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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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第二幕まで読了したので昨日のリベンジで第一幕終わりまでの感想まとめ。(※時事ネタへの辛口入りますm(__)m)
優雅な土地、妖精さんのおかげでグレートヒェンちゃんの悲劇忘れやがったコイツー!(^ω^#)ビッキビキビキ でも結局太陽の眩さに耐えかねて背を向けるとか(笑)「虹は人間の営為を映し出す鏡だ。虹を見れば、人生とは色とりどりの影にすぎぬということが、よくよく納得できるはずだ。」このフレーズはうちらの現世は所詮夢幻に過ぎない、という考え方に近いですね。

で、今度は皇帝の居城に潜り込んだ悪魔コンビ。宰相が皇帝に奏上する「誤りの世界の繰広げられておりまするその有様」が今の世界とピッタリ同じ。「罪なき者も有力な後ろ盾がなければ有罪になり、世間の万事がばらばらになって当然のことが当然でなくなる。このような有様で人を正道へ導く徳義心が育つものでしょうか。とどのつまりは心正しき者も、へつらい者や賄賂を使う者になびくようになり、正しく断罪することのできぬ裁判官は、ついには悪人の仲間入りを致します。・・・なろうことならこの一幅の画面を厚い布で覆いたいのでございます。・・・万人が互いに害を加え合う有様では、帝王の尊厳すら安泰だとは申せますまい。」スッゲー阿Qの世界が過った(´-`)つーか現代中.国もそうかな。近/衛兵さんかな。あとは高速鉄道の選定で浅はかな決断下して更迭されたイ○ドネシアの閣僚とか、何の役にも立ってない某国.連とか? ウチの政治家どももそうっすかね。
続く兵部卿の世の乱れを嘆く言葉「本来兵士たちが護るべきであった帝国は、掠奪の犠牲となり、荒廃の手に委ねられております。われわれは拱手傍観するの余儀なきに到り、すでに国の大半は収拾のつかぬ状態にございます。国外にも諸王が支配しておられまするが、どなたもこのような世の乱れを真剣にお考えにはなりません。」更に大蔵卿「盟邦の支配者たちが頼りになるものでございましょうか。・・・陛下のしろしめす広大な国土も、今では一体何人の有に帰しておるのでございましょうか。・・・もう権利らしい権利は何一つわれわれの手許には残っておりませぬ。それからまた数々の党派も、今では全く頼りになりませぬ。党派の連中の賛成も非難も、好意も憎悪も、ただもうお座なりのものにすぎぬようになってしまいました。・・・当節では隣国に救いの手をのべようなどとはどの国も致しませぬ。国という国が自分たちの事に追われて手一杯という有様でございます。金の流入口はふさがれてしまいましたので、銘々で引っ掻いたり、掘ったり、寄せ集めたりで、国庫はいつも空なのでございます。」え、これまさに現代社会そのものじゃね?Σ(゜Д゜;)
そんな中でメフィストーフェレス、その苦境を乗り越えるには「有意な男の資性と精神の力」が必要だとのたまわる。(ついに出てきたね、エンジェルちゃん!)それに対する宰相のブチ切れっぷり、「そのような考えが危険この上もないからこそ、無神論者は焼き殺してしまうのだ。資性は罪悪、精神は悪魔、これら二つが夫婦になって懐疑という名の見るもぶざまなふたなり児を産むのだ。・・・反抗などと申すものは、精神の混乱せる愚民の気紛れから生ずるのだ。・・・この手合いこそ国家、国土を危うくする。」王権神授説というか、キリ○ト教が封建制維持のために民衆を管理するための宗教として用いられてきた理由・発想が何となく理解できました。儒教こそが最もそのシステムに適した思想なんじゃないかと考えてきたんだけど(上下関係の秩序が絶対、という意味で)、なるほど一度コレを植え付けちゃうと植民地支配されようが奴隷のように搾取されようが納得というか全てを正当化できてしまうわけね。外れたら宗教的罪人の側に堕ちてしまうから。異端者のあぶり出しもできる。それが魔女狩り、まさに近/衛兵と同じ制度。ウチの連帯責任とどっちが有用だったのかな?^^
そんな宰相に「自分の目で見て触れぬものはないも同然だと考えておられる」と嫌味を言うメフィストーフェレスの企み。「恐ろしい暗闇の中にこそすばらしいものが隠れている」とうそぶく彼に、皇帝は「暗闇にあるものなど、なんの役に立つか。値打ちのあるものは、白日の下に出てこなければならぬ。」と答え、メフィストーフェレスと彼にせりふをもらった天文博士は「自らの手で得ようとしなければ欲しいものは手に入らない」と訴える。それでも謝肉祭の宴へ戻ってしまった皇帝にメフィストーフェレスが呟く「功労あっての幸福ということを、愚人は悟る時がない。よしんば賢者の石を得たとしても、石あって賢者なしというやつさ。」という言葉がさすが長く生きた悪魔ゆえに捉えられた真理だな、と(^^;

