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バイト先の先輩と後輩のSSS。取りようによってはBL要素あり。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
恋でもないし愛でもないけど、恋より濃いし愛より深い。
ああ、好きなんだ。このひとのことが――――
~~~
「くどうー、今日ひまー?」
バイトの終わり、こちらに向かって大声で叫んできたのは先輩の加藤さん。
俺より二つ年上で、一年早く働き始めた彼はいわゆる憎めない
お調子者というやつで、店の中心的存在だ。
「あー、別に暇っすよー」
と答えながら、同じ返答を昨日も一昨日もしていたことを思い出す。
昨日は電話で、一昨日はメールで。
同じ時間帯にバイトに入るのは十日ぶりであるにも関わらず、だ。
「なら一緒にメシ食い行こーぜ」
にこにこしながら誘ってくる彼に、
「オレもう加藤さんと三日連続一緒に過ごしてますよ?」
と返すと、彼はそれが何だと言わんばかりに、
「ホントだなー。で、行くの?行かないの?」
と聞いてきた。
その質問に
「行きますよ」
と即答した自分。いつもの二人の、いつものやりとり。
常に人の輪の中心にいる彼が、なぜ自分と親しくなったのかは分からない。
『加藤と工藤って何か似てるじゃん!』
と訳の分からないことを言って隅にいたオレに絡んできたのは、
バイトを始めて一月ほど経った頃の飲み会だった。
以来何かにつけて呼び出されるようになり、いつの間にか共通の趣味も見つけ、
バイトが無い時でも三日に一度は連絡を取り合うようになった。
彼女と会うより加藤さんと会う時間の方が長い。
彼女との思い出より、加藤さんとの思い出の方が多い。
付き合って三ヶ月の、同じサークルの彼女とは週に一度会うか会わないか、
という関係だ。
告白されたと言ったら皆に羨ましがられた、割と今時の可愛い女の子。
今日もオレからの連絡を、携帯の前で待っているに違いない。
~~~
「生ふたーつ!」
馴染みの居酒屋で、元気よく声を張り上げる加藤さんに、
フッと笑みがこみあげる。
「何笑ってんの?そういえばさ、笑うと言えばお前こないだの江上さんの話
知ってる?あの人さ、この前のバイトの時よりによって店長の前でさ……」
オレといる時、加藤さんは常に喋っている。
よくそんなにネタが尽きることが無いな、と言うくらい、延々と喋り続ける。
オレは時たま相槌を打ちながらそれを黙って聞いている。
時々何か話題を振ろうかと思っても、
加藤さんのようにテンポ良く面白おかしく話すことはできない。
ある意味才能なんだろうな、こういうことは。
なんで、加藤さんはオレなんかと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
なんで、オレは加藤さんと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
「ごめんな、一人で喋って」
時々バツが悪そうに頭を掻きながら、加藤さんが呟く。
「いえ、オレ加藤さんの話聞くの好きですよ」
笑って答えると、加藤さんも笑う。
だからいいか、と思う。
居心地の良さで言うなら、家族が一番。
楽をできるのは、何でもしてくれる彼女といる時。
テンションが上がるのは、大学の友達とするバカ騒ぎ。
それでも、オレは彼の呼び出しを優先する。
……ああ、そっか。
好きなんだ――
この気持ちは、恋でもなければ愛でもなくて。
燃えるような熱いものでも、粘っこい執着でもない。
それでも、きっと、この気持ちは――――
恋より濃くて、愛より深い。
~~~
ああ、好きなんだ。このひとのことが――――
~~~
「くどうー、今日ひまー?」
バイトの終わり、こちらに向かって大声で叫んできたのは先輩の加藤さん。
俺より二つ年上で、一年早く働き始めた彼はいわゆる憎めない
お調子者というやつで、店の中心的存在だ。
「あー、別に暇っすよー」
と答えながら、同じ返答を昨日も一昨日もしていたことを思い出す。
昨日は電話で、一昨日はメールで。
同じ時間帯にバイトに入るのは十日ぶりであるにも関わらず、だ。
「なら一緒にメシ食い行こーぜ」
にこにこしながら誘ってくる彼に、
「オレもう加藤さんと三日連続一緒に過ごしてますよ?」
と返すと、彼はそれが何だと言わんばかりに、
「ホントだなー。で、行くの?行かないの?」
と聞いてきた。
その質問に
「行きますよ」
と即答した自分。いつもの二人の、いつものやりとり。
常に人の輪の中心にいる彼が、なぜ自分と親しくなったのかは分からない。
『加藤と工藤って何か似てるじゃん!』
と訳の分からないことを言って隅にいたオレに絡んできたのは、
バイトを始めて一月ほど経った頃の飲み会だった。
