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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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第三話。月子視点。

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本当は嫉妬しているのに、それをちっとも素直に伝えられない。
今だって、花香にかこ付けて一方的に怒ってしまった。
紅登はいつだって、妹にばかり優しい。
私にはすぐに文句を言って、いつも喧嘩になってしまうのに。
花香にはどんなときでも、柔らかい言葉と暖かい手を差し伸べる。
羨ましい。妬ましい。
大切な妹に向かってそんな感情を抱く自分が嫌で嫌で堪らなかった。
だから、彼から好きだと告げられたとき、
自分は夢を見ているのではないか、という気分になった。
いつかこの夢は覚めてしまうのではないか、
彼は、本当は花香のように可愛らしい少女の方が好きなのではなかったか?
付き合い始めて一年が経った今でも、疑ってしまう。嫉妬してしまう。
花香、やめて。紅登と同じ高校なんか行かないで。私から彼を奪わないで!
 
「月子ちゃん、どうしたの?」
 
いつの間にか思考の淵に沈んでいたのか、心配そうに掛けられた声に顔を上げると
今の今まで勉強を教えていた従妹が驚いたようにこちらを覗きこんでいた。
 
「ううん、何でもない。どこまでやったっけ?」
 
明るく声を上げると、傍らにいた幼なじみが苦笑して答える。
 
「問五の(一)までだよ。ここは文法がこうなるから……」
 
引き続き解説を始めた幼なじみと、ふんふんと頷いてみせる彼女を見て、
素直に“お似合いだな”と感じる。
私と紅登も、そう思われているのだろうか?いいや、それは無いだろう。
見るからに体育会系の黒髪にスポーツ刈りの紅登、
進学校故の緩やかな校則の恩恵をもろに享受した見た目の私。
並んでいてもどこかちぐはぐだし、そもそもこの二人のように向かい合って
過ごす穏やかな時間、というのを紡いだことは一度も無い。
キスも、その先も辿り着きはしたけれど、
どちらもお互いに強情を張った末の半ばやけっぱち的な状況で、
何となくステップを上って来ただけのような気がする。
私は紅登に触れるとき、この上もない幸せを感じているのだけれど、
紅登の方は果たしてどうなのだろうか。私と一緒にいて、
“楽しい”とか、“嬉しい”とかいう気持ちを抱いてくれているのだろうか?
いつも仏頂面で口を開けば皮肉しか飛び出さない二人の関係を、
どう思っているのだろうか?それを知るのが堪らなく怖い。
これほど可愛げのない私に、紅登がいつ愛想を尽かしてしまうのか、
不安で不安で堪らない。それでなくとも今、高校三年生の紅登には
遠方の大学からのスポーツ推薦の話が持ち上がっている。
紅登は、まだ迷っているらしい。ここを離れるかどうか。
私と……花香の傍を離れるかどうか。本当は「行かないで」と叫びたい。
それとも、私に「一緒に来い」と告げてくれたなら――
花香のいない場所で、私はようやく素直になることができるかもしれない。
紅登に、きちんと好きだと伝えられるかもしれない。
縋るように視線を滑らせた先で、彼はまた愛おしそうに妹の頭を撫でていた。
私は唇を噛みしめた。
パレットの上に広がった汚らしい染みは、洗っても洗っても、中々落ちることは無い。





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本当は嫉妬しているのに、それをちっとも素直に伝えられない。
今だって、花香にかこ付けて一方的に怒ってしまった。
紅登はいつだって、妹にばかり優しい。
私にはすぐに文句を言って、いつも喧嘩になってしまうのに。
花香にはどんなときでも、柔らかい言葉と暖かい手を差し伸べる。
羨ましい。妬ましい。
大切な妹に向かってそんな感情を抱く自分が嫌で嫌で堪らなかった。
だから、彼から好きだと告げられたとき、
自分は夢を見ているのではないか、という気分になった。
いつかこの夢は覚めてしまうのではないか、
彼は、本当は花香のように可愛らしい少女の方が好きなのではなかったか?
付き合い始めて一年が経った今でも、疑ってしまう。嫉妬してしまう。
花香、やめて。紅登と同じ高校なんか行かないで。私から彼を奪わないで!
 
「月子ちゃん、どうしたの?」
 
いつの間にか思考の淵に沈んでいたのか、心配そうに掛けられた声に顔を上げると
今の今まで勉強を教えていた従妹が驚いたようにこちらを覗きこんでいた。
 
「ううん、何でもない。どこまでやったっけ?」
 
明るく声を上げると、傍らにいた幼なじみが苦笑して答える。
 
「問五の(一)までだよ。ここは文法がこうなるから……」
 
引き続き解説を始めた幼なじみと、ふんふんと頷いてみせる彼女を見て、
素直に“お似合いだな”と感じる。
私と紅登も、そう思われているのだろうか?いいや、それは無いだろう。
見るからに体育会系の黒髪にスポーツ刈りの紅登、
進学校故の緩やかな校則の恩恵をもろに享受した見た目の私。
並んでいてもどこかちぐはぐだし、そもそもこの二人のように向かい合って
過ごす穏やかな時間、というのを紡いだことは一度も無い。
キスも、その先も辿り着きはしたけれど、
どちらもお互いに強情を張った末の半ばやけっぱち的な状況で、
何となくステップを上って来ただけのような気がする。
私は紅登に触れるとき、この上もない幸せを感じているのだけれど、
紅登の方は果たしてどうなのだろうか。私と一緒にいて、
“楽しい”とか、“嬉しい”とかいう気持ちを抱いてくれているのだろうか?
いつも仏頂面で口を開けば皮肉しか飛び出さない二人の関係を、
どう思っているのだろうか?それを知るのが堪らなく怖い。
これほど可愛げのない私に、紅登がいつ愛想を尽かしてしまうのか、
不安で不安で堪らない。それでなくとも今、高校三年生の紅登には
遠方の大学からのスポーツ推薦の話が持ち上がっている。
紅登は、まだ迷っているらしい。ここを離れるかどうか。
私と……花香の傍を離れるかどうか。本当は「行かないで」と叫びたい。
それとも、私に「一緒に来い」と告げてくれたなら――
花香のいない場所で、私はようやく素直になることができるかもしれない。
紅登に、きちんと好きだと伝えられるかもしれない。
縋るように視線を滑らせた先で、彼はまた愛おしそうに妹の頭を撫でていた。
私は唇を噛みしめた。
パレットの上に広がった汚らしい染みは、洗っても洗っても、中々落ちることは無い。





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