そして会堂の仮想舞踏会、司会者の皮肉の効いたオープニングトーク「陛下は私どものために道化の帽子をお持ち帰りになり、私どもは皆生れ変りました。世慣れた人間は誰しもこの帽子をいい気分になってすっぽりかぶるのです。なるほど多少は阿保じみますが、帽子の下はいくらでも利口でいられます。・・・所詮この世は茶番沢山で、昔も今も変りなく、ひとりの大馬鹿者のようなものですからね。」庭作りの男女と造花、生きた植物のやりとりは「流行」と「本物」への皮肉が込められているのかな? その後に出てくる俗世に生きる様々な人々のセリフには今も変らぬ人間の生活のリアルが見えるなぁ。
運命の女神アトロポス「命の糸は細くて切れやすい・・・この糸の限りのある強さをお考えになり、用心なさいまし」その姉に対してクロートー「あの人は無益な運命の糸を引っ張って、一番すばらしい希望の糸を断ち切って墓穴へ引きずって行く」秩序を保つラケシスの「ひょっとしてわたしが気を許すと、世の中は大変なことになるでしょう。」という言葉が意味深長ですね(´∀`;) 続いて復讐の女神たちの登場を知らせる司会者「なるほど気の許せない連中だが、今日という日は天下の馬鹿者という馬鹿者が自分の欠点を自慢するのだから、あの連中も厄介者と名告って出るのです。」恋人や夫婦を引き裂く彼女たちの一神、メガイラのセリフ「人の心はいつまでも同じではないし、時も移り変わって行く。人間というものは望んで得たものをしっかりと握ってはいないで、愚かにももっといいものが欲しいと憧れ、一番すばらしい幸福にもすぐに慣れっこになってしまうのです。」あ、あー確かに!と感じざるを得ない(´Д`;) 次に登場したのは怪物に乗った貴婦人と鎖に繋がれた女二人。「ひとりは自由を求め、もうひとりは自在を得ている」この正体が恐怖と希望!でもって貴婦人が賢明とは(((゜Д゜;)))gkbr「私は人類最大の敵のふたり、恐怖と希望を鎖につないで、社会から遠ざけておくのです。さあ、道を空けて下さい。皆さんは救われたのだ。」おおう!(@_@;)
富の神プルートスが従える童形の馭者が浪費であり詩、というのが面白い。「自分の一番大切な宝を惜しみなく浪費する時にこそ、自分の本分を尽したことになる詩人なのです。・・・全ての富を持つプルートス様にないものを私は差上げるのです。」と言って彼が指で弾いて出した宝に群がる人々、まるで『千と千尋~』の湯屋に潜り込んだカオナシのエピソードみたい。宝がみんな虫になって、馭者は司会者に向かい「物事の奥底を見極めるにはもっと目が利かなければ」と告げてからプルートスに己の献身について尋ねる。「そちはわしの精神の精神だ」と返され、馭者(詩人)が群衆に語る「私の燃やした小さな炎は、皆さんの頭の上で燃え輝いています。それは人の頭から頭へ跳ね飛んで、ある人の頭では燃え続けるが、別の人からは逃げて行く。燃え上がることは滅多になく、ぱっと燃えさかるのも束の間のことです。そうして大抵は知らないうちに哀れにも燃え尽きてしまうのです。」これはゲーテ自身の作家・詩人・文学者として世に在ろうとした、社会に抗おうとした行為や生き方への虚しさを示しているのではないか、と思えてならない(>_<;)

貪欲の言う「おれは遮二無二ためこんだ。それが今じゃ没趣味なことらしい。」からの遊苑の場面で詐欺のような紙幣が出てくるくだり、まさにアベ○ミクス、金融緩和のお話ですかー!?と(ノ∀`) 担保が地中に眠っているはずの金塊、って、将来世代にツケ払わせる積み上がった国債なの? 中.国さんの不動産バブルなの? はたまた弾け飛んだサブプラ○ムか、人間って二百年経っても何も変わってませんよゲーテさーん!(∩^O^∩) 「詐欺も同然の重大な犯罪」とおののく皇帝に「高邁な見識を持った人間なら、無際限のものに対しして、無際限な信を置くことが出来るのでございます。」とのたまうファウスト、すっかり悪魔の仲間入りやでぇ。

でもってまたプルートスと馭者のくだりに戻ると、「さてこれでそちは厄介極まりない重荷から解放された。自由な身の上と相成った今、さっさと自分の世界へ戻って行くがよい。ここはその方の世界ではない。・・・善と美のみが支配するところ、孤独の境界へ住くがよい――そこにその方の世界を創るがよい。」ファウストも初めはそこを目指してたはずなんだけどな(´;ω;`) 主にそう言われて応じる馭者の「あなた様がおわしますところには富裕があり、私がおりまするところでは誰もが大変な得をした気になることでしょう。あなた様にお仕えしようか、それとも私の味方になろうか、とどちらつかずの生き方をして迷う者もおりましょう。・・・私の仕事というものは、出来上がってしまうと隠しておくというわけには参りません。ちょっと息をしただけでも、もう私という事がわかってしまうのです。」んー、芸術か富か、現実的な問答だなぁ((-_-)ウンウン
で、今度こそ自分の宝箱を開けてみせたプルートスに再び群がる群衆を見て呆れ返る司会者、「諸君、少し頭が悪いね。洒落た空の遊び事が、剥き出しの真実でなければならんというのですか。諸君のいわゆる真実とはなんです――空々漠々の、妄想の尻尾をつかまえて、これぞ真実と思っているにすぎないのにねぇ」群集を追っ払い、貪欲の馬鹿ぶりを放り出したプルートスが近づくただならぬ気配に言う言葉「もうじきにあんな茶番などはやっていられなくなるだろう。法の力は強いが、必然の力はさらに強い。」もまた意味深。「わしは誰もが知らぬことをよく知っておるのだ。この狭い縄張りを解いてやろう。幸運にぶつかればいいが。不思議この上ないことが起るかも知れぬ。あれらは、自分たちがどこへ向って進んで行くのか知らぬのだ。一向に用心ということをせぬようだ。」・・・だって、それが群集心理というものだもの(´-`) 土の精グノームたちの「根っからの善意で掘り出した黄金も盗人や女衒を作る基になるのだから情けない。鉄に不自由な想いをさせまいとすれば、傲った奴は刀を作って戦争などをやらかす。三つの戒律を軽んずる奴は、ほかの戒律も守りはしないのさ。」ってセリフにお馬鹿な人間の一人として心からサーセン、と思いましたm(__)m
最後は炎の中の宝を求めて皇帝も臣下もまとめて焼け死ぬ光景を目の当たりにした司会者の「諸人を破滅の淵へ誘い込んだ奴は誰だ。ああ、青春よ、お前は悦びの清らかな限界内に踏みとどまることはできないのか。ああ皇帝陛下よ、全能であらせられて、かつ又、御思慮深くお振舞い遊ばすことはお出来にならないのであろうか。・・・果たしてわれわれは助かるだろうか。帝室の栄華も、この一夜にしてむなしく灰燼に帰するのか」ってセリフがもう!世界中の為政者(+そうなろうとしている立場の人たち)に聞かせてやりたい、と感じた(つД`) U Nも米ボス選候補者も隣も北も南もE Uの連中も南米も東南アジアも何やってんの? 民衆から実権預けられてる身で情けないことこの上ない。みみっちい己の権力の保持だけにこだわってんじゃないよ、ちゃんと問題と向き合って解決してみせろっての、世襲の王や皇帝と違って少なくとも自ら望んでその立場に立ったんだから、と言いたくなってしまうよね☆

遊苑のくだりで「まやかしの紙幣」を作り出して目下の問題を解決し(たように見せかけ。笑)、今度は古代の伝説の英雄と美女を蘇らせるようムチャぶりされた悪魔コンビ。暗い回廊で己の過去を振り返るファウストの「空しいことを学び、教えた――己が考えた通りを筋道立てて並べると、反対の声がその倍も大きく起ってきたものだ。だから己は不快な世俗を逃れて、寂寥と荒涼の中へ赴いて、そして全くひとりぼっちでいるのもいやで、結局は悪魔に身を委ねた」うーん、この学問否定の矛盾と葛藤の心境、エンジェルも共感しただろうなぁ。そしてもちろん私も\(^O^)/
メフィストーフェレスにそそのかされるまま、「よろしい、底の底を極めてみようか。君のいわゆる虚無の中に万有が見出されるだろう。」と冥府から亡霊を連れてくる覚悟を決めたファウスト。メフィストーフェレスが「母の国」と呼ぶその響きに戦慄するファウストに「耳慣れない言葉に尻込みするほど器量が狭いのか。聴き慣れた言葉ばかりを聴こうというのですか。」とこの辺は悪魔の方便と分かっていても胸に刺さるな(・・;)「それでも己は物に動じないということを必ずしもいいことだとは考えないのだ。驚く、これは人間の最善の特性ではあるまいか。世間はこの「驚き」という感情を味わわせてくれないようになってきたが、驚き撃たれてこそ、巨大な神秘に参入しうるのだ。」・・・やっぱりファウストは知性が鋭すぎる故に悪魔に魅入られてしまったのだ、と感じる一言。メフィストーフェレス曰く、現世は「すでに創り終えられたものの国」そしてファウストの赴く場所は「対象の揺らめく絶対の世界」、「もうとうに存在しなくなったもの」がおり、彼の「母たち」はその時次第で形を変える。永遠のたわむれ。・・・正直ちょっと行ってみたい(ゴクリ)

騎士の広間でまた始まったヒネクレやりとり、建築家の古代様式落とし(笑)「気がきかなくて、重たすぎるとでも評すべきか。未開が高貴と言われ、不器用なのが偉大といわれる」全くこれだから地震のない国は(´Д`)=3パルテノンの柱の耐震性は凄いんやで!第二幕終盤に地中海古代の怪物たちの世界を訪ったメフィストーフェレスが地震におののく様とか見ても感じられますよね。「変わらないものは何一つない」世界。それでも決して動じぬと決意するスフィンクスに胸打たれ過ぎてウチにある子を眺めながら読んでました(笑)スノードームと同じ仕組みで、ピラミッド型の中に金粉が降り注ぐ仕組みになってます。どこで買ったんだかもらったんだか忘れたけど(^^; パピルスの栞とか色々あるなーエジプ○グッズ。最初に歴史にハマったキッカケだし、結構好きなの知られてたからお土産とかでも結構いただいた(-m-)ありがたや!建築家に対する天文博士の「魔法の言葉で理性の口を封ずるがよろしい。・・・不可能だからこそ、信ずるに値するというものではありますまいか。」悪魔にセリフ付けてもらってた点といい、ダメだなこのオッサンは(呆)
「母たち」の世界から帰って来たファウスト、「おんみらの頭の周囲には生命なき生命の像が活発に漂い動いている。かつて光耀と仮象のうちに在ったものがそこには動いている。なぜならそれは永遠に存在しようと欲するからだ。」そんな理由で霊魂が存在するとしたら、それほど哀しいことはない、と私なぞは考えてしまう(´・ω・`) で、自ら呼び出したヘレネ―にウッカリ魅せられやがるクソ野郎(^^#)ビキビキ 「己にとって今日までの世界は、なんと下らぬ、訳のわからぬものだっただろうか。ところが己が美の司祭になってこの方、一体どうだろうか。この世はそれ以来初めて生き甲斐のある、根のしっかりとした、永続きのするものになったのだ。・・・お前こそ、己が己の一切の力の働きを、情熱のすべてを、憧れと愛と、拝跪と狂気とを捧ぐるに足る存在だ。」だと? おーいムネモシュネさーん!相方のレテさんが忘れさせたグレートヒェンちゃんの記憶を今すぐコイツに戻してやって!∩(゜Д゜∩)
でもってパリスとヘレネーに対する宮廷の男女の反応も今と全く変わりませんな(笑)嫉妬と羨望、男はイケメンを、女は美女を貶める。学者の「人はとかく眼前のものに眩惑されがちで、わたしとしては書かれたものを最も信用したいのです。」アーチャー主教かよ、ってセリフにこの場は何故か救われる思い。ファウストは完全にイッてしまっている。「己はここにこうしてしっかりと足を踏まえている。ここには現実の場がある。ここでなら精神は亡霊どもと相戦って、偉大な、二重の帝国を築くことができるのだ。・・・己はあの女を救うのだ、あの女は二重の意味で己のものなのだ。」まぁ元ネタ伝説のお約束で、神話上有名な戦いの元になっただけの美女とはいえ(-_-;) 「やれやれ、とうとうこのざまだ。馬鹿者を背負い込むと、結局悪魔でさえ割を食ってしまうのさ。」ってメフィストーフェレスの言葉に初めて同情したわ。

一幕の感想だけでこの時間になってたので、二幕の感想は明日?あたり時間あったら書きますm(__)m いやー、昔の戯曲だの何だのって改めて真理詰まってて面白いな!

