×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
二万打記念SSS。やっぱり死ネタですm(__)m
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇねぇ、海の底を二万マイル旅して怪物とか遺跡とかに出会えるんなら、
空の果てを二万マイル旅したら何に出会えると思う?」
あれはいつのことだったろう。ベッドの上に寝そべって、
冒険物語の古典と言われる本を開きながら問いかけてきた
冒険物語の古典と言われる本を開きながら問いかけてきた
二海の言葉に、パソコンに向かっていた俺は呆れながら溜息を吐いた。
確か二海はその本を、『自分の名前と一字被ってて何か面白そうだから!』
という理由で図書館から借りてきたばかりだったのだと思う。
「はあ?空の果てなんか行ったって、宇宙に飛び出して終わりだろ。
大体おまえ、二万マイルが何キロかも分かってねぇだろ?」
「もう、万里は夢が無さすぎ!せっかく名前だけは壮大でステキなのに……」
そっけない俺の返事に溜息を吐き返されて、少しムッとして二海の方を見やれば、
彼女はふくれっ面をして再びページへと視線を戻していた。
ただ単に親が万里の長城旅行した時にデキた子だから、
ってだけで付けられた名前なんだけど……。まぁそれも凄いよな、色んな意味で。
「きっとさぁ、空の果てには怪物も戦いの跡も、
滅びた国も復讐とか策略も、暗いものはなーんもなくて、
綺麗な鳥とか、羽の生えた馬とか、天使とかが飛んでるんだよ。
滅びた国も復讐とか策略も、暗いものはなーんもなくて、
綺麗な鳥とか、羽の生えた馬とか、天使とかが飛んでるんだよ。
いーっつもお日さまに照らされてるから、誰も、何も悪いこととか出来ないの!
それでさ、きっとどこかには天国の扉があって、神様が両手を広げて
「ウェルカム!」って迎えてくれるんだと、あたしは思うなぁ」
「ウェルカム!」って迎えてくれるんだと、あたしは思うなぁ」
「おまえ、ハリポの読み過ぎじゃねぇ?
その年でそんなこと言うとか、正直引くわー」
その年でそんなこと言うとか、正直引くわー」
大体「ウェルカム!」ってどこの国の神だよ?
イエスもブッダもアッラーも、きっと英語は喋んねぇぞ?
余りにも夢見がちな二海の言葉に、若干顔を引きつらせながら返事を返すと、
彼女は無言で俺の顔にクッションを投げつけてきた。
懐かしい思い出。俺の大切な、大切な記憶。
~~~
「おーい……実際空の果てには、何があったんだー?」
屋上から見上げる、晴れ渡った青い空の向こうへと呼びかける。
あれから、数年。
彼女は本当に空の果てへと旅立ってしまった。今頃は夢見た場所で、
綺麗な鳥や羽の生えた馬や天使たちと戯れているのだろうか。
綺麗な鳥や羽の生えた馬や天使たちと戯れているのだろうか。
天国の扉は、果たしてちゃんと見つけることが出来たのだろうか。
神様は、本当に彼女を歓迎してくれているだろうか。
ふと頬に手をやると、冷たい液体が指に触れた。
「俺が、連れて行きたかったな……。一般人でも乗れるようなロケット
開発してさ、「どうだ!?空の果てには雲があって、オゾン層があって、
開発してさ、「どうだ!?空の果てには雲があって、オゾン層があって、
そのまた向こうには宇宙があるだけだろ!?」
って、神様の「ウェルカム!」より先に、おまえに言ってやりたかった……!」
拳を握りしめ、フェンスに向かって打ちつける。
今さら、なんだ。
二海の病気が判って、俺がこの道に進むことを決めて、
時間が足りないって分かっていても、俺は諦めきれなかった。
二海に、こっち側の“空の果て”を見せたかった。
それが、叶わないのなら……
「なんで俺も一緒に連れて行ってくれないんだよ……!?」
見上げた青空は沈黙したまま、何の答えも返してくれない。
俺だけじゃ、空の果てに夢なんか見れない。
二万マイルもたった一人で旅することなんか、不可能に決まってるんだ。
だからきっと、二海だって。
「俺が行くまで、待ってろよぉー!」
空の向こうに向かって、大声で叫ぶ。
天国の扉を、一人でなんか開けさせない。
俺がいつか、此処できちんとロケットを造って、それからあっち側に行くまで。
だってそうだろう?
