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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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三日目夜まで読了。(※相変わらず外国への失礼な発言や自国の時事や歴史ネタへの辛口含みますm(__)m)

個人的にイギリ○という国に抱いてきた憧れと猜疑と軽蔑と恐れ、彼の国が今に到るまで抱えて来たのであろう病巣を余すことなく抉り出すように描いている話なんだ、とやっと気づいた。コレは先祖代々のブリ○ン島の住人という人間にはもちろんのこと、その血を引くUターンした元入植者の子孫にも、もちろん彼らに虐げられた祖先を持つ旧植民地ルーツの移民にも書けない話なんじゃなかろうか。東西において極めて近い立ち位置と歴史的背景、けれど人種や文化の差異から互いに相手を見下し合いつつ、利害から同盟を組んで協力したこともあれば、結果的に帝国の終焉をもたらす破滅的な反目に到った、という何ともまとめづらい(そして現代においてはどっちの国民も大体がその件について忘れてるというか、特に思い入れも感じていないだろう。笑)関係性にあるウチ出身のカズオ氏だから、ここまでえげつなく階級社会の残酷さ、無意識の差別、民主主義を誇りながら支配する国々の主権にまで考えが及ばない「一般大衆」の矛盾した価値観などの複雑な事情を作中で率直に表現しちゃえたんじゃないか?
正直ますます近代日.本のお手本はイギリ○だったことが見えてくる気がして、胸がモヤモヤしちゃうトコも(´・ω・`) 英/国貴族が特にW W 1~W W 2初期にかけて議会制に否定的で、時にナ.チを中心としたファ○ズムを称賛・共感しがちだった、というのは知っていましたが。(『王冠をかけた恋』のエド○ード8世や、ウチの勲章を墓場まで持ってったというセ○ピル卿とか・・・金や女も相当貢いでたんでしょうけど(^^;)一夜の宿を求めた農村でスティーブンスが出会った農夫スミスの主張が、何より正しい民主主義の理想なのでは?未だにお貴族党と労働者党が対立する英.国議会政治では時にソレが上手く機能しないというか、民意の統一を逆に図りにくくしてしまっていて、誰がどう見てもアホやろ、としか思えないBr exit議論にもかたくなに拍車をかけてしまっているのかな?日/本にはここまでハッキリした境界線は無いように見える。近代化の流れの中で欧州の真似して「華族」システムを作ったり二院制にしてみたりはしたけれど、「こっちが坊ちゃん政党」「あっちが庶民政党ね」って感じには今に到るまで一度もならなかったよな(´-`) 藩閥対立→文官VS軍部→今は何だろ・・・?アメポチVSパンダハガー(キムチイーターでも可。笑)とかか?ぶっちゃけエリートと底辺がごちゃ混ぜなんだよね、不思議なことに。私、地元の農協が「T○P反対!」の垂れ幕掲げつつ「投票はJ民かM主で」って言ってんの聞いた時ハァ?(゜Д゜)となりましたもん。どっちも「TP○推進しまーす」と公約出してる政党やで!反対ならS民かK産に入れなアカンはずや!と(爆笑)
その点を考えるとスティ―ブンスの「庶民に政治や国の一大事なんか理解できないんだから、初めから意見を持たずに自分の領分にだけ専念すべきであって、自分が忠誠を捧げるに足る主人に対して仕えることこそが権利の行使に勝る義務であり、人間としての尊厳(スミスの語るところのソレがスティーブンスにとっての“品格”であろう、と個人的には受け止められたので置き換えさせていただきますm(__)m)を保つための手段」という意見にもある程度の納得・同意はせざるを得ないのかな、ってちょっと虚しい気持ちになってしまう(・・;) あと農家の奥さんの語る「ちっぽけな国々に独立を認めるなんて間違い」とかさー。自分たちが民主主義の恩恵を受けておきながら、彼らには国の主権すら認められないって?ならせめてイギ○スの選挙に同様の条件で参加させてやれっての。彼らの国からも議員を出させろ!と現代日.本人の感覚ではツッコんでしまうわ。それでいてヒ○ラーを否定的に語るってんだから(以下略)おたくの偉いさん方は随分独裁制のスピードに憧れ傾倒しておられたようですけど?^^