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優雅な土地、妖精さんのおかげでグレートヒェンちゃんの悲劇忘れやがったコイツー!(^ω^#)ビッキビキビキ でも結局太陽の眩さに耐えかねて背を向けるとか(笑)「虹は人間の営為を映し出す鏡だ。虹を見れば、人生とは色とりどりの影にすぎぬということが、よくよく納得できるはずだ。」このフレーズはうちらの現世は所詮夢幻に過ぎない、という考え方に近いですね。

で、今度は皇帝の居城に潜り込んだ悪魔コンビ。宰相が皇帝に奏上する「誤りの世界の繰広げられておりまするその有様」が今の世界とピッタリ同じ。「罪なき者も有力な後ろ盾がなければ有罪になり、世間の万事がばらばらになって当然のことが当然でなくなる。このような有様で人を正道へ導く徳義心が育つものでしょうか。とどのつまりは心正しき者も、へつらい者や賄賂を使う者になびくようになり、正しく断罪することのできぬ裁判官は、ついには悪人の仲間入りを致します。・・・なろうことならこの一幅の画面を厚い布で覆いたいのでございます。・・・万人が互いに害を加え合う有様では、帝王の尊厳すら安泰だとは申せますまい。」スッゲー阿Qの世界が過った(´-`)つーか現代中.国もそうかな。近/衛兵さんかな。あとは高速鉄道の選定で浅はかな決断下して更迭されたイ○ドネシアの閣僚とか、何の役にも立ってない某国.連とか? ウチの政治家どももそうっすかね。
続く兵部卿の世の乱れを嘆く言葉「本来兵士たちが護るべきであった帝国は、掠奪の犠牲となり、荒廃の手に委ねられております。われわれは拱手傍観するの余儀なきに到り、すでに国の大半は収拾のつかぬ状態にございます。国外にも諸王が支配しておられまするが、どなたもこのような世の乱れを真剣にお考えにはなりません。」更に大蔵卿「盟邦の支配者たちが頼りになるものでございましょうか。・・・陛下のしろしめす広大な国土も、今では一体何人の有に帰しておるのでございましょうか。・・・もう権利らしい権利は何一つわれわれの手許には残っておりませぬ。それからまた数々の党派も、今では全く頼りになりませぬ。党派の連中の賛成も非難も、好意も憎悪も、ただもうお座なりのものにすぎぬようになってしまいました。・・・当節では隣国に救いの手をのべようなどとはどの国も致しませぬ。国という国が自分たちの事に追われて手一杯という有様でございます。金の流入口はふさがれてしまいましたので、銘々で引っ掻いたり、掘ったり、寄せ集めたりで、国庫はいつも空なのでございます。」え、これまさに現代社会そのものじゃね?Σ(゜Д゜;)
そんな中でメフィストーフェレス、その苦境を乗り越えるには「有意な男の資性と精神の力」が必要だとのたまわる。(ついに出てきたね、エンジェルちゃん!)それに対する宰相のブチ切れっぷり、「そのような考えが危険この上もないからこそ、無神論者は焼き殺してしまうのだ。資性は罪悪、精神は悪魔、これら二つが夫婦になって懐疑という名の見るもぶざまなふたなり児を産むのだ。・・・反抗などと申すものは、精神の混乱せる愚民の気紛れから生ずるのだ。・・・この手合いこそ国家、国土を危うくする。」王権神授説というか、キリ○ト教が封建制維持のために民衆を管理するための宗教として用いられてきた理由・発想が何となく理解できました。儒教こそが最もそのシステムに適した思想なんじゃないかと考えてきたんだけど(上下関係の秩序が絶対、という意味で)、なるほど一度コレを植え付けちゃうと植民地支配されようが奴隷のように搾取されようが納得というか全てを正当化できてしまうわけね。外れたら宗教的罪人の側に堕ちてしまうから。異端者のあぶり出しもできる。それが魔女狩り、まさに近/衛兵と同じ制度。ウチの連帯責任とどっちが有用だったのかな?^^
そんな宰相に「自分の目で見て触れぬものはないも同然だと考えておられる」と嫌味を言うメフィストーフェレスの企み。「恐ろしい暗闇の中にこそすばらしいものが隠れている」とうそぶく彼に、皇帝は「暗闇にあるものなど、なんの役に立つか。値打ちのあるものは、白日の下に出てこなければならぬ。」と答え、メフィストーフェレスと彼にせりふをもらった天文博士は「自らの手で得ようとしなければ欲しいものは手に入らない」と訴える。それでも謝肉祭の宴へ戻ってしまった皇帝にメフィストーフェレスが呟く「功労あっての幸福ということを、愚人は悟る時がない。よしんば賢者の石を得たとしても、石あって賢者なしというやつさ。」という言葉がさすが長く生きた悪魔ゆえに捉えられた真理だな、と(^^;