甘ったれのあいつが、一人っきりで旅なんかできるわけがない。
方向音痴のあいつが、一人っきりで天国まで辿り着けるわけがない。
冒険ものには仲間が必要って、相場が決まってるんだから。
今日も俺は、空の果てに思いを馳せる。
そこで身動きできずに俺を待っているであろう、大切な大切な宝物に向かって。
7/24 改題
→後書き
7/24 改題
→後書き
PR
追記を閉じる▲
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「ねぇねぇ、海の底を二万マイル旅して怪物とか遺跡とかに出会えるんなら、
空の果てを二万マイル旅したら何に出会えると思う?」
あれはいつのことだったろう。ベッドの上に寝そべって、
冒険物語の古典と言われる本を開きながら問いかけてきた
冒険物語の古典と言われる本を開きながら問いかけてきた
二海の言葉に、パソコンに向かっていた俺は呆れながら溜息を吐いた。
確か二海はその本を、『自分の名前と一字被ってて何か面白そうだから!』
という理由で図書館から借りてきたばかりだったのだと思う。
「はあ?空の果てなんか行ったって、宇宙に飛び出して終わりだろ。
大体おまえ、二万マイルが何キロかも分かってねぇだろ?」
「もう、万里は夢が無さすぎ!せっかく名前だけは壮大でステキなのに……」
そっけない俺の返事に溜息を吐き返されて、少しムッとして二海の方を見やれば、
彼女はふくれっ面をして再びページへと視線を戻していた。
ただ単に親が万里の長城旅行した時にデキた子だから、
ってだけで付けられた名前なんだけど……。まぁそれも凄いよな、色んな意味で。
「きっとさぁ、空の果てには怪物も戦いの跡も、
滅びた国も復讐とか策略も、暗いものはなーんもなくて、
綺麗な鳥とか、羽の生えた馬とか、天使とかが飛んでるんだよ。
滅びた国も復讐とか策略も、暗いものはなーんもなくて、
綺麗な鳥とか、羽の生えた馬とか、天使とかが飛んでるんだよ。
いーっつもお日さまに照らされてるから、誰も、何も悪いこととか出来ないの!
それでさ、きっとどこかには天国の扉があって、神様が両手を広げて
「ウェルカム!」って迎えてくれるんだと、あたしは思うなぁ」
「ウェルカム!」って迎えてくれるんだと、あたしは思うなぁ」
「おまえ、ハリポの読み過ぎじゃねぇ?
その年でそんなこと言うとか、正直引くわー」
その年でそんなこと言うとか、正直引くわー」
大体「ウェルカム!」ってどこの国の神だよ?
イエスもブッダもアッラーも、きっと英語は喋んねぇぞ?
余りにも夢見がちな二海の言葉に、若干顔を引きつらせながら返事を返すと、
彼女は無言で俺の顔にクッションを投げつけてきた。
懐かしい思い出。俺の大切な、大切な記憶。
~~~
「おーい……実際空の果てには、何があったんだー?」
屋上から見上げる、晴れ渡った青い空の向こうへと呼びかける。
あれから、数年。
彼女は本当に空の果てへと旅立ってしまった。今頃は夢見た場所で、
綺麗な鳥や羽の生えた馬や天使たちと戯れているのだろうか。
綺麗な鳥や羽の生えた馬や天使たちと戯れているのだろうか。
天国の扉は、果たしてちゃんと見つけることが出来たのだろうか。
神様は、本当に彼女を歓迎してくれているだろうか。
ふと頬に手をやると、冷たい液体が指に触れた。
「俺が、連れて行きたかったな……。一般人でも乗れるようなロケット
開発してさ、「どうだ!?空の果てには雲があって、オゾン層があって、
開発してさ、「どうだ!?空の果てには雲があって、オゾン層があって、
そのまた向こうには宇宙があるだけだろ!?」
って、神様の「ウェルカム!」より先に、おまえに言ってやりたかった……!」
拳を握りしめ、フェンスに向かって打ちつける。
今さら、なんだ。
二海の病気が判って、俺がこの道に進むことを決めて、
時間が足りないって分かっていても、俺は諦めきれなかった。
二海に、こっち側の“空の果て”を見せたかった。
それが、叶わないのなら……
「なんで俺も一緒に連れて行ってくれないんだよ……!?」
見上げた青空は沈黙したまま、何の答えも返してくれない。
俺だけじゃ、空の果てに夢なんか見れない。
二万マイルもたった一人で旅することなんか、不可能に決まってるんだ。
だからきっと、二海だって。
「俺が行くまで、待ってろよぉー!」
空の向こうに向かって、大声で叫ぶ。
天国の扉を、一人でなんか開けさせない。
俺がいつか、此処できちんとロケットを造って、それからあっち側に行くまで。
だってそうだろう?
甘ったれのあいつが、一人っきりで旅なんかできるわけがない。
方向音痴のあいつが、一人っきりで天国まで辿り着けるわけがない。
冒険ものには仲間が必要って、相場が決まってるんだから。
今日も俺は、空の果てに思いを馳せる。
そこで身動きできずに俺を待っているであろう、大切な大切な宝物に向かって。
7/24 改題
→後書き
7/24 改題
→後書き
PR
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック