に衣食住を与えるなど税金の無駄遣いではないか、“ユニ”同士で暮らしていたらまた新たなユニが増える危機が増す、との世論の高まりによって集団での居住が禁じられた。一部の女性たちは強制的に他人種や“融和者(ハイブリッド)”との婚姻を強いられたりもしたという。純血の人々は各自治体に何人までと制限を設けられた上で分散され、それきりフェルスとエミューも離れ離れになってしまった。地方に行けば行くほど悪目立ちし迫害される彼らの中には住民の私刑を受けて命を落とした者もいれば、生きるためにその地を逃げ出して都会の闇に身をやつす者たちもいる。フェルスの家族も、そうやってこの街に逃げてきた。ただでさえ法に抗う存在だ。社会のシステムから外れてしまえば戸籍すら無い、まともな仕事など得られない。ひっそりと息を殺すように、母の内職と“一つの世界”であっても未だわずかに存在する父の翻訳の仕事、フェルスがゴミ拾いや靴磨きで稼ぐ駄賃によって、あるいはごくたまに回ってくる、後ろ暗い裏の仕事――たとえば、“知られてはいけない”現場の処理や道具の手入れなどで、どうにか日銭を稼ぐ暮らしだ。不法移住者を取り締まる警察の目も厳しい。

「全く、酷い話よね。私たちの送られたところは豊かな村で、父は牧場の下働きに就かせてもらったしゲットーより飢えるってことは無いくらいだったの。……でも、でもね」

言葉を区切って、エミューは喉を震わせる。

「私、乱暴されそうになったの。その牧場の主の息子が、『このまま“ユニ”なんかでいるより良いだろう』って。ご主人だって良い人だったのに、その息子の言い訳を当然だろう、って聞いてるのよ? 『何なら正式に結婚できるよう役場にかけあってやっても良い』なんて!」

それが現実だ。いくら、当時まだ十代半ばの少女が“ハイブリッド”――正しく融和した国民に乱暴され身ごもったところで彼らは決して罰せられない。むしろユニという宿業から彼女を救った存在として称えられるのだ。ハイブリッドの子供を産めば、女性はその母として同等の権利を得られる。過ちから目覚めた市民として。

「本当に、バカにしてやがる。おまえの家族もさすがにキレたんだな、だからここに……」

怒りを露わにしたフェルスに、エミューは口元を奇妙に歪ませて泣き伏した。

「お父さんは、怒ってくれたわ。ふざけるな、って。もうこんなところでは働けない、って。でも……でもお母さんは」

フェルスは目を見開いて彼女を見た。

「そうした方が幸せになれる、って。私が彼と結婚して子供を産めばお父さんだって仕事を失くさないし、みんなが飢えずに済む、って。とっても良い話だ、って」

エミューは涙を拭って起き上がる。

「そのことでお父さんとお母さんは毎日ケンカばかりしていたわ……それで、ある日言われたの。おまえが言うことを聞かなければ今すぐユニ嫌いの連中を焚き付けて一家もろとも焼き討ちしてやる、って例の息子にね。それでお母さんも震え上がって、一見親切な村でもあっという間にこんなことになるならハイブリッドは信用できない、って逃げてきたのよ。ああ嫌い、本当にもう二度とこりごりだわ。嫌いよ、嫌い、思い上がった混ざり者の奴らなんて大嫌い!」

叫んだ彼女の瞳は鋭く、激しい憤りが滲んでいた。

「エミュー……つらかった、つらかったな」

思わず、小さな頭を抱き寄せて癖のある金の髪をそっと撫でる。声を上げて泣きじゃくる幼なじみは下卑た奴らにそんな欲望を抱かせるほど美しい少女に成長していたのだ。それなのに、彼女が送らなければならない青春は、彼らの今は何と残酷でほの暗いものか。俺たちはまだ、こんなにも若いのに――幼いのに、知らないのに、分からないはず(・・・・・・・)なのに。どうしてこんなにも憎いんだろう。たった一つの、いやたくさんの(・・・・・)誰かを殺したいと、消し去りたいと願う気持ちを抱く羽目になんかなったんだろう。





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続きは少し書いてるけど現実の諸々とかで迷ってるので未定。

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『しかして、真に地球市民(コスモポリタン)の地位を勝ち得た我々に理想の自由は訪れなかった。一つの巨大な政府の前に、逃れる“他国”を失った自由主義者(リベラリスト)は死んだのである。彼らの生み出した混沌の中、無政府主義者(アナーキスト)はとうの昔に忌むべき遺物となり果てた』

3000年 ワン・ワールド連合樹立。世界平和宣言――真に一つの世界を築き平和を実現するために我々は人種・宗教・思想の壁を乗り越えなければならない。すべての人々は混じり合い“融和”すべきである。故に、特例として認められるべき不測の事態を除き、同人種間での婚姻・出産は禁じることを理想的原則とす。

3005年 婚姻法制定――男女間の婚姻、または養子縁組の取り決めは旧出身国の異なる者同士で行われることを推奨する。三年の期間を経て推奨より義務化。

3015年 婚姻法改正――ヨーロッパ/中東/アフリカ/東南アジア/南アジア/東アジアの「地域区分」が確定。同一地域内での婚姻が制限されるが、アメリカ・オセアニア地区のみ既に「融和」が進んでいる地域として例外措置を受ける。

3026年 戸籍法制定――出生届提出時、両親の出身地域、三代前までの祖先の人種・母語・宗教が明確に異なることを証明することが義務付けられる。

『ワン・ワールドはやり遂げた! 法治の元に、むべなるかな、差別主義(レイシスト)の純血主義者たち! さらば、さらば高らかに!』


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全ては、西の海の端で上げられた一つの政党の産声から始まる。ワン・ワールド、多文化社会の確立と差別の撤廃を掲げて立ったこの党は“グローバル”という時代の潮流に乗り世界中に支持を広げ、やがて彼らの理想とする一つの世界――ワン・ワールド連合の樹立を達成する。与党、つまり連合中央政府の主な取り決めを行う立場になった彼らは悲願としてきた法の制定を26年の歳月をかけて成し遂げたのだった――だから(・・・)、俺はこんな風に生きなきゃならない。

フェルスは頭に巻きつけていたターバンを目深に下げ、うつむいたまま足早に市場を脱けた。黒ずくめの大きなマントに、極力肌の露出を避けるための手袋と長いブーツ。それでもわずかに覗いてしまう首や手首には土と草を混ぜて作った茶色の塗料を塗りつけていた。この服装も、はるか昔の世界ではどこかの宗教の慣習として大切にされていたものだったらしい。彼らは自分のような肌の色をした人たちと信仰を巡って争った、と聞いたこともある。全てが混じり合ってしまった現在では、それぞれが持っていたはずの宗教や信仰なんて残っていないし、ただ前時代の名残として“それを着用する権利”が認められているというだけのものだ。今日は久々にジャガイモと少しの砂糖、それに小麦粉が手に入った。父と二人、裏のルートで回ってきた難解な機械の修理を何とかやり終え、二束三文と言っても無いよりはずっとマシな臨時収入を得た甲斐があった。バターが無いのは残念だが、いつものパンとは違う味の、甘いクッキーかケーキを食べられるかもしれない――とは言え、匂いで居場所が気取られては大変だから、とフェルスの母はわざわざ余所で焼いてきた冷たいパンを持って帰ってくるのが常なのだが。
とその時、背に背負った袋の中身に思いを巡らせていた少年のターバンが、急に激しく引っ張られた。

「おい見ろ、こいつやっぱり“純血(ユニ)”だ!」

乱暴にむしり取られた布の内から現れた明るい色の髪と、ごまかしようのないフェルスの鮮やかな瞳を指さしてはやし立てるごろつき共に呼応するように、市場の周囲は騒然となった。

「へぇ、近親相姦の犯罪者野郎、何しにのこのこ出てきやがった?」

「一発殴らせろ、捕まえてやる!」

獰猛な唸り声を上げる人々から逃れようと走り出したフェルスに向かってくるのは鼻白む目、ささやかれる侮蔑の言葉、激しい憎悪。今さっき手に入れたばかりの食糧が、少年の肩に酷く重たく肩に食い込んだ。まずい、このままでは……!

「こっち!」

甲高い声と共に細い路地へと少年を引き込んだ手は白かった。彼が驚いて見上げれば、その持ち主は彼以上に厳重な、目だけを出した装束で顔をすっかり覆った姿。カンカンと音の鳴る錆びた階段を駆け上がる。昇り切った先、古いアパートの屋上で彼女はようやくヴェールを外した。

「久しぶりね、フェルス」

「おまえ……エミュー?」

明るい榛色の瞳。にこりと笑う表情の中に、フェルスは懐かしい面差しを見出す。今よりもっと幼い頃、彼が生まれた“隔離地区(ゲットー)”でいつも遊んでいた女の子。子供たちには自分たちのように苦しい日々を送ってほしくない、という親心からそこに住まう“純血”の人々はどんどん数を減らしてゆき、知り合った時近所に同じくらいの年の子供はほとんど二人だけであったと思う。必然的に、彼らはいつも一緒にいたし、誰よりも親しい存在だったと言えるだろう。

「今この近くに隠れてるのよ、ゲットーが閉鎖されてから色々あってね……。今はとある親切な方(・・・・・・・)の屋根裏を貸してもらっているの」

言葉の裏に込められた皮肉に、フェルスは苦い笑みを返した。彼の家族だって似たようなものだ。ゲットー……懐かしい場所。一度そこに追いやられたはずの彼らは、法に背く存在に衣食住を与えるなど税金の無駄遣いではないか、“ユニ”同士で暮らしていたらまた新たなユニが増える危機が増す、との世論の高まりによって集団での居住が禁じられた。一部の女性たちは強制的に他人種や“融和者(ハイブリッド)”との婚姻を強いられたりもしたという。純血の人々は各自治体に何人までと制限を設けられた上で分散され、それきりフェルスとエミューも離れ離れになってしまった。地方に行けば行くほど悪目立ちし迫害される彼らの中には住民の私刑を受けて命を落とした者もいれば、生きるためにその地を逃げ出して都会の闇に身をやつす者たちもいる。フェルスの家族も、そうやってこの街に逃げてきた。ただでさえ法に抗う存在だ。社会のシステムから外れてしまえば戸籍すら無い、まともな仕事など得られない。ひっそりと息を殺すように、母の内職と“一つの世界”であっても未だわずかに存在する父の翻訳の仕事、フェルスがゴミ拾いや靴磨きで稼ぐ駄賃によって、あるいはごくたまに回ってくる、後ろ暗い裏の仕事――たとえば、“知られてはいけない”現場の処理や道具の手入れなどで、どうにか日銭を稼ぐ暮らしだ。不法移住者を取り締まる警察の目も厳しい。

「全く、酷い話よね。私たちの送られたところは豊かな村で、父は牧場の下働きに就かせてもらったしゲットーより飢えるってことは無いくらいだったの。……でも、でもね」

言葉を区切って、エミューは喉を震わせる。

「私、乱暴されそうになったの。その牧場の主の息子が、『このまま“ユニ”なんかでいるより良いだろう』って。ご主人だって良い人だったのに、その息子の言い訳を当然だろう、って聞いてるのよ? 『何なら正式に結婚できるよう役場にかけあってやっても良い』なんて!」

それが現実だ。いくら、当時まだ十代半ばの少女が“ハイブリッド”――正しく融和した国民に乱暴され身ごもったところで彼らは決して罰せられない。むしろユニという宿業から彼女を救った存在として称えられるのだ。ハイブリッドの子供を産めば、女性はその母として同等の権利を得られる。過ちから目覚めた市民として。

「本当に、バカにしてやがる。おまえの家族もさすがにキレたんだな、だからここに……」

怒りを露わにしたフェルスに、エミューは口元を奇妙に歪ませて泣き伏した。

「お父さんは、怒ってくれたわ。ふざけるな、って。もうこんなところでは働けない、って。でも……でもお母さんは」

フェルスは目を見開いて彼女を見た。

「そうした方が幸せになれる、って。私が彼と結婚して子供を産めばお父さんだって仕事を失くさないし、みんなが飢えずに済む、って。とっても良い話だ、って」

エミューは涙を拭って起き上がる。

「そのことでお父さんとお母さんは毎日ケンカばかりしていたわ……それで、ある日言われたの。おまえが言うことを聞かなければ今すぐユニ嫌いの連中を焚き付けて一家もろとも焼き討ちしてやる、って例の息子にね。それでお母さんも震え上がって、一見親切な村でもあっという間にこんなことになるならハイブリッドは信用できない、って逃げてきたのよ。ああ嫌い、本当にもう二度とこりごりだわ。嫌いよ、嫌い、思い上がった混ざり者の奴らなんて大嫌い!」

叫んだ彼女の瞳は鋭く、激しい憤りが滲んでいた。

「エミュー……つらかった、つらかったな」

思わず、小さな頭を抱き寄せて癖のある金の髪をそっと撫でる。声を上げて泣きじゃくる幼なじみは下卑た奴らにそんな欲望を抱かせるほど美しい少女に成長していたのだ。それなのに、彼女が送らなければならない青春は、彼らの今は何と残酷でほの暗いものか。俺たちはまだ、こんなにも若いのに――幼いのに、知らないのに、分からないはず(・・・・・・・)なのに。どうしてこんなにも憎いんだろう。たった一つの、いやたくさんの(・・・・・)誰かを殺したいと、消し去りたいと願う気持ちを抱く羽目になんかなったんだろう。





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続きは少し書いてるけど現実の諸々とかで迷ってるので未定。

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