以来何かにつけて呼び出されるようになり、いつの間にか共通の趣味も見つけ、
バイトが無い時でも三日に一度は連絡を取り合うようになった。
彼女と会うより加藤さんと会う時間の方が長い。
彼女との思い出より、加藤さんとの思い出の方が多い。
付き合って三ヶ月の、同じサークルの彼女とは週に一度会うか会わないか、
という関係だ。
告白されたと言ったら皆に羨ましがられた、割と今時の可愛い女の子。
今日もオレからの連絡を、携帯の前で待っているに違いない。
~~~
「生ふたーつ!」
馴染みの居酒屋で、元気よく声を張り上げる加藤さんに、
フッと笑みがこみあげる。
「何笑ってんの?そういえばさ、笑うと言えばお前こないだの江上さんの話
知ってる?あの人さ、この前のバイトの時よりによって店長の前でさ……」
オレといる時、加藤さんは常に喋っている。
よくそんなにネタが尽きることが無いな、と言うくらい、延々と喋り続ける。
オレは時たま相槌を打ちながらそれを黙って聞いている。
時々何か話題を振ろうかと思っても、
加藤さんのようにテンポ良く面白おかしく話すことはできない。
ある意味才能なんだろうな、こういうことは。
なんで、加藤さんはオレなんかと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
なんで、オレは加藤さんと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
「ごめんな、一人で喋って」
時々バツが悪そうに頭を掻きながら、加藤さんが呟く。
「いえ、オレ加藤さんの話聞くの好きですよ」
笑って答えると、加藤さんも笑う。
だからいいか、と思う。
居心地の良さで言うなら、家族が一番。
楽をできるのは、何でもしてくれる彼女といる時。
テンションが上がるのは、大学の友達とするバカ騒ぎ。
それでも、オレは彼の呼び出しを優先する。
……ああ、そっか。
好きなんだ――
この気持ちは、恋でもなければ愛でもなくて。
燃えるような熱いものでも、粘っこい執着でもない。
それでも、きっと、この気持ちは――――
恋より濃くて、愛より深い。
~~~
「んじゃ、またな」
いつものように、そっけない別れ。
「はーい、お疲れでーす」
片手を挙げて、すぐ背を向ける。
『またな』は、きっとすぐにやって来る。
彼はオレの、大切なひと。
→加藤サイド『Not Love?』
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恋でもないし愛でもないけど、恋より濃いし愛より深い。
ああ、好きなんだ。このひとのことが――――
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「くどうー、今日ひまー?」
バイトの終わり、こちらに向かって大声で叫んできたのは先輩の加藤さん。
俺より二つ年上で、一年早く働き始めた彼はいわゆる憎めない
お調子者というやつで、店の中心的存在だ。
「あー、別に暇っすよー」
と答えながら、同じ返答を昨日も一昨日もしていたことを思い出す。
昨日は電話で、一昨日はメールで。
同じ時間帯にバイトに入るのは十日ぶりであるにも関わらず、だ。
「なら一緒にメシ食い行こーぜ」
にこにこしながら誘ってくる彼に、
「オレもう加藤さんと三日連続一緒に過ごしてますよ?」
と返すと、彼はそれが何だと言わんばかりに、
「ホントだなー。で、行くの?行かないの?」
と聞いてきた。
その質問に
「行きますよ」
と即答した自分。いつもの二人の、いつものやりとり。
常に人の輪の中心にいる彼が、なぜ自分と親しくなったのかは分からない。
『加藤と工藤って何か似てるじゃん!』
と訳の分からないことを言って隅にいたオレに絡んできたのは、
バイトを始めて一月ほど経った頃の飲み会だった。
以来何かにつけて呼び出されるようになり、いつの間にか共通の趣味も見つけ、
バイトが無い時でも三日に一度は連絡を取り合うようになった。
彼女と会うより加藤さんと会う時間の方が長い。
彼女との思い出より、加藤さんとの思い出の方が多い。
付き合って三ヶ月の、同じサークルの彼女とは週に一度会うか会わないか、
という関係だ。
告白されたと言ったら皆に羨ましがられた、割と今時の可愛い女の子。
今日もオレからの連絡を、携帯の前で待っているに違いない。
~~~
「生ふたーつ!」
馴染みの居酒屋で、元気よく声を張り上げる加藤さんに、
フッと笑みがこみあげる。
「何笑ってんの?そういえばさ、笑うと言えばお前こないだの江上さんの話
知ってる?あの人さ、この前のバイトの時よりによって店長の前でさ……」
オレといる時、加藤さんは常に喋っている。
よくそんなにネタが尽きることが無いな、と言うくらい、延々と喋り続ける。