二日目午後のスティ―ブンスの過去の回想で「偉大さと品格」についての理想について、だからヨーロッパは駄目になったんだよ!(;´Д`)って前回に続くツッコミどころがチラホラ。世界の全ての問題を彼らだけで解決できる時代は終わったのに、そのことに気づいてなかったんや、と。ヨーロッパの中の、それも上流階級に属する人間のほんの私的な密室会合で全てが決められると思っていて、使用人たちもそう信じて影響力を持つ相手に仕えようと願った、と。世界は車輪、ヨーロッパ(の貴族)という「中心」で下された決定が順次外側へ放射され、周辺で回転している全てに行き渡るんですってー!ヒャーッハッハハ!(^∀^)σ W W 1で散々な目に遭ってアメ○カに助けられ借金背負った身でまだこんな考え方してるとか、そりゃウチに一発かまされたり米・露にオイシイとこ全部持ってかれるのも道理っすわ。何て理想主義的机上の空論トリクルダウン(笑)梯子とどう違うのかぶっちゃけよく分らないでござる(ノ∀`)・・・まぁ日/本の武士の「この家に生まれたからにはこの主君に滅私奉公しなければならぬ」より主人を選ぶ自由がある、という点でまだマシなのかもしれませんが、それ故にこそ盲目的な忠誠心は武士の方が根深い部分もあったかもねぇ。
しかしダーリントン卿、一回今のネト○ヨ状態に陥ったこともあったんか。でも何か正直、イギ○スのフィクションはユダ○テーマに触れずにはいられない、みたいなところが病的じゃないかと感じる時あるよ色んな意味で(-_-;) ブーリン家の姉妹シリーズもそうだったし。ホ○コーストによって完全被害者認定されるまで、ぶっちゃけ欧州全体に広く蔓延してた思想やろユダ○蔑視・・・ロ.マについても同じことで、それこそ今の難民と同じ感覚だったんだろう、始まりは。カツカツで暮らしている農民たちが、自分たちの土地に税金も払わず勝手に居付く流れ者に反感を覚えるのは当然のこと。それに加えて、今の「シャ○ーア法を憲法に!」って過激派移民じゃないけど、シオ○ズム的選民思想を披露されたりするとブチ切れたくなる気持ちも解るというか。もちろんキ○スト教を民衆統治の道具としていた為政者・既得権益層の教会側が、彼らを格好の不満逸らしの餌食にしたり、税金を払わなかったり教会への畏敬を示さない彼らの存在に脅威を感じて弾圧したり、という手段に打って出た理屈も、不条理で非道だと思うけど理解はできる。

あーしかしラジオ聴いて冗談の練習するスティ―ブンス(笑)エレガントな会話の勉強におセンチな恋愛小説を読み、時々内容も楽しんじゃう執事様(ノ∀`) しかも好意を持っていたミス・ケントンと気まずくなったのもその現場を押さえられたことが理由だってー!?何やってんすか(笑)銀磨きの重要性は彼の披露してくれたエピソードで大いに理解できたけど、上の二つは・・・。三日目朝のスティ―ブンスの気にしている最近の些細な過ちとやらの数々はかなりどうでも良いことで(多分主人ファラディさんにとってもそう^^)ミス・ケントンがダーリントンに戻りたがってると手紙のどこにも書いてないとか今更気づく辺りどんだけ早合点なの、と重っ苦しい話題と主人公の堅物さ、頑固すぎるほどの「執事としての誇りと品格」への長ったらしい語りを経てもなお、どこか物語のテンポを良くするというかクスッと笑いを誘うユーモアがあって楽しい♪

三日目夜の回想、ネト○ヨ洗脳を受けたダーリントン卿がユダ○人女中の解雇を決めるくだり、ミス・ケントンの人間性が表れてて好感持てたな。自分もおかしいと感じていることをおくびにも出さずに、ただ「旦那様のご命令に従う」という使命を全うすべく決定を伝えるスティ―ブンスに、己の意見を押し隠すことなく真っ向から反論するミス・ケントン。「二人を解雇するなら自分も辞める」とまで彼女に言わせた強い決意に漢気()を見たわ(゜m゜;)パチパチ こんな上司の下で働けたら幸せだろ。やっと洗脳が解けた主人に「あれは過ちだった」と告げられ、そのことを教えに行ったスティ―ブンスの前でミス・ケントンが見せた意外な反応。「本気だったのに、自尊心のかけらもない臆病者だったから辞表届を出せなかった」と。「自分の主義主張なんてその程度のもので、自分のことが恥ずかしくてたまらない」と語る彼女にますます人間味と親しみを覚えちゃうな(つД`)ワーン でもって同時に彼女は初めて何かと対立しがちだったスティ―ブンスが、この件で自分に負けず劣らず胸を痛めていたことを知る、と。「苦しみを分かち合いたかった」と吐き出すミス・ケントンの言葉に、ここでようやく二人の関係というか相互理解が一歩進んだのかな、という印象的な場面ですね。
その後の新女中ライザのエピソードでは、二人のやりとりが良い歳した大人二人のものとは思えないくらいかわええ(*´∀`) ココア会議での軽口とかライザの成長ぶりにドヤ顔するミス・ケントンとか。結局下僕と駆け落ちしちゃったライザの残した手紙が字や文法の間違いだらけ、という箇所に20世紀初頭の識字率分布を見て「オイオイ大.英.帝.国様まじか・・・?(´Д`;)」と感じたことを思い出した(笑)ホント、庶民に学はいらない、って考え方だったんですねー。本国の「非上流階級(あるいは女性)」に対してもそうなら、植民地の現住民に対して教育なんてもんが与えられなかったのは当然のことで、ウン、今のアフ○カや中東の悲劇もここから始まって(以下略)とか考えざるを得ないよね正直!彼女の出奔について「いずれ捨てられるに決まっているのに、何て愚かなことを……」と何度も繰り返しているミス・ケントンに漂う不吉な予感>< 過去に何かあったの?
いやーしかし食器室でのやりとりはいくらタイミングが悪かったとはいえ完全な失点ですわスティ―ブンスさん!メッ!(・×・)σ しかもミス・ケントンが結婚によってダーリントンを去るかもしれないことを「お屋敷にとっての損失」だなんて・・・自分の気持ちごまかしよってからに(^ω^#) そうやって私情を全部切り捨てるのが最高の執事の任務だっつーなら、オマエの父ちゃんはどうやってオマエという息子をこさえたんだよ!?とツッコみたくなってくるないい加減。ココア会議の一場面でミス・ケントンが言う「あなたはご自分に満足しきっておられるのでしょうね。・・・執事の頂点を極め、ご自分の領域に関する事柄にはすべて目を届かせておられるし……。あと、この世で何をお望みかしら。私には想像がつきませんわ」このセリフに彼女の精いっぱいのスティ―ブンスへの想いが込められているように感じた(´;ω;`)切ねぇ!そんな彼女の気持ちに気づかず、ひたすら「私の務めはダーリントン卿に尽くすことだけ」と答えてしまったスティ―ブンス、個人的にはここが決定的な転換点、過ちだったと思います。彼が卿より優先するものは何もない、主が死ぬまで永遠に彼の心のどこにも自分の居場所を見出すことは無いのだ、とミス・ケントンが判断せざるを得なかった瞬間。恋愛に到る前に失恋するとか可哀想すぎる(涙)
それからミス・ケントンの叔母の死の場面でもスティ―ブンスの不器用さが極まり過ぎていっそ酷い。仕事仲間としてすら彼を満足させられなくなった、と思ったら嫌でも離れざるを得ないわ。一度でも好意を抱き、相手の心の内側にも少しは入り込めたように感じた経験があればなおさら、傍にいるのは辛すぎる。後悔すんにも遅すぎんだよ、このニブチン野郎が!。・゜・(ノД`)・゜・。無限の時間も無限の機会も存在しない事実に振り返って初めて気づく、ってのはお馬鹿な人間全てが一度は経験したことのある気持ちだろうけどな。「一見つまらないあれこれの出来事のために、夢全体が永遠に取返しのつかないものになってしまうなどと、当時、私は何によって知ることができたでしょうか。」私は一応女性だからミス・ケントン寄りでひっでぇなコイツ、と思いながら読んでいたけれど、二十年も彼をそのことで思い悩ませることができたとしたら、例え無理に不本意な選択をしたのであろう彼女としても少しは本望が果たせたと言えるんじゃないかなー、と感じたりもした(^^; 女性の怖さというヤツですかね?

でもって主人公の身分を誤解した農夫たちとの語らいで、「そもそもこんな村に旦那のような偉い方が来てくれることはほとんど無い」と言っている時点で矛盾感じないのか、と思うんだけど「ヒッ○ラーが勝ってたら今頃みんな品格も尊厳も無い奴隷で、自由な市民でいる権利を失っていた」と熱弁する農夫スミス。戦争で多くの若者を犠牲にされながら偉いさんの訪問も無い、見捨てられた奴隷と同じような立場なんじゃないのか、イギ○ス国内における彼らの立場は? 現にスティ―ブンスにさえ見下されてるじゃん、見識のない彼らが意見を持つ必要はない、って。「農夫はいくら努力しても品格も尊厳も身に付けられない」って。自由な権利を持つ民主主義の国民であることだけを拠り所に、戦争の悲しみを、怒りを、また不便な生活への鬱憤を懸命に晴らそうとしているのであろう彼の意見を、スティ―ブンスは心中で何て残酷に切り捨てることか!「死んだ若者たちのためにも権利を行使する義務を思い起こさせる役割を必死に担いたい」と語るスミスの言葉に私は正直胸打たれたよ(´;ω;`) ぜひこの低投票率を誇る我が国の若者たちに聞かせてやってくださいな!・・・って確かに入れたい政党が無いのも限りない事実ではあるんだけどネ☆あっ、今日やっと野合政党の名前決まったらしいけど、今度は台.湾のパクりだって?寄るとこ正反対な癖に、よく恥も外聞もなく^^# M主政権時代にどんだけ失礼な仕打ちしたのか一部の人間は忘れてないと思うからな? あっちの人気の勢いに乗じようとすんなよ?
ダーリントン卿の議会政治の否定とファシズ○上げは最初にも書いたけど何か悲しくなっちゃったな。他の貴族たちの使用人・非上流階級への差別的な認識含め。最も古い議会政治の国じゃないですか。それを「我が国は一番遅れている」だって?そう考えること自体が一周回って遅れてんだよ貴族どもめ!(^ω^#) あー、向うのプロレタリア階級への同情が増すばかり、その内Br exit支持派に回りそうな勢い(笑)「苦しんでいる労働者を救うためには独裁的な手法やアカやルーズベ○トの政策が有効」だって? ど こ が!?結果ド○ツとイタ○アはどうなりました?K産圏の庶民の人権もクソも無い悲惨さたるや(以下略)ついでにニューディー○にも触れとくと、ウチ初め各国で今まさにそんな感じのバラマキしまくりですけど、儲かってるのは一部の大企業だけっすよねぇ・・・(´-`) どう見たって庶民を救うよりもただ資本家を更に肥えさせるためだけの政策やで!消費増税とのコンボでなおのことな!しかしそんな主の意見に何も異論を感じず、求められた仕事だけをトコトン全うする忠誠心って怖い。あ、日/本人のソレなんかまさに最たるもので、戦時中に国が丸ごと狂気そのものに転じたのもこの状態に集団心理が合わさってしまった結果だと思うんですけど、日系人のカズオ氏がこのくだり書くと余計にゾッとしたんじゃねーのイギ○ス人の読者さんたち(・ω・;) それとも逆に「説得力あるわぁ((-_-)ウンウン」と頷きながら受け止められたのかな?
あとさ、ファラディ氏がスティ―ブンスの嘘を咎めたくだりで「イギリ○の本物」を欲しがるアメ○カ人の心理というか、執事も家や家具と同じ装飾品の一部だったんだな、って考えると余計モノ扱いしかされていない自分の人間としての存在意義がどこにあるのか、彼は虚しくはならないのかな? そう自覚するのが怖いから、主が変わっても屋敷というものに、思い出にしがみついて必死に過去を振り返り、「執事という職に求められる品格と偉大さ」について考え続けることでソレを振り払おうとしているのかな、と戦後価値観から社会形態から何もかもが変わらざるを得なかったイギ○スで主を失い、老境に差しかかった主人公の寄る辺なき気持ちの凄まじさのようなものを感じて切なくなったりもした(´・ω・`)

ブリ○ン島内、アイ○ランド、植民地、大陸ヨーロッパ、そしてアメ○カと、何層にも重なったイギリ○人の奇妙な階級意識とプライドが織りなす複雑な社会。その中に生きる人々の彼らなりの葛藤と、本人たちですら気づかない歪み。個人的にイギリ○という国に抱く複雑な感情と、どうしても消せない「下種の極み」という認識。実際に暮らしていたり縁がある人たちから聞いた話、親しんできたフィクションや音楽。どうしても日.本と似ているんですよね。あえて見習ったところもあればそうせざるを得なかったところも、島国ゆえに生じたのであろう共通点も。だからあの国に対しては色々な見方から、様々な思いや考えを揺さぶられる。とりあえず知っておけば大体のメディアは覗ける、というInternational Language・英語の原点の国なわけだし。
いつも英.国の歴史が絡むネタを見る時は「絶対に同情しない」と思って見たり読んだりするんだけど(どんだけヒネくれてんの。笑)、最後には「そっか・・・そりゃ仕方ないわ(´-`)」ってなる現象がここでもまた発症している\(^O^)/だって島国だもん。外の人への差別というか警戒意識が完全に無いとは言いきれないもん。封建制の歴史見る度に、「生き方選ばなくて良いとか何てラクそうな社会!」と思ったりする現代競争社会に疲れ切ったヒキだもの。いや領主の運に左右されたり、生活が必ずしも今のように最低限の保証を得られなかった厳しさは知ってるけどさ。重要なのは米・中なんだけど、イギ○スは何だかんだ言って歴オタ的に外せない国の中で一番どう捉えて良いか分からない存在。だから日系イギリ○人作家の描くテンプレートかつ生々しい英/国描写に正直戸惑いまくっている、というところがとりあえずラスト目前の正直な感想まとめですm(__)m

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個人的にイギリ○という国に抱いてきた憧れと猜疑と軽蔑と恐れ、彼の国が今に到るまで抱えて来たのであろう病巣を余すことなく抉り出すように描いている話なんだ、とやっと気づいた。コレは先祖代々のブリ○ン島の住人という人間にはもちろんのこと、その血を引くUターンした元入植者の子孫にも、もちろん彼らに虐げられた祖先を持つ旧植民地ルーツの移民にも書けない話なんじゃなかろうか。東西において極めて近い立ち位置と歴史的背景、けれど人種や文化の差異から互いに相手を見下し合いつつ、利害から同盟を組んで協力したこともあれば、結果的に帝国の終焉をもたらす破滅的な反目に到った、という何ともまとめづらい(そして現代においてはどっちの国民も大体がその件について忘れてるというか、特に思い入れも感じていないだろう。笑)関係性にあるウチ出身のカズオ氏だから、ここまでえげつなく階級社会の残酷さ、無意識の差別、民主主義を誇りながら支配する国々の主権にまで考えが及ばない「一般大衆」の矛盾した価値観などの複雑な事情を作中で率直に表現しちゃえたんじゃないか?
正直ますます近代日.本のお手本はイギリ○だったことが見えてくる気がして、胸がモヤモヤしちゃうトコも(´・ω・`) 英/国貴族が特にW W 1~W W 2初期にかけて議会制に否定的で、時にナ.チを中心としたファ○ズムを称賛・共感しがちだった、というのは知っていましたが。(『王冠をかけた恋』のエド○ード8世や、ウチの勲章を墓場まで持ってったというセ○ピル卿とか・・・金や女も相当貢いでたんでしょうけど(^^;)一夜の宿を求めた農村でスティーブンスが出会った農夫スミスの主張が、何より正しい民主主義の理想なのでは?未だにお貴族党と労働者党が対立する英.国議会政治では時にソレが上手く機能しないというか、民意の統一を逆に図りにくくしてしまっていて、誰がどう見てもアホやろ、としか思えないBr exit議論にもかたくなに拍車をかけてしまっているのかな?日/本にはここまでハッキリした境界線は無いように見える。近代化の流れの中で欧州の真似して「華族」システムを作ったり二院制にしてみたりはしたけれど、「こっちが坊ちゃん政党」「あっちが庶民政党ね」って感じには今に到るまで一度もならなかったよな(´-`) 藩閥対立→文官VS軍部→今は何だろ・・・?アメポチVSパンダハガー(キムチイーターでも可。笑)とかか?ぶっちゃけエリートと底辺がごちゃ混ぜなんだよね、不思議なことに。私、地元の農協が「T○P反対!」の垂れ幕掲げつつ「投票はJ民かM主で」って言ってんの聞いた時ハァ?(゜Д゜)となりましたもん。どっちも「TP○推進しまーす」と公約出してる政党やで!反対ならS民かK産に入れなアカンはずや!と(爆笑)
その点を考えるとスティ―ブンスの「庶民に政治や国の一大事なんか理解できないんだから、初めから意見を持たずに自分の領分にだけ専念すべきであって、自分が忠誠を捧げるに足る主人に対して仕えることこそが権利の行使に勝る義務であり、人間としての尊厳(スミスの語るところのソレがスティーブンスにとっての“品格”であろう、と個人的には受け止められたので置き換えさせていただきますm(__)m)を保つための手段」という意見にもある程度の納得・同意はせざるを得ないのかな、ってちょっと虚しい気持ちになってしまう(・・;) あと農家の奥さんの語る「ちっぽけな国々に独立を認めるなんて間違い」とかさー。自分たちが民主主義の恩恵を受けておきながら、彼らには国の主権すら認められないって?ならせめてイギ○スの選挙に同様の条件で参加させてやれっての。彼らの国からも議員を出させろ!と現代日.本人の感覚ではツッコんでしまうわ。それでいてヒ○ラーを否定的に語るってんだから(以下略)おたくの偉いさん方は随分独裁制のスピードに憧れ傾倒しておられたようですけど?^^

二日目午後のスティ―ブンスの過去の回想で「偉大さと品格」についての理想について、だからヨーロッパは駄目になったんだよ!(;´Д`)って前回に続くツッコミどころがチラホラ。世界の全ての問題を彼らだけで解決できる時代は終わったのに、そのことに気づいてなかったんや、と。ヨーロッパの中の、それも上流階級に属する人間のほんの私的な密室会合で全てが決められると思っていて、使用人たちもそう信じて影響力を持つ相手に仕えようと願った、と。世界は車輪、ヨーロッパ(の貴族)という「中心」で下された決定が順次外側へ放射され、周辺で回転している全てに行き渡るんですってー!ヒャーッハッハハ!(^∀^)σ W W 1で散々な目に遭ってアメ○カに助けられ借金背負った身でまだこんな考え方してるとか、そりゃウチに一発かまされたり米・露にオイシイとこ全部持ってかれるのも道理っすわ。何て理想主義的机上の空論トリクルダウン(笑)梯子とどう違うのかぶっちゃけよく分らないでござる(ノ∀`)・・・まぁ日/本の武士の「この家に生まれたからにはこの主君に滅私奉公しなければならぬ」より主人を選ぶ自由がある、という点でまだマシなのかもしれませんが、それ故にこそ盲目的な忠誠心は武士の方が根深い部分もあったかもねぇ。
しかしダーリントン卿、一回今のネト○ヨ状態に陥ったこともあったんか。でも何か正直、イギ○スのフィクションはユダ○テーマに触れずにはいられない、みたいなところが病的じゃないかと感じる時あるよ色んな意味で(-_-;) ブーリン家の姉妹シリーズもそうだったし。ホ○コーストによって完全被害者認定されるまで、ぶっちゃけ欧州全体に広く蔓延してた思想やろユダ○蔑視・・・ロ.マについても同じことで、それこそ今の難民と同じ感覚だったんだろう、始まりは。カツカツで暮らしている農民たちが、自分たちの土地に税金も払わず勝手に居付く流れ者に反感を覚えるのは当然のこと。それに加えて、今の「シャ○ーア法を憲法に!」って過激派移民じゃないけど、シオ○ズム的選民思想を披露されたりするとブチ切れたくなる気持ちも解るというか。もちろんキ○スト教を民衆統治の道具としていた為政者・既得権益層の教会側が、彼らを格好の不満逸らしの餌食にしたり、税金を払わなかったり教会への畏敬を示さない彼らの存在に脅威を感じて弾圧したり、という手段に打って出た理屈も、不条理で非道だと思うけど理解はできる。

あーしかしラジオ聴いて冗談の練習するスティ―ブンス(笑)エレガントな会話の勉強におセンチな恋愛小説を読み、時々内容も楽しんじゃう執事様(ノ∀`) しかも好意を持っていたミス・ケントンと気まずくなったのもその現場を押さえられたことが理由だってー!?何やってんすか(笑)銀磨きの重要性は彼の披露してくれたエピソードで大いに理解できたけど、上の二つは・・・。三日目朝のスティ―ブンスの気にしている最近の些細な過ちとやらの数々はかなりどうでも良いことで(多分主人ファラディさんにとってもそう^^)ミス・ケントンがダーリントンに戻りたがってると手紙のどこにも書いてないとか今更気づく辺りどんだけ早合点なの、と重っ苦しい話題と主人公の堅物さ、頑固すぎるほどの「執事としての誇りと品格」への長ったらしい語りを経てもなお、どこか物語のテンポを良くするというかクスッと笑いを誘うユーモアがあって楽しい♪

三日目夜の回想、ネト○ヨ洗脳を受けたダーリントン卿がユダ○人女中の解雇を決めるくだり、ミス・ケントンの人間性が表れてて好感持てたな。自分もおかしいと感じていることをおくびにも出さずに、ただ「旦那様のご命令に従う」という使命を全うすべく決定を伝えるスティ―ブンスに、己の意見を押し隠すことなく真っ向から反論するミス・ケントン。「二人を解雇するなら自分も辞める」とまで彼女に言わせた強い決意に漢気()を見たわ(゜m゜;)パチパチ こんな上司の下で働けたら幸せだろ。やっと洗脳が解けた主人に「あれは過ちだった」と告げられ、そのことを教えに行ったスティ―ブンスの前でミス・ケントンが見せた意外な反応。「本気だったのに、自尊心のかけらもない臆病者だったから辞表届を出せなかった」と。「自分の主義主張なんてその程度のもので、自分のことが恥ずかしくてたまらない」と語る彼女にますます人間味と親しみを覚えちゃうな(つД`)ワーン でもって同時に彼女は初めて何かと対立しがちだったスティ―ブンスが、この件で自分に負けず劣らず胸を痛めていたことを知る、と。「苦しみを分かち合いたかった」と吐き出すミス・ケントンの言葉に、ここでようやく二人の関係というか相互理解が一歩進んだのかな、という印象的な場面ですね。
その後の新女中ライザのエピソードでは、二人のやりとりが良い歳した大人二人のものとは思えないくらいかわええ(*´∀`) ココア会議での軽口とかライザの成長ぶりにドヤ顔するミス・ケントンとか。結局下僕と駆け落ちしちゃったライザの残した手紙が字や文法の間違いだらけ、という箇所に20世紀初頭の識字率分布を見て「オイオイ大.英.帝.国様まじか・・・?(´Д`;)」と感じたことを思い出した(笑)ホント、庶民に学はいらない、って考え方だったんですねー。本国の「非上流階級(あるいは女性)」に対してもそうなら、植民地の現住民に対して教育なんてもんが与えられなかったのは当然のことで、ウン、今のアフ○カや中東の悲劇もここから始まって(以下略)とか考えざるを得ないよね正直!彼女の出奔について「いずれ捨てられるに決まっているのに、何て愚かなことを……」と何度も繰り返しているミス・ケントンに漂う不吉な予感>< 過去に何かあったの?