そして会堂の仮想舞踏会、司会者の皮肉の効いたオープニングトーク「陛下は私どものために道化の帽子をお持ち帰りになり、私どもは皆生れ変りました。世慣れた人間は誰しもこの帽子をいい気分になってすっぽりかぶるのです。なるほど多少は阿保じみますが、帽子の下はいくらでも利口でいられます。・・・所詮この世は茶番沢山で、昔も今も変りなく、ひとりの大馬鹿者のようなものですからね。」庭作りの男女と造花、生きた植物のやりとりは「流行」と「本物」への皮肉が込められているのかな? その後に出てくる俗世に生きる様々な人々のセリフには今も変らぬ人間の生活のリアルが見えるなぁ。
運命の女神アトロポス「命の糸は細くて切れやすい・・・この糸の限りのある強さをお考えになり、用心なさいまし」その姉に対してクロートー「あの人は無益な運命の糸を引っ張って、一番すばらしい希望の糸を断ち切って墓穴へ引きずって行く」秩序を保つラケシスの「ひょっとしてわたしが気を許すと、世の中は大変なことになるでしょう。」という言葉が意味深長ですね(´∀`;) 続いて復讐の女神たちの登場を知らせる司会者「なるほど気の許せない連中だが、今日という日は天下の馬鹿者という馬鹿者が自分の欠点を自慢するのだから、あの連中も厄介者と名告って出るのです。」恋人や夫婦を引き裂く彼女たちの一神、メガイラのセリフ「人の心はいつまでも同じではないし、時も移り変わって行く。人間というものは望んで得たものをしっかりと握ってはいないで、愚かにももっといいものが欲しいと憧れ、一番すばらしい幸福にもすぐに慣れっこになってしまうのです。」あ、あー確かに!と感じざるを得ない(´Д`;) 次に登場したのは怪物に乗った貴婦人と鎖に繋がれた女二人。「ひとりは自由を求め、もうひとりは自在を得ている」この正体が恐怖と希望!でもって貴婦人が賢明とは(((゜Д゜;)))gkbr「私は人類最大の敵のふたり、恐怖と希望を鎖につないで、社会から遠ざけておくのです。さあ、道を空けて下さい。皆さんは救われたのだ。」おおう!(@_@;)
富の神プルートスが従える童形の馭者が浪費であり詩、というのが面白い。「自分の一番大切な宝を惜しみなく浪費する時にこそ、自分の本分を尽したことになる詩人なのです。・・・全ての富を持つプルートス様にないものを私は差上げるのです。」と言って彼が指で弾いて出した宝に群がる人々、まるで『千と千尋~』の湯屋に潜り込んだカオナシのエピソードみたい。宝がみんな虫になって、馭者は司会者に向かい「物事の奥底を見極めるにはもっと目が利かなければ」と告げてからプルートスに己の献身について尋ねる。「そちはわしの精神の精神だ」と返され、馭者(詩人)が群衆に語る「私の燃やした小さな炎は、皆さんの頭の上で燃え輝いています。それは人の頭から頭へ跳ね飛んで、ある人の頭では燃え続けるが、別の人からは逃げて行く。燃え上がることは滅多になく、ぱっと燃えさかるのも束の間のことです。そうして大抵は知らないうちに哀れにも燃え尽きてしまうのです。」これはゲーテ自身の作家・詩人・文学者として世に在ろうとした、社会に抗おうとした行為や生き方への虚しさを示しているのではないか、と思えてならない(>_<;)

貪欲の言う「おれは遮二無二ためこんだ。それが今じゃ没趣味なことらしい。」からの遊苑の場面で詐欺のような紙幣が出てくるくだり、まさにアベ○ミクス、金融緩和のお話ですかー!?と(ノ∀`) 担保が地中に眠っているはずの金塊、って、将来世代にツケ払わせる積み上がった国債なの? 中.国さんの不動産バブルなの? はたまた弾け飛んだサブプラ○ムか、人間って二百年経っても何も変わってませんよゲーテさーん!(∩^O^∩) 「詐欺も同然の重大な犯罪」とおののく皇帝に「高邁な見識を持った人間なら、無際限のものに対しして、無際限な信を置くことが出来るのでございます。」とのたまうファウスト、すっかり悪魔の仲間入りやでぇ。

でもってまたプルートスと馭者のくだりに戻ると、「さてこれでそちは厄介極まりない重荷から解放された。自由な身の上と相成った今、さっさと自分の世界へ戻って行くがよい。ここはその方の世界ではない。・・・善と美のみが支配するところ、孤独の境界へ住くがよい――そこにその方の世界を創るがよい。」ファウストも初めはそこを目指してたはずなんだけどな(´;ω;`) 主にそう言われて応じる馭者の「あなた様がおわしますところには富裕があり、私がおりまするところでは誰もが大変な得をした気になることでしょう。あなた様にお仕えしようか、それとも私の味方になろうか、とどちらつかずの生き方をして迷う者もおりましょう。・・・私の仕事というものは、出来上がってしまうと隠しておくというわけには参りません。ちょっと息をしただけでも、もう私という事がわかってしまうのです。」んー、芸術か富か、現実的な問答だなぁ((-_-)ウンウン
で、今度こそ自分の宝箱を開けてみせたプルートスに再び群がる群衆を見て呆れ返る司会者、「諸君、少し頭が悪いね。洒落た空の遊び事が、剥き出しの真実でなければならんというのですか。諸君のいわゆる真実とはなんです――空々漠々の、妄想の尻尾をつかまえて、これぞ真実と思っているにすぎないのにねぇ」群集を追っ払い、貪欲の馬鹿ぶりを放り出したプルートスが近づくただならぬ気配に言う言葉「もうじきにあんな茶番などはやっていられなくなるだろう。法の力は強いが、必然の力はさらに強い。」もまた意味深。「わしは誰もが知らぬことをよく知っておるのだ。この狭い縄張りを解いてやろう。幸運にぶつかればいいが。不思議この上ないことが起るかも知れぬ。あれらは、自分たちがどこへ向って進んで行くのか知らぬのだ。一向に用心ということをせぬようだ。」・・・だって、それが群集心理というものだもの(´-`) 土の精グノームたちの「根っからの善意で掘り出した黄金も盗人や女衒を作る基になるのだから情けない。鉄に不自由な想いをさせまいとすれば、傲った奴は刀を作って戦争などをやらかす。三つの戒律を軽んずる奴は、ほかの戒律も守りはしないのさ。」ってセリフにお馬鹿な人間の一人として心からサーセン、と思いましたm(__)m
最後は炎の中の宝を求めて皇帝も臣下もまとめて焼け死ぬ光景を目の当たりにした司会者の「諸人を破滅の淵へ誘い込んだ奴は誰だ。ああ、青春よ、お前は悦びの清らかな限界内に踏みとどまることはできないのか。ああ皇帝陛下よ、全能であらせられて、かつ又、御思慮深くお振舞い遊ばすことはお出来にならないのであろうか。・・・果たしてわれわれは助かるだろうか。帝室の栄華も、この一夜にしてむなしく灰燼に帰するのか」ってセリフがもう!世界中の為政者(+そうなろうとしている立場の人たち)に聞かせてやりたい、と感じた(つД`) U Nも米ボス選候補者も隣も北も南もE Uの連中も南米も東南アジアも何やってんの? 民衆から実権預けられてる身で情けないことこの上ない。みみっちい己の権力の保持だけにこだわってんじゃないよ、ちゃんと問題と向き合って解決してみせろっての、世襲の王や皇帝と違って少なくとも自ら望んでその立場に立ったんだから、と言いたくなってしまうよね☆