オレは時たま相槌を打ちながらそれを黙って聞いている。
時々何か話題を振ろうかと思っても、
加藤さんのようにテンポ良く面白おかしく話すことはできない。
ある意味才能なんだろうな、こういうことは。
なんで、加藤さんはオレなんかと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
なんで、オレは加藤さんと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
「ごめんな、一人で喋って」
時々バツが悪そうに頭を掻きながら、加藤さんが呟く。
「いえ、オレ加藤さんの話聞くの好きですよ」
笑って答えると、加藤さんも笑う。
だからいいか、と思う。
居心地の良さで言うなら、家族が一番。
楽をできるのは、何でもしてくれる彼女といる時。
テンションが上がるのは、大学の友達とするバカ騒ぎ。
それでも、オレは彼の呼び出しを優先する。
……ああ、そっか。
好きなんだ――
この気持ちは、恋でもなければ愛でもなくて。
燃えるような熱いものでも、粘っこい執着でもない。
それでも、きっと、この気持ちは――――
恋より濃くて、愛より深い。
~~~
ああ、好きなんだ。このひとのことが――――
~~~
「くどうー、今日ひまー?」
バイトの終わり、こちらに向かって大声で叫んできたのは先輩の加藤さん。
俺より二つ年上で、一年早く働き始めた彼はいわゆる憎めない
お調子者というやつで、店の中心的存在だ。
「あー、別に暇っすよー」
と答えながら、同じ返答を昨日も一昨日もしていたことを思い出す。
昨日は電話で、一昨日はメールで。
同じ時間帯にバイトに入るのは十日ぶりであるにも関わらず、だ。
「なら一緒にメシ食い行こーぜ」
にこにこしながら誘ってくる彼に、
「オレもう加藤さんと三日連続一緒に過ごしてますよ?」
と返すと、彼はそれが何だと言わんばかりに、
「ホントだなー。で、行くの?行かないの?」
と聞いてきた。
その質問に
「行きますよ」
と即答した自分。いつもの二人の、いつものやりとり。
常に人の輪の中心にいる彼が、なぜ自分と親しくなったのかは分からない。
『加藤と工藤って何か似てるじゃん!』
と訳の分からないことを言って隅にいたオレに絡んできたのは、
バイトを始めて一月ほど経った頃の飲み会だった。
以来何かにつけて呼び出されるようになり、いつの間にか共通の趣味も見つけ、
バイトが無い時でも三日に一度は連絡を取り合うようになった。
彼女と会うより加藤さんと会う時間の方が長い。
彼女との思い出より、加藤さんとの思い出の方が多い。
付き合って三ヶ月の、同じサークルの彼女とは週に一度会うか会わないか、
という関係だ。
告白されたと言ったら皆に羨ましがられた、割と今時の可愛い女の子。
今日もオレからの連絡を、携帯の前で待っているに違いない。
~~~
「生ふたーつ!」
馴染みの居酒屋で、元気よく声を張り上げる加藤さんに、
フッと笑みがこみあげる。
「何笑ってんの?そういえばさ、笑うと言えばお前こないだの江上さんの話
知ってる?あの人さ、この前のバイトの時よりによって店長の前でさ……」
オレといる時、加藤さんは常に喋っている。
よくそんなにネタが尽きることが無いな、と言うくらい、延々と喋り続ける。
オレは時たま相槌を打ちながらそれを黙って聞いている。
時々何か話題を振ろうかと思っても、
加藤さんのようにテンポ良く面白おかしく話すことはできない。
ある意味才能なんだろうな、こういうことは。
なんで、加藤さんはオレなんかと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
なんで、オレは加藤さんと一緒にいるんだろう。
そう感じることもある。
「ごめんな、一人で喋って」
時々バツが悪そうに頭を掻きながら、加藤さんが呟く。
「いえ、オレ加藤さんの話聞くの好きですよ」
笑って答えると、加藤さんも笑う。
だからいいか、と思う。
居心地の良さで言うなら、家族が一番。
楽をできるのは、何でもしてくれる彼女といる時。
テンションが上がるのは、大学の友達とするバカ騒ぎ。
それでも、オレは彼の呼び出しを優先する。
……ああ、そっか。
好きなんだ――
この気持ちは、恋でもなければ愛でもなくて。
燃えるような熱いものでも、粘っこい執着でもない。
それでも、きっと、この気持ちは――――
恋より濃くて、愛より深い。
~~~
「んじゃ、またな」
いつものように、そっけない別れ。
「はーい、お疲れでーす」
片手を挙げて、すぐ背を向ける。
『またな』は、きっとすぐにやって来る。
彼はオレの、大切なひと。
→加藤サイド『Not Love?』
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