いやーしかし食器室でのやりとりはいくらタイミングが悪かったとはいえ完全な失点ですわスティ―ブンスさん!メッ!(・×・)σ しかもミス・ケントンが結婚によってダーリントンを去るかもしれないことを「お屋敷にとっての損失」だなんて・・・自分の気持ちごまかしよってからに(^ω^#) そうやって私情を全部切り捨てるのが最高の執事の任務だっつーなら、オマエの父ちゃんはどうやってオマエという息子をこさえたんだよ!?とツッコみたくなってくるないい加減。ココア会議の一場面でミス・ケントンが言う「あなたはご自分に満足しきっておられるのでしょうね。・・・執事の頂点を極め、ご自分の領域に関する事柄にはすべて目を届かせておられるし……。あと、この世で何をお望みかしら。私には想像がつきませんわ」このセリフに彼女の精いっぱいのスティ―ブンスへの想いが込められているように感じた(´;ω;`)切ねぇ!そんな彼女の気持ちに気づかず、ひたすら「私の務めはダーリントン卿に尽くすことだけ」と答えてしまったスティ―ブンス、個人的にはここが決定的な転換点、過ちだったと思います。彼が卿より優先するものは何もない、主が死ぬまで永遠に彼の心のどこにも自分の居場所を見出すことは無いのだ、とミス・ケントンが判断せざるを得なかった瞬間。恋愛に到る前に失恋するとか可哀想すぎる(涙)
それからミス・ケントンの叔母の死の場面でもスティ―ブンスの不器用さが極まり過ぎていっそ酷い。仕事仲間としてすら彼を満足させられなくなった、と思ったら嫌でも離れざるを得ないわ。一度でも好意を抱き、相手の心の内側にも少しは入り込めたように感じた経験があればなおさら、傍にいるのは辛すぎる。後悔すんにも遅すぎんだよ、このニブチン野郎が!。・゜・(ノД`)・゜・。無限の時間も無限の機会も存在しない事実に振り返って初めて気づく、ってのはお馬鹿な人間全てが一度は経験したことのある気持ちだろうけどな。「一見つまらないあれこれの出来事のために、夢全体が永遠に取返しのつかないものになってしまうなどと、当時、私は何によって知ることができたでしょうか。」私は一応女性だからミス・ケントン寄りでひっでぇなコイツ、と思いながら読んでいたけれど、二十年も彼をそのことで思い悩ませることができたとしたら、例え無理に不本意な選択をしたのであろう彼女としても少しは本望が果たせたと言えるんじゃないかなー、と感じたりもした(^^; 女性の怖さというヤツですかね?

でもって主人公の身分を誤解した農夫たちとの語らいで、「そもそもこんな村に旦那のような偉い方が来てくれることはほとんど無い」と言っている時点で矛盾感じないのか、と思うんだけど「ヒッ○ラーが勝ってたら今頃みんな品格も尊厳も無い奴隷で、自由な市民でいる権利を失っていた」と熱弁する農夫スミス。戦争で多くの若者を犠牲にされながら偉いさんの訪問も無い、見捨てられた奴隷と同じような立場なんじゃないのか、イギ○ス国内における彼らの立場は? 現にスティ―ブンスにさえ見下されてるじゃん、見識のない彼らが意見を持つ必要はない、って。「農夫はいくら努力しても品格も尊厳も身に付けられない」って。自由な権利を持つ民主主義の国民であることだけを拠り所に、戦争の悲しみを、怒りを、また不便な生活への鬱憤を懸命に晴らそうとしているのであろう彼の意見を、スティ―ブンスは心中で何て残酷に切り捨てることか!「死んだ若者たちのためにも権利を行使する義務を思い起こさせる役割を必死に担いたい」と語るスミスの言葉に私は正直胸打たれたよ(´;ω;`) ぜひこの低投票率を誇る我が国の若者たちに聞かせてやってくださいな!・・・って確かに入れたい政党が無いのも限りない事実ではあるんだけどネ☆あっ、今日やっと野合政党の名前決まったらしいけど、今度は台.湾のパクりだって?寄るとこ正反対な癖に、よく恥も外聞もなく^^# M主政権時代にどんだけ失礼な仕打ちしたのか一部の人間は忘れてないと思うからな? あっちの人気の勢いに乗じようとすんなよ?