遊苑のくだりで「まやかしの紙幣」を作り出して目下の問題を解決し(たように見せかけ。笑)、今度は古代の伝説の英雄と美女を蘇らせるようムチャぶりされた悪魔コンビ。暗い回廊で己の過去を振り返るファウストの「空しいことを学び、教えた――己が考えた通りを筋道立てて並べると、反対の声がその倍も大きく起ってきたものだ。だから己は不快な世俗を逃れて、寂寥と荒涼の中へ赴いて、そして全くひとりぼっちでいるのもいやで、結局は悪魔に身を委ねた」うーん、この学問否定の矛盾と葛藤の心境、エンジェルも共感しただろうなぁ。そしてもちろん私も\(^O^)/
メフィストーフェレスにそそのかされるまま、「よろしい、底の底を極めてみようか。君のいわゆる虚無の中に万有が見出されるだろう。」と冥府から亡霊を連れてくる覚悟を決めたファウスト。メフィストーフェレスが「母の国」と呼ぶその響きに戦慄するファウストに「耳慣れない言葉に尻込みするほど器量が狭いのか。聴き慣れた言葉ばかりを聴こうというのですか。」とこの辺は悪魔の方便と分かっていても胸に刺さるな(・・;)「それでも己は物に動じないということを必ずしもいいことだとは考えないのだ。驚く、これは人間の最善の特性ではあるまいか。世間はこの「驚き」という感情を味わわせてくれないようになってきたが、驚き撃たれてこそ、巨大な神秘に参入しうるのだ。」・・・やっぱりファウストは知性が鋭すぎる故に悪魔に魅入られてしまったのだ、と感じる一言。メフィストーフェレス曰く、現世は「すでに創り終えられたものの国」そしてファウストの赴く場所は「対象の揺らめく絶対の世界」、「もうとうに存在しなくなったもの」がおり、彼の「母たち」はその時次第で形を変える。永遠のたわむれ。・・・正直ちょっと行ってみたい(ゴクリ)

騎士の広間でまた始まったヒネクレやりとり、建築家の古代様式落とし(笑)「気がきかなくて、重たすぎるとでも評すべきか。未開が高貴と言われ、不器用なのが偉大といわれる」全くこれだから地震のない国は(´Д`)=3パルテノンの柱の耐震性は凄いんやで!第二幕終盤に地中海古代の怪物たちの世界を訪ったメフィストーフェレスが地震におののく様とか見ても感じられますよね。「変わらないものは何一つない」世界。それでも決して動じぬと決意するスフィンクスに胸打たれ過ぎてウチにある子を眺めながら読んでました(笑)スノードームと同じ仕組みで、ピラミッド型の中に金粉が降り注ぐ仕組みになってます。どこで買ったんだかもらったんだか忘れたけど(^^; パピルスの栞とか色々あるなーエジプ○グッズ。最初に歴史にハマったキッカケだし、結構好きなの知られてたからお土産とかでも結構いただいた(-m-)ありがたや!建築家に対する天文博士の「魔法の言葉で理性の口を封ずるがよろしい。・・・不可能だからこそ、信ずるに値するというものではありますまいか。」悪魔にセリフ付けてもらってた点といい、ダメだなこのオッサンは(呆)
「母たち」の世界から帰って来たファウスト、「おんみらの頭の周囲には生命なき生命の像が活発に漂い動いている。かつて光耀と仮象のうちに在ったものがそこには動いている。なぜならそれは永遠に存在しようと欲するからだ。」そんな理由で霊魂が存在するとしたら、それほど哀しいことはない、と私なぞは考えてしまう(´・ω・`) で、自ら呼び出したヘレネ―にウッカリ魅せられやがるクソ野郎(^^#)ビキビキ 「己にとって今日までの世界は、なんと下らぬ、訳のわからぬものだっただろうか。ところが己が美の司祭になってこの方、一体どうだろうか。この世はそれ以来初めて生き甲斐のある、根のしっかりとした、永続きのするものになったのだ。・・・お前こそ、己が己の一切の力の働きを、情熱のすべてを、憧れと愛と、拝跪と狂気とを捧ぐるに足る存在だ。」だと? おーいムネモシュネさーん!相方のレテさんが忘れさせたグレートヒェンちゃんの記憶を今すぐコイツに戻してやって!∩(゜Д゜∩)
でもってパリスとヘレネーに対する宮廷の男女の反応も今と全く変わりませんな(笑)嫉妬と羨望、男はイケメンを、女は美女を貶める。学者の「人はとかく眼前のものに眩惑されがちで、わたしとしては書かれたものを最も信用したいのです。」アーチャー主教かよ、ってセリフにこの場は何故か救われる思い。ファウストは完全にイッてしまっている。「己はここにこうしてしっかりと足を踏まえている。ここには現実の場がある。ここでなら精神は亡霊どもと相戦って、偉大な、二重の帝国を築くことができるのだ。・・・己はあの女を救うのだ、あの女は二重の意味で己のものなのだ。」まぁ元ネタ伝説のお約束で、神話上有名な戦いの元になっただけの美女とはいえ(-_-;) 「やれやれ、とうとうこのざまだ。馬鹿者を背負い込むと、結局悪魔でさえ割を食ってしまうのさ。」ってメフィストーフェレスの言葉に初めて同情したわ。

一幕の感想だけでこの時間になってたので、二幕の感想は明日?あたり時間あったら書きますm(__)m いやー、昔の戯曲だの何だのって改めて真理詰まってて面白いな!

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