忍者ブログ
ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


童話の悪役モチーフSSS集。その1。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



私は魔女の家に生まれた。
ある日、我が家に代々伝わる魔法の鏡の向こうに、一人の凛々しき青年の姿を見た。
魔女の家には女しか存在しない。
私は初めて見る“男”という存在に、そのたくましさに、その強い眼差しに一目で恋をした。
そうして私は“人間”の世界へと足を踏み入れた。
彼は一目で私と恋に落ちた。
私たちは深く愛し合い、互いに幸せを感じていると信じていた。
それが覆されたのは、一体いつのことだったのだろう。
ある日、彼が私に贈ってくれた大切な指輪を、不注意から湖に落としてしまった。
慌てた私は彼の前で、とっさに呪文を唱えてしまった。
 
『水の精霊たちよ、指輪を拾い上げておくれ!』
 
私の魔法を見た彼は驚きに目を見開き、次にその顔に浮かんだのは畏怖と嫌悪であった。
 
『君は……魔女なのか?』
 
私が黙って頷くと、彼は後ずさってこう告げた。
 
『何てことだ! よりによって魔女だなんて!
魔女を妃に迎えるわけにはいかない。もう君とは会えない。
いいや、今までのことももしかして全部、おまえの魔法の仕業なのか?
ああ、そうに違いない。そうでなければ誰が、恐ろしい魔女などと!』
 
『違うわ、待って!』
 
叫んだ私の声は、白馬に跨り走り去った彼の耳には届かなかった。
それでも私は、彼を思い切れなかった。
我が家へと戻った後も、ずっと鏡を通じて彼のことを見つめ続けてきた。
私と別れて半年が過ぎた頃、彼は妃を娶った。
彼の妃となったのは、人間にしては美しい、けれど私に比べれば見劣りのする、
雪のように白い肌、窓枠のように黒い瞳、血のように紅い唇をした女だった。
 
『君のことを世界で一番愛しているよ』
 
彼は妃に、私に囁いていたのとそっくり同じ愛の言葉を告げた。
許せなかった。
あの時間(とき)の思い出だけを胸に生きる私に、鏡よ、何て酷い仕打ちを見せてくれるのだ!?
嫉妬の炎は怨嗟に代わり、やがて強い強い憎悪へと変化する。
私は彼を、その妃を、その子孫を憎むようになった。
いつか必ず復讐を遂げてやる。
そう思いながら、彼の死も、妃の死も、二人の間の子供や孫の死も見届けてきた。
そうして数百の年を数えた頃のことだった。
魔法の鏡が、私から彼を、彼の言葉も、思い出も何もかもを奪い去った
あの(おんな)にそっくりな赤ん坊を目の前に映し出したのは。
今こそ復讐の時が来た! 
私は歓喜した。
すぐに魔法を使ってその母親を殺し、父親を籠絡してその妃の座に収まった。
義理の娘となった幼子は、日を追うごとにあの女へと似通ってくる。
私は数百年の間積もり積もった憎しみを、全てその娘へとぶつけた。
ところが娘は、成長すればするほどに、辛く当たれば当たるほどに
不思議とその美しさを増していった。
そうしてある日、鏡が告げた。
 
『この世で一番美しいのは最早あなたではありません。
あなたの義娘(むすめ)、あなたの復讐の相手、白雪姫こそが、この世で一番美しい!』
 
私は己の最後の砦がガラガラと崩れ落ちていく音を聞いた。
言葉も、思い出も、私が唯一あの女より勝っていたはずの美しさでさえも、
あの女の子孫に奪われてしまったというのか!?
そうして私は、彼女を殺すことに決めた。
 
例え焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬより辛い罰が待ち受けていようと、
私が私を救うためには、あの娘を殺すより他無かった。
私は後悔していない。詫びの一つとて、するつもりはない。
あの娘を愛する王子にどれだけ責め立てられようと、
幸せになった娘の姿に、どれだけ屈辱を感じようと。
おまえたちは知らない。
私の想いも、私の悲しみも、私の憎しみも!





シンデレラの継母

目次(その他)

拍手[0回]

PR


追記を閉じる▲

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



私は魔女の家に生まれた。
ある日、我が家に代々伝わる魔法の鏡の向こうに、一人の凛々しき青年の姿を見た。
魔女の家には女しか存在しない。
私は初めて見る“男”という存在に、そのたくましさに、その強い眼差しに一目で恋をした。
そうして私は“人間”の世界へと足を踏み入れた。
彼は一目で私と恋に落ちた。
私たちは深く愛し合い、互いに幸せを感じていると信じていた。
それが覆されたのは、一体いつのことだったのだろう。
ある日、彼が私に贈ってくれた大切な指輪を、不注意から湖に落としてしまった。
慌てた私は彼の前で、とっさに呪文を唱えてしまった。
 
『水の精霊たちよ、指輪を拾い上げておくれ!』
 
私の魔法を見た彼は驚きに目を見開き、次にその顔に浮かんだのは畏怖と嫌悪であった。
 
『君は……魔女なのか?』
 
私が黙って頷くと、彼は後ずさってこう告げた。
 
『何てことだ! よりによって魔女だなんて!
魔女を妃に迎えるわけにはいかない。もう君とは会えない。
いいや、今までのことももしかして全部、おまえの魔法の仕業なのか?
ああ、そうに違いない。そうでなければ誰が、恐ろしい魔女などと!』
 
『違うわ、待って!』
 
叫んだ私の声は、白馬に跨り走り去った彼の耳には届かなかった。
それでも私は、彼を思い切れなかった。
我が家へと戻った後も、ずっと鏡を通じて彼のことを見つめ続けてきた。
私と別れて半年が過ぎた頃、彼は妃を娶った。
彼の妃となったのは、人間にしては美しい、けれど私に比べれば見劣りのする、
雪のように白い肌、窓枠のように黒い瞳、血のように紅い唇をした女だった。
 
『君のことを世界で一番愛しているよ』
 
彼は妃に、私に囁いていたのとそっくり同じ愛の言葉を告げた。
許せなかった。
あの時間(とき)の思い出だけを胸に生きる私に、鏡よ、何て酷い仕打ちを見せてくれるのだ!?
嫉妬の炎は怨嗟に代わり、やがて強い強い憎悪へと変化する。
私は彼を、その妃を、その子孫を憎むようになった。
いつか必ず復讐を遂げてやる。
そう思いながら、彼の死も、妃の死も、二人の間の子供や孫の死も見届けてきた。
そうして数百の年を数えた頃のことだった。
魔法の鏡が、私から彼を、彼の言葉も、思い出も何もかもを奪い去った
あの(おんな)にそっくりな赤ん坊を目の前に映し出したのは。
今こそ復讐の時が来た! 
私は歓喜した。
すぐに魔法を使ってその母親を殺し、父親を籠絡してその妃の座に収まった。
義理の娘となった幼子は、日を追うごとにあの女へと似通ってくる。
私は数百年の間積もり積もった憎しみを、全てその娘へとぶつけた。
ところが娘は、成長すればするほどに、辛く当たれば当たるほどに
不思議とその美しさを増していった。
そうしてある日、鏡が告げた。
 
『この世で一番美しいのは最早あなたではありません。
あなたの義娘(むすめ)、あなたの復讐の相手、白雪姫こそが、この世で一番美しい!』
 
私は己の最後の砦がガラガラと崩れ落ちていく音を聞いた。
言葉も、思い出も、私が唯一あの女より勝っていたはずの美しさでさえも、
あの女の子孫に奪われてしまったというのか!?
そうして私は、彼女を殺すことに決めた。
 
例え焼けた鉄の靴を履かされ、死ぬより辛い罰が待ち受けていようと、
私が私を救うためには、あの娘を殺すより他無かった。
私は後悔していない。詫びの一つとて、するつもりはない。
あの娘を愛する王子にどれだけ責め立てられようと、
幸せになった娘の姿に、どれだけ屈辱を感じようと。
おまえたちは知らない。
私の想いも、私の悲しみも、私の憎しみも!





シンデレラの継母

目次(その他)

拍手[0回]

PR

コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿
URL:
   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

Pass:
秘密: 管理者にだけ表示
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

この記事へのトラックバック