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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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支援を停止してしまったら余計生活に困って難民()化する人が増えてしまうと思うのですが、ド○ツさんは相変わらずテンパるととんでもないというか、日.本人も他人のこと言えないけど計画通り進まないことに対応できない民族やな。「他者も自分と同じように考え、行動するはずだ」という頑固な思い込みが両者の一番ダメなところ( ´-`) 大○亜共栄圏が失敗した理由、「鬼のような日/本人」像もぶっちゃけ全てはこの点に原因があるやろ。「ウチらにできることはおまえらにもできるはず!飲まず食わずで歩け、働け、規律を守れ!」という根性論(笑)某死の行進やら看守の厳しさやら徴用、軍事教練やら。ウチらはホント均一的な文化しか知らない系バカだった。ドイ○は大陸育ちなのに何でああなったんだろう? 厳格な宗教騎士団が母体のせい? 他者への無理解と真の意味で多様な意見への不寛容、極端から極端に走る意固地さが最大の弱点だよなー。柔軟性がないからいきなりボキッと折れちゃう。

ディック氏遺作読み終わりましたが、『変身』が私に世の中のビジョン、これから先に待ち受ける人生、自分というものの正体を教えてくれた本だとしたら、この作品は実際に私が生きてきた現実を、体験をほじくり起こして突きつけてくる、まさに「共感」の本だった。全ての言葉、登場人物の心情が永遠に心の中に残ると思います。ヤバイ涙が止まらん(´;ω;`)
※いつも通り病み含みますm(__)m

14章、ベアフットのセミナーで己の存在意義を「他の生命と同じく啓蒙を求めること」と考えているエンジェル。「あたしは理解に欠陥があるので、知りたいと熱望している。・・・あなたのいうことを何でも信じる。あたしは完全な愚者、・・・与えて。・・・それがあたしをなだめて忘れさせてくれる」必死に地に足を付けようともがく一方でティムの代わりを探し続けるエンジェルが(>_<) そんな新しい“主教”を、“救い”を求める彼女に対して、「私は魚を求めて釣る。魂ではない。そんなもの知らない。・・・もし漁師が魚以外の何かを釣ろうとしているなら、その人は愚か者だ。自分自身と釣ろうとしているものをだましていることになる」と応じるベアフットの言葉が“コイツやりよる”感プンプン(笑)
触られるのを嫌がるエンジェルへ「あなたの問題は、だれもあなたに触れたことが無いということなのかもしれない」と告げる彼の言葉はある意味核心を突いているような。あれほど信仰し、恐らくキルスティンへの嫉妬の最大の要因でもあったティムの誘いすらも、彼女は“変わること・また変えられないこと”への怯えゆえに拒んだ。物心両面から自分の状況とも大いに被って共感できるしな(・ω・;) 更に続けて「あなたは何も言ったことがない。これまで一生だまってきた。しゃべったのはあなたの口だけだ」とのセリフには全くもってその通りですとも!とエンジェルになり代わって同意しちゃったよね。「自分は友人たちを破滅に追いやった裏切り者で、言葉の病気」だと宣言したエンジェルに「私には言葉はない。これであなたは知りはじめた」と小憎ったらしいことを言うベアフット。自分で自分の面倒が見られるのなら、例えそれが意図しての積極的なものでなくとも「生きている」と捉える言葉には正直グッと来ちゃったかな。私が前章までの彼女に見出した希望に近い。
「自分でそう思っていなかったとしても、あなたは言葉の下で生きている。これを言葉を使わずに伝えるのは不可能です。私たちには言葉しかない。・・・私はあなたに語りかけるが言葉によってではない。いまのが筋が通っていると思いますか?」当然「いいえ」と答えるエンジェルに「あなたは病気じゃない。飢えているんだ。あなたを殺しているのは飢えで、言葉なんかまったく関係ない。生涯飢えてきた。霊的なものでは役に立たない。あなたはそんなものは要らない。・・・あなたは愚か者だ、それも悪い方の」この辺、まさに私が誰かに言ってほしい言葉なんですけどー/(^O^)\ 「あなたに必要なのは本物の肉と飲み物。・・・私はあなたに本当の食べ物を提供する。あなたの身体のために、それが成長するように。・・・ここにきたのは食べ物を得るためなのに自分ではそれをまったくわかっていない。それを告げるのが私の仕事。・・・愚かな者たちは私の話を聞き、賢い者たちはサンドイッチを食べる。・・・言葉、しゃべりは単なる風――何物でもない。・・・あなたたちはお金では計り知れないものを学ぶんだ。・・・・あなたはすべてを逆に理解している。大学でそう教わったからだ。大学はあなたにまちがったことを教え、ウソをついた。いまや皆が上手にウソをつく。・・・サンドイッチを手に取って食べなさい。言葉のことは忘れて。言葉の唯一の狙いは、ここにあなたをおびき寄せることだったんだ」この長い、彼女にとっての真理が込められていると感じられるであろう言葉をベアフットが本気で言っている、と思ったことで苦しみの喪失と穏やかさを得られたエンジェル。
こんなブログやっといてなんですが、「言葉では人は生きていけない。言葉は腹にたまらない。」とイ○スの発言を否定するベアフットの態度がいっそ気持ち良いな!^^ そして再会したビルを交えての菩薩話キター。タイトルが『転生』となってるからいつかは出るんだろうなと思ってましたよ、ヒ○ドゥーネタは前からちょいちょいエンジェルの回想やティムとの議論の中にあったし。叡智=共感の同一視ね、それが菩薩の本質的な認識だと(´-`) てか仏系は大体優しくてすがる者に同調してくれるイメージあるわ。相手重視の「察する」アジアン文化の特色なのかな? 一神教ってとにかく「神が絶対なんで従っとけば間違いない」と信者が神の方に合わせないといけない印象強いもんなぁ。仏教や神/道が「来る者拒まず去る者追わず」の信者ありき(だから潰れる寺社が出てくんだよね。笑)なら、アブ○ハム系はまず神ありきなの。
ベアフットによる仏教解釈で「『目覚める』というのは『悟る』と同じこと。みんな眠っているのにそれを知らない。・・・人生のすべては夢で、私たちの会話は夢を見ている者同士の会話であり非現実なんだ」というのは正直日.本人にとっては当たり前の感覚かな? エンジェルは「まさに今の状況がそうだ」と受け取ったみたいだけど。「大学の講義たくさん取ったけど卒業はしなかった」ってベアフットさんも私かよ!(^ω^*)テレッ カントの時間、空間、因果律の論文のこと考えながら歩いててふっと突然サトリを開いちゃった彼(ノ∀`) ぶっちゃけ客観的事実に基づく世界と主観的経験に基づく世界が並行的に存在してるというのは至極当たり前の、人間誰しもがナチュラルに受け入れて理解しているもんだと思っていたのだが彼にとっては違ったのか? 世界は必ずしも“一つ”でなければならないと? 干渉さえし合わなかったら(まぁ実際には干渉し合うことは避けられず、上手いこと折り合いを付けられるのが“マトモ”な人、と個人的には捉えてますが)、完全に別たれた二つの世界が自分の中で同時に存在していても何ら問題はないと考えているクチなんで、ベアフットが束の間「かいま見た」と表現している部分やカントの「知られ得ぬもの」にも正直ビックリポ○でしたわー(@_@;) 西洋思想と東洋思想の違いのせいかな?