ダーリントン卿の議会政治の否定とファシズ○上げは最初にも書いたけど何か悲しくなっちゃったな。他の貴族たちの使用人・非上流階級への差別的な認識含め。最も古い議会政治の国じゃないですか。それを「我が国は一番遅れている」だって?そう考えること自体が一周回って遅れてんだよ貴族どもめ!(^ω^#) あー、向うのプロレタリア階級への同情が増すばかり、その内Br exit支持派に回りそうな勢い(笑)「苦しんでいる労働者を救うためには独裁的な手法やアカやルーズベ○トの政策が有効」だって? ど こ が!?結果ド○ツとイタ○アはどうなりました?K産圏の庶民の人権もクソも無い悲惨さたるや(以下略)ついでにニューディー○にも触れとくと、ウチ初め各国で今まさにそんな感じのバラマキしまくりですけど、儲かってるのは一部の大企業だけっすよねぇ・・・(´-`) どう見たって庶民を救うよりもただ資本家を更に肥えさせるためだけの政策やで!消費増税とのコンボでなおのことな!しかしそんな主の意見に何も異論を感じず、求められた仕事だけをトコトン全うする忠誠心って怖い。あ、日/本人のソレなんかまさに最たるもので、戦時中に国が丸ごと狂気そのものに転じたのもこの状態に集団心理が合わさってしまった結果だと思うんですけど、日系人のカズオ氏がこのくだり書くと余計にゾッとしたんじゃねーのイギ○ス人の読者さんたち(・ω・;) それとも逆に「説得力あるわぁ((-_-)ウンウン」と頷きながら受け止められたのかな?
あとさ、ファラディ氏がスティ―ブンスの嘘を咎めたくだりで「イギリ○の本物」を欲しがるアメ○カ人の心理というか、執事も家や家具と同じ装飾品の一部だったんだな、って考えると余計モノ扱いしかされていない自分の人間としての存在意義がどこにあるのか、彼は虚しくはならないのかな? そう自覚するのが怖いから、主が変わっても屋敷というものに、思い出にしがみついて必死に過去を振り返り、「執事という職に求められる品格と偉大さ」について考え続けることでソレを振り払おうとしているのかな、と戦後価値観から社会形態から何もかもが変わらざるを得なかったイギ○スで主を失い、老境に差しかかった主人公の寄る辺なき気持ちの凄まじさのようなものを感じて切なくなったりもした(´・ω・`)

ブリ○ン島内、アイ○ランド、植民地、大陸ヨーロッパ、そしてアメ○カと、何層にも重なったイギリ○人の奇妙な階級意識とプライドが織りなす複雑な社会。その中に生きる人々の彼らなりの葛藤と、本人たちですら気づかない歪み。個人的にイギリ○という国に抱く複雑な感情と、どうしても消せない「下種の極み」という認識。実際に暮らしていたり縁がある人たちから聞いた話、親しんできたフィクションや音楽。どうしても日.本と似ているんですよね。あえて見習ったところもあればそうせざるを得なかったところも、島国ゆえに生じたのであろう共通点も。だからあの国に対しては色々な見方から、様々な思いや考えを揺さぶられる。とりあえず知っておけば大体のメディアは覗ける、というInternational Language・英語の原点の国なわけだし。
いつも英.国の歴史が絡むネタを見る時は「絶対に同情しない」と思って見たり読んだりするんだけど(どんだけヒネくれてんの。笑)、最後には「そっか・・・そりゃ仕方ないわ(´-`)」ってなる現象がここでもまた発症している\(^O^)/だって島国だもん。外の人への差別というか警戒意識が完全に無いとは言いきれないもん。封建制の歴史見る度に、「生き方選ばなくて良いとか何てラクそうな社会!」と思ったりする現代競争社会に疲れ切ったヒキだもの。いや領主の運に左右されたり、生活が必ずしも今のように最低限の保証を得られなかった厳しさは知ってるけどさ。重要なのは米・中なんだけど、イギ○スは何だかんだ言って歴オタ的に外せない国の中で一番どう捉えて良いか分からない存在。だから日系イギリ○人作家の描くテンプレートかつ生々しい英/国描写に正直戸惑いまくっている、というところがとりあえずラスト目前の正直な感想まとめですm(__)m

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