で、ティムの死についてのやりとり、彼が探していたものを見つけられたかは疑わしい、とエンジェルに同意しつつも「もっといいものを見つけたかもしれない。そもそも探すべきだったのに、探していなかったものを。・・・私たちみんなが、意図していないのに強制的に偶然菩薩になっていることがあり得る」と語るベアフット。うーん? で、エンジェルに食べ物を持って戻って来たビルが「エンジェルは誰も裏切ってない、ただの思い込み」と告げ、友人たちを救えたかもしれないのにみすみす死なせたことが裏切りだ、と語るエンジェルに「ティムは死を求めてイスラ○ルに行ったんだから、それは不可避だった。・・・だからこそ私は、彼が探していたものを見つけたか、あるいはもっといいものすら見つけたかもしれないと言ったんだよ」と応えるベアフット。ティム信者のエンジェルの「ティムは死なんか求めてなかった。運命に対して果敢に戦った」という反論に対して「死と運命は別物。かれは運命を避けるために死んだ。それよりもひどい運命が迫っていたから。だからこそティムは死を求め、それを手に入れた。でも私は彼がもっといいものを見つけたと思う」と。運命とは何か問うエンジェルに「無意味な言葉に惑うこと。言葉の商人。生との接触がない」とのベアフットの返事、刺さるわー><グッサー!
母の死では笑ってしまった破瓜病のビルが、ティムの死に笑えるところがなかった、と言うくだり(´・ω・`) 「ティムが探し求めているものは可笑しくなんかなかった。・・・死なんか求めてなかったよ」無意識のうちに求めていたのかも、と応じるエンジェルに「無意識の動機がどうしたという話はすべてナンセンス。そういう理屈を立てたらどんな動機だって持ち出せる。検証する方法がないんだから。」とまーた真理を突いてくるビル!その上「ティムの困ったところは自分では何も考えなかったこと。他の人の考えを拾ってきて、それが自分の頭から出てきたと思いこむんだけど、実は盗んでたんだ」って真実を理解していたという・・・ソレお母さんに告げてあげてたらどんだけ彼女もエンジェルも救われていたか(´Д`;) それでもティム信者のエンジェルは彼を必死に庇おうとし、ビルは彼自身もティムが大好きで彼を大好きだった人は沢山いるけど、偉大であると同時に愚かな人であったことも確かで、彼女もそれは知っているはずだと告げる。そしてエンジェルは学びすぎで破滅したと。どんなに教育を受けても愛する人々に起こった悲劇に対処するには何の役にも立っていないと。「対処しようがないんだってば!」このエンジェルの叫びは私の心の叫びなんじゃないかと思うくらいリンクしてしまってヤバイ。・゜・(ノД`)・゜・。
ブチ切れた彼女が「何でベアフットがあんたのことを菩薩呼ばわりしたのかわからない。」と言って、ついにタイトルの核心に・・・「涅槃に達したかもしれない。でもそれを拒絶したんだ。戻ってくるために」おお?(^ω^;)「ぼくはこの世界に戻ってきたんだ。来世から。共感のために。ぼくがあの砂漠で学んだのはそういうことなんだ」「それがぼくの見つけたものだ」「ぼくはティム・アーチャーだ。向こう側の世界から戻ってきたんだ。愛する者たちのところへ」何だってー!?Σ(゜Д゜;)

15章、エンジェル怒りと戸惑いで錯乱中(笑)「ある本当の意味で、あんたこそあたしたちの中で唯一正気の人物だと思ってたのよ。イカレポンチとレッテルを貼られてるけど、でも正気。あたしたちは正気とレッテルを貼られてるけど、みんなイカレポンチ。・・・こんなことは、あんただけには絶対に起こらないと思ってた」「ちくしょうめ。手に負えないわ、この狂気のプロセスは。昔からビルは現実に根ざしているから大丈夫と思ってたのに。・・・それがいまや、あんたもみんなと同じくらい、いやもっと発狂してる」彼女の絶望がどうしようもなく理解できる(つД`)ウワアア何でや!? ビルとティムの二人から一つの人格が形成されたと語るビル。もしエンジェルが信じたら、彼女は旧友が死んでないから嬉しいはずだと、その気持ちが切ない(´;ω;`)
ティムの言葉として「心の『存在』があの地域にあり、『再臨』=アノキという探しものを彼は見つけた」とビルは告げる。その話を聞き、ベアフットが彼を菩薩だと呼んだ時に初めて彼はティムが共感のため、愛する者のために戻ってきたことに気がついた、と。けれどそれを懐疑的な人たちに対して証明できないと語る彼に「証明はこの世で最も簡単なことのはずなのにどうしてできないの?」と問うエンジェルに対し、「あなたに証明できる?ぼくはあなたにさえ証明できないのに。神様に対する信仰みたいなもの。神様、その存在を知ることも体験することもできる。でも自分がそれを体験したってことは他のだれに対しても証明できない」というビルの返答・・・これはその通りですな(´-`) オカルトに分類されちゃう体験しかり、信仰しかり。目に見えないものや心で感じたものは決して他人との共有が不可能なので、主観的世界の範疇にしか留まれない。前章ベアフットが「サトリ」でかいま見た世界、カントが「知られ得ぬもの」と呼んだ領域。大多数の人はこの点とっくに諦めて他者との接続・理解を拒んでいる部分があると思う。(あ、もしかしてソレが日/本人の「ホンネとタテマエ」言われちゃう部分?(^^;)
彼の話に絶句せざるを得なかったエンジェルの「狂気は小さな魚のように宿主の中で、無数のタイミングで生き続ける。単独じゃない。じっとしてとどまらない。風景、海の光景すべて、どっちだろうと広がろうとする」という捉え方が面白い。「まるであたしたちは水中の中にいるみたい。夢の中にいるんじゃなくて、変な行動をしたり信念を持たないか、観察され調べられてる。あたしはメタファー中毒。ビルは狂気中毒で、いくら狂気があっても足りない。底なしの食欲を狂気に対して持っていて、それを可能なあらゆる方法で手に入れる。それもまさにちょうど、狂気が世界から過ぎ去ったと思えたそのときに。」通院歴7年ほどになる私、心から納得・同意致しますm(__)m 色んな人がいるし、(あんま良くないことなのかもしれないけど)先生も話してくれる。私の今の狂気は恐らく読書に向いてるのかな? 近しい「狂気」に彩られた「共感」できる文章をひたすら求めている状態。少し前はヅカやアイドルだったこともあったし、音楽、絵、歴史、古典、マンガやアニメ、酷い時にはクマのぬいぐるみに向けられていたこともあったからやっぱり偏執狂なんだとは思う。ハマったら尋常じゃないもん。何を惜しんでも費やすとか捨てられない、って一般的に見てソレは病気でしょ?(-_-;) あ、最近もっとえげつないオタさんの話聞いたからギリセーフだったわ、と感じたけど傍から見て標準の範囲は逸脱するレベルのハマりっぷりだったと思う。だって大体が現実からの逃避目的だと自分でもわかってたし。家にあるグッズと費やしてきた金額と当時の自分の懐事情照らし合わせれば嫌でも形を変えた狂気に過ぎないと、どんなオタでも気づくんじゃない?だから日/本がそういう軽いクレイジー文化に寛容なのはある意味非常に助かる面。それだけしんどい社会ってことの裏返しなのかもしれないけど、ラリるよりは健康的にずっとマシだろ^^
でも最終的にエンジェルは「自身にティムが再臨した」という発想が、ビルの母親と父に相当する存在の喪失という苦痛への解決策なのだと考え直し、それが彼にとってもっともらしいやり方だと自分を納得させた。その上で自分の解決策がビルのそれになり得ないのと同様に彼の解決策が彼女にとってのソレになることはあり得ない、と断じる。「人はみんな、自分なりの解決策を見つけなければならず、特にあたしたちみんな、それぞれ死が作り出すような問題を解決しなきゃいけない――死が他人にとって作り出す問題を。でも死だけじゃない。狂気もそう。その論理的なゴールである最終的な死へとつながる狂気が他人にとって作り出す問題も、人それぞれの解決が必要」って独白が胸にこたえた。未だにソレを探して、見つけられずにいる気がする。人間誰もがそうじゃないのか? トシ取れば慣れるもん? だからどうやって狂気の果てに終わりを迎えて良いかわからなくて迷ってんだよずっと。(ホント病んでてすみませんm(__)m)
「ビルの心にやってきたのはティモシー・アーチャー主教ではなく、彼のコンセプト、彼が自分の中に霊的なものとしているという概念。あるものの概念と、そのもの自体とはちがうのよ。」熱烈なティム信者だったエンジェルの冷静さに救われる思い。それだけ彼女は親友を死に追いやったオカルティズムを憎んでたんや、とちょっと切なくもなりますね(´・ω・`) だってビルってまさにソレに殺されたキルスティンの息子なんだもん。それから使命感を感じ出すエンジェル。「あたしたちの中でまっ先に狂った人物が、いまや最後に狂った人物となった。・・・それについて何かできることはあるんだろうか?・・・何かすべきなんだろうか?」エンジェルが機械ではなく“人間”に戻った瞬間だと思う。彼女はやっぱり強く立ち上がったよ!
そんなビルとラリるくだり、ティムがビルの中に戻ってきたことを羨み、「あたしの頭の中にいれば、こんなに寂しくないのに」「どうしてティムはあたしに戻ってこなかったの?・・・あたしの方が彼をよく知ってたのに」というのは、まごうかたなきエンジェルの本音だと思った(;_;)切ない・・・!作者がどこまで本気で書いていたのかは分かりませんが、ビルが「アノキ、神様の純粋意識にたどり着いて存在がティムに入り込んだところで、自分が求めていたのは叡智じゃなくて共感なんだと気がついたんだ……すでに叡智は持っていたけど、自分にも他人にもちっとも役に立たなかったから」とティムの代弁をする箇所が鳥肌もん(((゜Д゜;)))gkbr え、結局すべての宗教一緒くたにしてきやがったー!電気羊のマーサー教、共感ボックスの辺りから作者はソレに囚われてたのがうかがえるけど、ラグ○ロクとか人.類補.完計画なんて真っ平御免ですよ正直>< 大事なのは分かるけど、それが相互理解に繋がる希望なのかもしれないけど、他者と自己の境界線はやっぱり重要。個性の線引き、多様性があってこそ初めて種全体が繁栄できる可能性が残るってもんでな・・・と生物学に走ってみる(笑)

16章、ビルの自発的再入院で医者から辛辣なことを言われるエンジェル。(そりゃ精神病患者ラリらせたらあかんやろ(^^;)「あなたは全般に世界のあらゆる面に対して見下すような態度をお持ちだ。・・・自分が何でもご存じだと思ってる。あなたはビルに大きな害を与えてるんですよ・・・。またあなた自身に対しても大きな害を自分で与えています」ってトコ、めっちゃ心に突き刺さる(´Д`;) どれだけそれで他人をムカつかせ、不快な気分にさせてきたか。嫌われ、遠ざかってしまってきたか。家族に対してもきっとそうなんだろう。(特にニュースや海外ネタでケンカしちゃう件とか)んで引きこもるんだよねー、私はエンジェルと違って。ずっと大学に留まれるだけの根性が無かった。狂気は卒論作成を不可能にする段階にまで及んでしまった\(^O^)/ マジそれだけでウン年分の時間と学費と取得単位棒に振ったバカヤローは、我ながら軽蔑されて当然だと思いますorz
医者からビルに二度と会うな、と言われ「これで最後の一人も失ってしまった」と落ち込むエンジェル。病院の庭でビルを見つけ出し、完全にティムになりきってしまった彼に向かって「あたし、あなたがもう一度元気になれるように戦うわ。・・・リアルなことができるようにしてあげる。昔通りのあなたにするわよ。あきらめない。あなたは自分の拠点を思い出すわ。」とエンジェルが囁くセリフは、やっと彼女の“目覚め”が来た、最後の一人を失わないために、人間としての現実の意志を取り戻したのだ、と非常に胸打たれるものがある(つД`)
でもってベアフットのオフィスで唐突に琴が出てきて衛藤さんググっちゃった(笑)i-tu○esにもつべにも無いやんけ『みどり○朝』・・・!o(´皿`;)ギギギ 他の二曲はつべで見っけて素敵だったけど、DL版も無いし密林も品切れだと?ガチでコレクターズアイテムなんだ、日/本人なのに無知で恥ずかしー(∩///∩)
ベアフットから「初期の教会神父の一人がイ○スの復活を信じていた理由が『それがあり得ない』ということだった(奇跡を起こせるのは神にしかできないことだから、って理屈かな?)」という話を聞いたエンジェルの反応、「だれであれそんな風に生き続けるなんて考えられない。あたしにとっては、それこそこのバカげた話のすべてを象徴するものよ、何かが不可能だからそれを信じるなんて。あたしに見えるのは、人々が発狂して死ぬところ。まずは狂気、それから死」というのが積み重なった彼女の深い悲しみ、死と狂気への憎悪が伝わってきて辛いですね。個人的は狂気の前に“苦悩”を付け加えたいところ。やさしくても繊細でも賢くても愚かでも激しやすくても忍耐強くても、悩みが皆無な人なんていないし、人生において一度も苦しみを受けない人なんかいるはずない。生まれてすぐ死んだ赤ん坊くらい?おそらく肉体的な苦痛のみで済むだろうから。乗り越えられなかったら狂気の側に転がり落ちるのはあっという間。誰にでもすぐ隣に口開けて待ち構えてるものなんだ、と精神科(近くに仮設あり=一部被災者さん御用達(-m-))通いで思い知りますよ。
「退院してきたらあたしが待ってる。死の代わりにビルはあたしを得る」と決意を込めて宣言するエンジェルに「ビルのためでなくきみのために良いことだ。あれが本当にティムかどうか確かめられ、疑問に答えが出る」と告げるベアフット。「彼を受け入れていっしょに暮らし世話をすれば、自分がティムの面倒を見ているのに気がつくかもしれないぞ、ある本当の意味でね。・・・あなたがずっとやってきた、少なくともやりたかったことなんだろう。そうでなくとも、やるべきことだった。」彼女の自己満足を肯定しつつ、ベアフットはハッキリと「彼は救いようがない」とも述べる。それでも「何もしなかった」結果“彼ら”は死んでしまったから、「二度とそんなまちがいはしない」と応じるエンジェル。頑張れ!>< そして最終的にビルとの同居を受け入れさせられたことに気づき、ベアフットのやり方がティムとそっくりだと思い到る――「ある意味で、ティム・アーチャー主教はビルの中よりもむしろあなたの中で生きているんだわ」ここゾクゾクーッと来ません!?最重要人物を最後の最後に端役のように登場させる、ディック文学の真骨頂的ロジックが遺作でまで活きてる(@o@;) ベアフットと握手して「その握力は力強かった。それもまたティムを思わせた。すると、本当にティムはいまここにいるのかもね。何らかの形で。彼をどう定義するか次第。多言語で引用する能力か、人の命を救う能力か。(ここでエンジェル+ビルもかな?の命は少なくともポジティヴな方向に向いたことが分かってホッとする一文(´∀`;)=3)いずれにしても、ティムはまだここにいるみたい。あるいは再びここにいるみたい。」と感じるエンジェルの独白に、人々がキリ○トの復活を必要とした理由がやっと解った気がした。失うべからざる絶対的な信仰と愛情の対象を失った時の絶望、それから脱け出す、いや脱け出させるために不可欠なストーリーだったんだ。受け継がれる命、断絶のない永遠の存在。それを信じることによって、あるいはそうと思いこむことによって人はようやく立ち直れる。前を向いて“生きて”いける。輪廻転生の発想も、日/本人がTenno家の万.世一.系にこだわるのも理屈的には同じこと。(この辺、易/姓革/命思想の大陸の方々はどう考えてらっしゃるのか興味深いけど、Tennoは一応『天.孫』であり神事も司る存在である点を思えば向こうの皇帝とは事情が違い過ぎるかー(´-`))

エンタメとしては初期二作、電気羊と高い城には程遠いというか、アッチが好きな人には全く楽しめないカオスな内容だったかもしれないけど、自分にとっては一番の傑作というか絶妙にフィットする翻訳文学ベスト3くらいに入るほどハマってしまった作品でした。死に近づいていることを予期して書いていたんだろうか?解説読むと「作者は三部作っつってたけどぶっちゃけ前二作との関連あんまりよく分かんない」みたいなこと書いてあったので、スルーで魯迅に向かおうと思います!(^^)b 病み旅はしばらく続くとも、おそらく胃の調子戻るか(現時点でそんな日来んのか、って感じだけど)、本気でもう終わろうと決める時まで。エンジェルに最高に共感できたのは「本を通して他者のビジョンを得られるようになった」と考えてる点だよ。まさに共感がテーマの話だったから。
実際はそう思いこんでるだけかもしれないのに、私今の特に酷いハイパー病み期間に読んだ本の感想の中で何回「共感」って言葉を使ったか分からない。自分以外にも狂気を抱えた存在がいる・いたという事実に安堵し、そしてその狂気に同調しちゃう。だから本気で文学界に名を残したいと考える作家は常に狂気との境目にいないといけないし(ハルキを認められないのはこの点も大きいかもね☆)、小説を読む趣味を持つ人間は正直ある程度どっか頭のネジが飛んでると思う。読書サークルに参加してる友達がハタチそこそこでス○ー・ウォーズとプリ・プ○の大ファンで、昼休憩の時間ゴハン食べずに全部読書に充ててる変わった子の話をしてましたが、ぶっちゃけ私もその状態に近かった。過去の洋楽ばっかり聴いて、とっくに解散してメンバー死んでるバンドのライヴに行けないこと、CD一枚しか手に入らないことにどれほど歯噛みしたことか。生で演奏聴ける機会も新曲待つ楽しみも永遠に存在しないのにハマっちゃうんですよ!>< 昔の映画も大好きで随分漁ったし。監督・俳優、あの人もこの人もとっくに死んでて新しい作品や役を見られることは無いっつーのに。ヒキってて家事や片付けくらいしかやることないのに、それでも読む時間足りないと焦るから、本読む時間確保するために昼食削るくらい屁でもない気持ちも普通に理解できる。2~3時間の電車通勤or一人暮らしなら半身浴長風呂が読書環境としては最適なんだけど、こっちは車社会・実家住みが多いしね(´-`) 仮に将来運転しながら読書できるようキ○ドル的な端末に音声朗読機能が詰め込まれたとしても、文字で読むのと全く違ってダメなんだよね。噛みしめられない。文字を読み、言葉を認識し、ページ全体を見回して初めて理解→ストーリーやキャラの心情への共感が芽生えるから。
ちなみに一番嫌いな本のジャンルは自己啓発系です。ちっとも成功してない私が言うと説得力ゼロになるかもしれませんが(-_-;)、エンジェルが独白してたように人それぞれ問題の解決策は違うんだよ!この点に関しては万人に当てはまる普遍性なんかあり得ない。だから他人の言うそんなモンに金や時間を費やすのはムダ。最も近いのが宗教だから、キリス○教関連書店などでよく売られているソレと合わさったヤツは本当最悪の部類な(;´д`) 祖母が一番よく買ったり贈ってくるアイテムでした・・・てか聖.書自体が最古の啓発本と言えるのかも(笑)
このどうしようもない鬱状態にあって、読書という糧を取り戻させて下さったオーウェル・ディック両御大に今のところは大感謝です(-人-) とりあえず読みたい、読まなきゃいけない、読んでおかないと終われないもの全部読んでからどうするか決めよう、と思えたのが正直今の自分にとっては進歩。少なくともその時までは自分の病みを受け入れて、何とか共存していかなくては、と。最低のクズだとわかっているけど、私はエンジェルのようにはなれない。もう「頑張る」ことは無理。少しでも本を読み「共感」するだけの正気を保っていられる時間が長く続くことを祈るしかないです。あーお腹痛いorz

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14章、ベアフットのセミナーで己の存在意義を「他の生命と同じく啓蒙を求めること」と考えているエンジェル。「あたしは理解に欠陥があるので、知りたいと熱望している。・・・あなたのいうことを何でも信じる。あたしは完全な愚者、・・・与えて。・・・それがあたしをなだめて忘れさせてくれる」必死に地に足を付けようともがく一方でティムの代わりを探し続けるエンジェルが(>_<) そんな新しい“主教”を、“救い”を求める彼女に対して、「私は魚を求めて釣る。魂ではない。そんなもの知らない。・・・もし漁師が魚以外の何かを釣ろうとしているなら、その人は愚か者だ。自分自身と釣ろうとしているものをだましていることになる」と応じるベアフットの言葉が“コイツやりよる”感プンプン(笑)
触られるのを嫌がるエンジェルへ「あなたの問題は、だれもあなたに触れたことが無いということなのかもしれない」と告げる彼の言葉はある意味核心を突いているような。あれほど信仰し、恐らくキルスティンへの嫉妬の最大の要因でもあったティムの誘いすらも、彼女は“変わること・また変えられないこと”への怯えゆえに拒んだ。物心両面から自分の状況とも大いに被って共感できるしな(・ω・;) 更に続けて「あなたは何も言ったことがない。これまで一生だまってきた。しゃべったのはあなたの口だけだ」とのセリフには全くもってその通りですとも!とエンジェルになり代わって同意しちゃったよね。「自分は友人たちを破滅に追いやった裏切り者で、言葉の病気」だと宣言したエンジェルに「私には言葉はない。これであなたは知りはじめた」と小憎ったらしいことを言うベアフット。自分で自分の面倒が見られるのなら、例えそれが意図しての積極的なものでなくとも「生きている」と捉える言葉には正直グッと来ちゃったかな。私が前章までの彼女に見出した希望に近い。
「自分でそう思っていなかったとしても、あなたは言葉の下で生きている。これを言葉を使わずに伝えるのは不可能です。私たちには言葉しかない。・・・私はあなたに語りかけるが言葉によってではない。いまのが筋が通っていると思いますか?」当然「いいえ」と答えるエンジェルに「あなたは病気じゃない。飢えているんだ。あなたを殺しているのは飢えで、言葉なんかまったく関係ない。生涯飢えてきた。霊的なものでは役に立たない。あなたはそんなものは要らない。・・・あなたは愚か者だ、それも悪い方の」この辺、まさに私が誰かに言ってほしい言葉なんですけどー/(^O^)\ 「あなたに必要なのは本物の肉と飲み物。・・・私はあなたに本当の食べ物を提供する。あなたの身体のために、それが成長するように。・・・ここにきたのは食べ物を得るためなのに自分ではそれをまったくわかっていない。それを告げるのが私の仕事。・・・愚かな者たちは私の話を聞き、賢い者たちはサンドイッチを食べる。・・・言葉、しゃべりは単なる風――何物でもない。・・・あなたたちはお金では計り知れないものを学ぶんだ。・・・・あなたはすべてを逆に理解している。大学でそう教わったからだ。大学はあなたにまちがったことを教え、ウソをついた。いまや皆が上手にウソをつく。・・・サンドイッチを手に取って食べなさい。言葉のことは忘れて。言葉の唯一の狙いは、ここにあなたをおびき寄せることだったんだ」この長い、彼女にとっての真理が込められていると感じられるであろう言葉をベアフットが本気で言っている、と思ったことで苦しみの喪失と穏やかさを得られたエンジェル。
こんなブログやっといてなんですが、「言葉では人は生きていけない。言葉は腹にたまらない。」とイ○スの発言を否定するベアフットの態度がいっそ気持ち良いな!^^ そして再会したビルを交えての菩薩話キター。タイトルが『転生』となってるからいつかは出るんだろうなと思ってましたよ、ヒ○ドゥーネタは前からちょいちょいエンジェルの回想やティムとの議論の中にあったし。叡智=共感の同一視ね、それが菩薩の本質的な認識だと(´-`) てか仏系は大体優しくてすがる者に同調してくれるイメージあるわ。相手重視の「察する」アジアン文化の特色なのかな? 一神教ってとにかく「神が絶対なんで従っとけば間違いない」と信者が神の方に合わせないといけない印象強いもんなぁ。仏教や神/道が「来る者拒まず去る者追わず」の信者ありき(だから潰れる寺社が出てくんだよね。笑)なら、アブ○ハム系はまず神ありきなの。
ベアフットによる仏教解釈で「『目覚める』というのは『悟る』と同じこと。みんな眠っているのにそれを知らない。・・・人生のすべては夢で、私たちの会話は夢を見ている者同士の会話であり非現実なんだ」というのは正直日.本人にとっては当たり前の感覚かな? エンジェルは「まさに今の状況がそうだ」と受け取ったみたいだけど。「大学の講義たくさん取ったけど卒業はしなかった」ってベアフットさんも私かよ!(^ω^*)テレッ カントの時間、空間、因果律の論文のこと考えながら歩いててふっと突然サトリを開いちゃった彼(ノ∀`) ぶっちゃけ客観的事実に基づく世界と主観的経験に基づく世界が並行的に存在してるというのは至極当たり前の、人間誰しもがナチュラルに受け入れて理解しているもんだと思っていたのだが彼にとっては違ったのか? 世界は必ずしも“一つ”でなければならないと? 干渉さえし合わなかったら(まぁ実際には干渉し合うことは避けられず、上手いこと折り合いを付けられるのが“マトモ”な人、と個人的には捉えてますが)、完全に別たれた二つの世界が自分の中で同時に存在していても何ら問題はないと考えているクチなんで、ベアフットが束の間「かいま見た」と表現している部分やカントの「知られ得ぬもの」にも正直ビックリポ○でしたわー(@_@;) 西洋思想と東洋思想の違いのせいかな?
で、ティムの死についてのやりとり、彼が探していたものを見つけられたかは疑わしい、とエンジェルに同意しつつも「もっといいものを見つけたかもしれない。そもそも探すべきだったのに、探していなかったものを。・・・私たちみんなが、意図していないのに強制的に偶然菩薩になっていることがあり得る」と語るベアフット。うーん? で、エンジェルに食べ物を持って戻って来たビルが「エンジェルは誰も裏切ってない、ただの思い込み」と告げ、友人たちを救えたかもしれないのにみすみす死なせたことが裏切りだ、と語るエンジェルに「ティムは死を求めてイスラ○ルに行ったんだから、それは不可避だった。・・・だからこそ私は、彼が探していたものを見つけたか、あるいはもっといいものすら見つけたかもしれないと言ったんだよ」と応えるベアフット。ティム信者のエンジェルの「ティムは死なんか求めてなかった。運命に対して果敢に戦った」という反論に対して「死と運命は別物。かれは運命を避けるために死んだ。それよりもひどい運命が迫っていたから。だからこそティムは死を求め、それを手に入れた。でも私は彼がもっといいものを見つけたと思う」と。運命とは何か問うエンジェルに「無意味な言葉に惑うこと。言葉の商人。生との接触がない」とのベアフットの返事、刺さるわー><グッサー!
母の死では笑ってしまった破瓜病のビルが、ティムの死に笑えるところがなかった、と言うくだり(´・ω・`) 「ティムが探し求めているものは可笑しくなんかなかった。・・・死なんか求めてなかったよ」無意識のうちに求めていたのかも、と応じるエンジェルに「無意識の動機がどうしたという話はすべてナンセンス。そういう理屈を立てたらどんな動機だって持ち出せる。検証する方法がないんだから。」とまーた真理を突いてくるビル!その上「ティムの困ったところは自分では何も考えなかったこと。他の人の考えを拾ってきて、それが自分の頭から出てきたと思いこむんだけど、実は盗んでたんだ」って真実を理解していたという・・・ソレお母さんに告げてあげてたらどんだけ彼女もエンジェルも救われていたか(´Д`;) それでもティム信者のエンジェルは彼を必死に庇おうとし、ビルは彼自身もティムが大好きで彼を大好きだった人は沢山いるけど、偉大であると同時に愚かな人であったことも確かで、彼女もそれは知っているはずだと告げる。そしてエンジェルは学びすぎで破滅したと。どんなに教育を受けても愛する人々に起こった悲劇に対処するには何の役にも立っていないと。「対処しようがないんだってば!」このエンジェルの叫びは私の心の叫びなんじゃないかと思うくらいリンクしてしまってヤバイ。・゜・(ノД`)・゜・。
ブチ切れた彼女が「何でベアフットがあんたのことを菩薩呼ばわりしたのかわからない。」と言って、ついにタイトルの核心に・・・「涅槃に達したかもしれない。でもそれを拒絶したんだ。戻ってくるために」おお?(^ω^;)「ぼくはこの世界に戻ってきたんだ。来世から。共感のために。ぼくがあの砂漠で学んだのはそういうことなんだ」「それがぼくの見つけたものだ」「ぼくはティム・アーチャーだ。向こう側の世界から戻ってきたんだ。愛する者たちのところへ」何だってー!?Σ(゜Д゜;)

15章、エンジェル怒りと戸惑いで錯乱中(笑)「ある本当の意味で、あんたこそあたしたちの中で唯一正気の人物だと思ってたのよ。イカレポンチとレッテルを貼られてるけど、でも正気。あたしたちは正気とレッテルを貼られてるけど、みんなイカレポンチ。・・・こんなことは、あんただけには絶対に起こらないと思ってた」「ちくしょうめ。手に負えないわ、この狂気のプロセスは。昔からビルは現実に根ざしているから大丈夫と思ってたのに。・・・それがいまや、あんたもみんなと同じくらい、いやもっと発狂してる」彼女の絶望がどうしようもなく理解できる(つД`)ウワアア何でや!? ビルとティムの二人から一つの人格が形成されたと語るビル。もしエンジェルが信じたら、彼女は旧友が死んでないから嬉しいはずだと、その気持ちが切ない(´;ω;`)
ティムの言葉として「心の『存在』があの地域にあり、『再臨』=アノキという探しものを彼は見つけた」とビルは告げる。その話を聞き、ベアフットが彼を菩薩だと呼んだ時に初めて彼はティムが共感のため、愛する者のために戻ってきたことに気がついた、と。けれどそれを懐疑的な人たちに対して証明できないと語る彼に「証明はこの世で最も簡単なことのはずなのにどうしてできないの?」と問うエンジェルに対し、「あなたに証明できる?ぼくはあなたにさえ証明できないのに。神様に対する信仰みたいなもの。神様、その存在を知ることも体験することもできる。でも自分がそれを体験したってことは他のだれに対しても証明できない」というビルの返答・・・これはその通りですな(´-`) オカルトに分類されちゃう体験しかり、信仰しかり。目に見えないものや心で感じたものは決して他人との共有が不可能なので、主観的世界の範疇にしか留まれない。前章ベアフットが「サトリ」でかいま見た世界、カントが「知られ得ぬもの」と呼んだ領域。大多数の人はこの点とっくに諦めて他者との接続・理解を拒んでいる部分があると思う。(あ、もしかしてソレが日/本人の「ホンネとタテマエ」言われちゃう部分?(^^;)
彼の話に絶句せざるを得なかったエンジェルの「狂気は小さな魚のように宿主の中で、無数のタイミングで生き続ける。単独じゃない。じっとしてとどまらない。風景、海の光景すべて、どっちだろうと広がろうとする」という捉え方が面白い。「まるであたしたちは水中の中にいるみたい。夢の中にいるんじゃなくて、変な行動をしたり信念を持たないか、観察され調べられてる。あたしはメタファー中毒。ビルは狂気中毒で、いくら狂気があっても足りない。底なしの食欲を狂気に対して持っていて、それを可能なあらゆる方法で手に入れる。それもまさにちょうど、狂気が世界から過ぎ去ったと思えたそのときに。」通院歴7年ほどになる私、心から納得・同意致しますm(__)m 色んな人がいるし、(あんま良くないことなのかもしれないけど)先生も話してくれる。私の今の狂気は恐らく読書に向いてるのかな? 近しい「狂気」に彩られた「共感」できる文章をひたすら求めている状態。少し前はヅカやアイドルだったこともあったし、音楽、絵、歴史、古典、マンガやアニメ、酷い時にはクマのぬいぐるみに向けられていたこともあったからやっぱり偏執狂なんだとは思う。ハマったら尋常じゃないもん。何を惜しんでも費やすとか捨てられない、って一般的に見てソレは病気でしょ?(-_-;) あ、最近もっとえげつないオタさんの話聞いたからギリセーフだったわ、と感じたけど傍から見て標準の範囲は逸脱するレベルのハマりっぷりだったと思う。だって大体が現実からの逃避目的だと自分でもわかってたし。家にあるグッズと費やしてきた金額と当時の自分の懐事情照らし合わせれば嫌でも形を変えた狂気に過ぎないと、どんなオタでも気づくんじゃない?だから日/本がそういう軽いクレイジー文化に寛容なのはある意味非常に助かる面。それだけしんどい社会ってことの裏返しなのかもしれないけど、ラリるよりは健康的にずっとマシだろ^^
でも最終的にエンジェルは「自身にティムが再臨した」という発想が、ビルの母親と父に相当する存在の喪失という苦痛への解決策なのだと考え直し、それが彼にとってもっともらしいやり方だと自分を納得させた。その上で自分の解決策がビルのそれになり得ないのと同様に彼の解決策が彼女にとってのソレになることはあり得ない、と断じる。「人はみんな、自分なりの解決策を見つけなければならず、特にあたしたちみんな、それぞれ死が作り出すような問題を解決しなきゃいけない――死が他人にとって作り出す問題を。でも死だけじゃない。狂気もそう。その論理的なゴールである最終的な死へとつながる狂気が他人にとって作り出す問題も、人それぞれの解決が必要」って独白が胸にこたえた。未だにソレを探して、見つけられずにいる気がする。人間誰もがそうじゃないのか? トシ取れば慣れるもん? だからどうやって狂気の果てに終わりを迎えて良いかわからなくて迷ってんだよずっと。(ホント病んでてすみませんm(__)m)
「ビルの心にやってきたのはティモシー・アーチャー主教ではなく、彼のコンセプト、彼が自分の中に霊的なものとしているという概念。あるものの概念と、そのもの自体とはちがうのよ。」熱烈なティム信者だったエンジェルの冷静さに救われる思い。それだけ彼女は親友を死に追いやったオカルティズムを憎んでたんや、とちょっと切なくもなりますね(´・ω・`) だってビルってまさにソレに殺されたキルスティンの息子なんだもん。それから使命感を感じ出すエンジェル。「あたしたちの中でまっ先に狂った人物が、いまや最後に狂った人物となった。・・・それについて何かできることはあるんだろうか?・・・何かすべきなんだろうか?」エンジェルが機械ではなく“人間”に戻った瞬間だと思う。彼女はやっぱり強く立ち上がったよ!
そんなビルとラリるくだり、ティムがビルの中に戻ってきたことを羨み、「あたしの頭の中にいれば、こんなに寂しくないのに」「どうしてティムはあたしに戻ってこなかったの?・・・あたしの方が彼をよく知ってたのに」というのは、まごうかたなきエンジェルの本音だと思った(;_;)切ない・・・!作者がどこまで本気で書いていたのかは分かりませんが、ビルが「アノキ、神様の純粋意識にたどり着いて存在がティムに入り込んだところで、自分が求めていたのは叡智じゃなくて共感なんだと気がついたんだ……すでに叡智は持っていたけど、自分にも他人にもちっとも役に立たなかったから」とティムの代弁をする箇所が鳥肌もん(((゜Д゜;)))gkbr え、結局すべての宗教一緒くたにしてきやがったー!電気羊のマーサー教、共感ボックスの辺りから作者はソレに囚われてたのがうかがえるけど、ラグ○ロクとか人.類補.完計画なんて真っ平御免ですよ正直>< 大事なのは分かるけど、それが相互理解に繋がる希望なのかもしれないけど、他者と自己の境界線はやっぱり重要。個性の線引き、多様性があってこそ初めて種全体が繁栄できる可能性が残るってもんでな・・・と生物学に走ってみる(笑)

16章、ビルの自発的再入院で医者から辛辣なことを言われるエンジェル。(そりゃ精神病患者ラリらせたらあかんやろ(^^;)「あなたは全般に世界のあらゆる面に対して見下すような態度をお持ちだ。・・・自分が何でもご存じだと思ってる。あなたはビルに大きな害を与えてるんですよ・・・。またあなた自身に対しても大きな害を自分で与えています」ってトコ、めっちゃ心に突き刺さる(´Д`;) どれだけそれで他人をムカつかせ、不快な気分にさせてきたか。嫌われ、遠ざかってしまってきたか。家族に対してもきっとそうなんだろう。(特にニュースや海外ネタでケンカしちゃう件とか)んで引きこもるんだよねー、私はエンジェルと違って。ずっと大学に留まれるだけの根性が無かった。狂気は卒論作成を不可能にする段階にまで及んでしまった\(^O^)/ マジそれだけでウン年分の時間と学費と取得単位棒に振ったバカヤローは、我ながら軽蔑されて当然だと思いますorz
医者からビルに二度と会うな、と言われ「これで最後の一人も失ってしまった」と落ち込むエンジェル。病院の庭でビルを見つけ出し、完全にティムになりきってしまった彼に向かって「あたし、あなたがもう一度元気になれるように戦うわ。・・・リアルなことができるようにしてあげる。昔通りのあなたにするわよ。あきらめない。あなたは自分の拠点を思い出すわ。」とエンジェルが囁くセリフは、やっと彼女の“目覚め”が来た、最後の一人を失わないために、人間としての現実の意志を取り戻したのだ、と非常に胸打たれるものがある(つД`)
でもってベアフットのオフィスで唐突に琴が出てきて衛藤さんググっちゃった(笑)i-tu○esにもつべにも無いやんけ『みどり○朝』・・・!o(´皿`;)ギギギ 他の二曲はつべで見っけて素敵だったけど、DL版も無いし密林も品切れだと?ガチでコレクターズアイテムなんだ、日/本人なのに無知で恥ずかしー(∩///∩)
ベアフットから「初期の教会神父の一人がイ○スの復活を信じていた理由が『それがあり得ない』ということだった(奇跡を起こせるのは神にしかできないことだから、って理屈かな?)」という話を聞いたエンジェルの反応、「だれであれそんな風に生き続けるなんて考えられない。あたしにとっては、それこそこのバカげた話のすべてを象徴するものよ、何かが不可能だからそれを信じるなんて。あたしに見えるのは、人々が発狂して死ぬところ。まずは狂気、それから死」というのが積み重なった彼女の深い悲しみ、死と狂気への憎悪が伝わってきて辛いですね。個人的は狂気の前に“苦悩”を付け加えたいところ。やさしくても繊細でも賢くても愚かでも激しやすくても忍耐強くても、悩みが皆無な人なんていないし、人生において一度も苦しみを受けない人なんかいるはずない。生まれてすぐ死んだ赤ん坊くらい?おそらく肉体的な苦痛のみで済むだろうから。乗り越えられなかったら狂気の側に転がり落ちるのはあっという間。誰にでもすぐ隣に口開けて待ち構えてるものなんだ、と精神科(近くに仮設あり=一部被災者さん御用達(-m-))通いで思い知りますよ。
「退院してきたらあたしが待ってる。死の代わりにビルはあたしを得る」と決意を込めて宣言するエンジェルに「ビルのためでなくきみのために良いことだ。あれが本当にティムかどうか確かめられ、疑問に答えが出る」と告げるベアフット。「彼を受け入れていっしょに暮らし世話をすれば、自分がティムの面倒を見ているのに気がつくかもしれないぞ、ある本当の意味でね。・・・あなたがずっとやってきた、少なくともやりたかったことなんだろう。そうでなくとも、やるべきことだった。」彼女の自己満足を肯定しつつ、ベアフットはハッキリと「彼は救いようがない」とも述べる。それでも「何もしなかった」結果“彼ら”は死んでしまったから、「二度とそんなまちがいはしない」と応じるエンジェル。頑張れ!>< そして最終的にビルとの同居を受け入れさせられたことに気づき、ベアフットのやり方がティムとそっくりだと思い到る――「ある意味で、ティム・アーチャー主教はビルの中よりもむしろあなたの中で生きているんだわ」ここゾクゾクーッと来ません!?最重要人物を最後の最後に端役のように登場させる、ディック文学の真骨頂的ロジックが遺作でまで活きてる(@o@;) ベアフットと握手して「その握力は力強かった。それもまたティムを思わせた。すると、本当にティムはいまここにいるのかもね。何らかの形で。彼をどう定義するか次第。多言語で引用する能力か、人の命を救う能力か。(ここでエンジェル+ビルもかな?の命は少なくともポジティヴな方向に向いたことが分かってホッとする一文(´∀`;)=3)いずれにしても、ティムはまだここにいるみたい。あるいは再びここにいるみたい。」と感じるエンジェルの独白に、人々がキリ○トの復活を必要とした理由がやっと解った気がした。失うべからざる絶対的な信仰と愛情の対象を失った時の絶望、それから脱け出す、いや脱け出させるために不可欠なストーリーだったんだ。受け継がれる命、断絶のない永遠の存在。それを信じることによって、あるいはそうと思いこむことによって人はようやく立ち直れる。前を向いて“生きて”いける。輪廻転生の発想も、日/本人がTenno家の万.世一.系にこだわるのも理屈的には同じこと。(この辺、易/姓革/命思想の大陸の方々はどう考えてらっしゃるのか興味深いけど、Tennoは一応『天.孫』であり神事も司る存在である点を思えば向こうの皇帝とは事情が違い過ぎるかー(´-`))

エンタメとしては初期二作、電気羊と高い城には程遠いというか、アッチが好きな人には全く楽しめないカオスな内容だったかもしれないけど、自分にとっては一番の傑作というか絶妙にフィットする翻訳文学ベスト3くらいに入るほどハマってしまった作品でした。死に近づいていることを予期して書いていたんだろうか?解説読むと「作者は三部作っつってたけどぶっちゃけ前二作との関連あんまりよく分かんない」みたいなこと書いてあったので、スルーで魯迅に向かおうと思います!(^^)b 病み旅はしばらく続くとも、おそらく胃の調子戻るか(現時点でそんな日来んのか、って感じだけど)、本気でもう終わろうと決める時まで。エンジェルに最高に共感できたのは「本を通して他者のビジョンを得られるようになった」と考えてる点だよ。まさに共感がテーマの話だったから。
実際はそう思いこんでるだけかもしれないのに、私今の特に酷いハイパー病み期間に読んだ本の感想の中で何回「共感」って言葉を使ったか分からない。自分以外にも狂気を抱えた存在がいる・いたという事実に安堵し、そしてその狂気に同調しちゃう。だから本気で文学界に名を残したいと考える作家は常に狂気との境目にいないといけないし(ハルキを認められないのはこの点も大きいかもね☆)、小説を読む趣味を持つ人間は正直ある程度どっか頭のネジが飛んでると思う。読書サークルに参加してる友達がハタチそこそこでス○ー・ウォーズとプリ・プ○の大ファンで、昼休憩の時間ゴハン食べずに全部読書に充ててる変わった子の話をしてましたが、ぶっちゃけ私もその状態に近かった。過去の洋楽ばっかり聴いて、とっくに解散してメンバー死んでるバンドのライヴに行けないこと、CD一枚しか手に入らないことにどれほど歯噛みしたことか。生で演奏聴ける機会も新曲待つ楽しみも永遠に存在しないのにハマっちゃうんですよ!>< 昔の映画も大好きで随分漁ったし。監督・俳優、あの人もこの人もとっくに死んでて新しい作品や役を見られることは無いっつーのに。ヒキってて家事や片付けくらいしかやることないのに、それでも読む時間足りないと焦るから、本読む時間確保するために昼食削るくらい屁でもない気持ちも普通に理解できる。2~3時間の電車通勤or一人暮らしなら半身浴長風呂が読書環境としては最適なんだけど、こっちは車社会・実家住みが多いしね(´-`) 仮に将来運転しながら読書できるようキ○ドル的な端末に音声朗読機能が詰め込まれたとしても、文字で読むのと全く違ってダメなんだよね。噛みしめられない。文字を読み、言葉を認識し、ページ全体を見回して初めて理解→ストーリーやキャラの心情への共感が芽生えるから。
ちなみに一番嫌いな本のジャンルは自己啓発系です。ちっとも成功してない私が言うと説得力ゼロになるかもしれませんが(-_-;)、エンジェルが独白してたように人それぞれ問題の解決策は違うんだよ!この点に関しては万人に当てはまる普遍性なんかあり得ない。だから他人の言うそんなモンに金や時間を費やすのはムダ。最も近いのが宗教だから、キリス○教関連書店などでよく売られているソレと合わさったヤツは本当最悪の部類な(;´д`) 祖母が一番よく買ったり贈ってくるアイテムでした・・・てか聖.書自体が最古の啓発本と言えるのかも(笑)
このどうしようもない鬱状態にあって、読書という糧を取り戻させて下さったオーウェル・ディック両御大に今のところは大感謝です(-人-) とりあえず読みたい、読まなきゃいけない、読んでおかないと終われないもの全部読んでからどうするか決めよう、と思えたのが正直今の自分にとっては進歩。少なくともその時までは自分の病みを受け入れて、何とか共存していかなくては、と。最低のクズだとわかっているけど、私はエンジェルのようにはなれない。もう「頑張る」ことは無理。少しでも本を読み「共感」するだけの正気を保っていられる時間が長く続くことを祈るしかないです。あーお腹痛いorz

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