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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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優しい旦那さま。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



「そんなことないさ」
 
え? 今の聞こえてた? アーノルドを見返すと、
 
「あれ、魔力が強いと心読めるの言ってなかったっけ?」
 
ととぼけたように聞いてきた。
 
「聞いてないわよそんなのっ! じゃあ何!?
今までの私の打算や動揺なんかも全部お見通しだったわけ!?
なんでそれで結婚したのよ、このばかーっ!!」
 
悔しさと羞恥でいっぱいになりながらアーノルドに掴みかかると、
彼はその手を優しく受け止め、
 
「人の気持ちが分かってしまうのはあんまり楽しいことじゃないし、もちろん
普段はなるべく読まないようにしてるよ。最初は君がどんな気持ちで
近づいてきてるのか分かって……あまりいい気持ちはしなかったけど。
君は“それだけ”の人じゃなかったから、いつしか本当に君を好きになって……
それからは、出来るだけ君の心は読まないようにしてきたんだ」
 
と言った。私は彼の言葉が信じられずに、唇をわななかせながら叫んだ。
 
「私の考えてることわかって、どうしてそれで、好きになれるの?
本当の私は、誰かに愛されるような人間じゃない。
誰にも必要としてもらえない人間なのに、なんで……!?」
 
「それは違うよ、ミチル。君は真っ直ぐで、きれいな女性だ。
見掛けは派手だし、虚勢を張っていても、本当は素直で純粋な心の持ち主じゃないか。
君があちらの世界でどんな経験をしてきたのかはわからないけど、
きっと君と深く関わったことのある人間なら、間違いなく
君の見た目だけじゃなく、中身にも惹かれるはずだよ」
 
「アーノルド……」
 
アーノルドはどこまでも優しい微笑を浮かべて、私を見つめる。
彼の心の中をそのまま写し取ったような、澄み切った空のように真っ青な眼差し。
その瞳に私が写る。醜く取り乱した私。
アーノルドの瞳は澄んでいるが故に、他人の心までを映し出す鏡のようだ。
 このボケボケ王子、たまにはこんなクサイ台詞もしっかり言えるんじゃない……!
 
ずっと、誰かに愛されたかった。愛されてなかったわけじゃない。
それでも、誰かの「一番」になりたかった。必要とされたかった。
 
『君がそうしたいなら』
 
その台詞は「キミガイナクテモベツニヘイキ」と聞こえた。
仕事よりも、友達よりも私を選んで。私だけを見て。私は、「私」だけの場所が欲しかったのだ。
「どうしても、君がいなくちゃダメだ」と言ってくれる人を求めていたのだ。
 
アーノルドが、「本当の私」を知ってくれた。理解してくれた。
もしかしたら、今度こそ……。私の胸の中に、小さな希望の光が宿ったように感じた。
 
 
~~~
 
 
「いとこぉ?」
 
「ああ、僕の従兄にあたるミュージックキングダムの国王夫妻が
一週間後に我が国を訪問されることが決まったんだ。
君にも紹介するよ、ミチル。ああ、お祝いを用意しておかなきゃ……!」
 
側近が丁重に持ってきた手紙の封を開けた途端、慌てだしたアーノルドに
その原因を問うと、彼はこんな答えを返してきた。王様が従兄、ね……。
まあヤツ自身も未来の王様なんだから何の不思議もないのだけれど。
つくづく、すごいオトコを捕まえてしまった……。
 
「お祝いって?」
 
私の質問に、アーノルドはにっこりと微笑んで
 
「シャープ兄さん……ミュージックキングダムの国王は、
つい最近結婚式を挙げたばかりなんだよ。今回の各国訪問も、
視察という形を取ってはいるけど実際にはハネムーンみたいなものじゃないかな?
異世界から来た王妃様にこの世界のいいところを見せて回りたいんだと思うよ」
 
と告げた。ふーん、こっちの世界でも“ハネムーン”なんてやるのねぇ。
私とアーノルドの場合はどうなるのかしら……、って!
 
「今、なんて言った?」
 
「え、だからシャープは今回来るのは新婚旅行だ、って……」
 
「その前! っていうか後っていうか……あ~もう!
とにかく、その王様の奥さんがどっから来たって!?」
 
「え、王妃のオトさんは確か……」
 
「たしか!?」
 
「ミチルと同じように、異なる世界から、来たって……」
 
「……!!」
 
異なる世界……ここから見て異世界……って地球のこと?
いや、ここがあるってことは「地球」以外のパラレルワールドもいくつもあるかも……。
大体、“オト”って名前が微妙よね。男なんだか女なんだかいくつなんだか。
仮に地球人だったとしてもどこの国の人かもわかんないじゃない!
 
「ミチル、どうかした?」
 
ブツクサ呟きながら自分の思考に陥ってしまっていた私に、アーノルドの能天気な声がかかる。
 
「もう、うるさいわね! 少し黙ってて!」
 
もし“オトさん”が地球人だったら、どうやって来たのか聞けるかもしれない。
そしたら帰るヒントだって少しは……、って違う違う。私は別に帰りたくなんかないじゃない。
ここにいたら一生贅沢ができるし、国一番のセレブの妻だし……。
でも、少し地球の話もできたら、嬉しいかな……。
 
「なによ?」
 
ふと、視線に気づいてアーノルドを見ると、彼はとろけそうに優しい微笑を浮かべていた。
出た、必殺王子スマイル。
ボッ、と顔がほてりそうになるのをごまかすように、乱暴に問うと、彼は
 
「やっぱり、同じところから来た人に会うのは嬉しいんだなぁ、と思って」
 
と答えた。
 
「まだ同じとこから来たかどうかはわかんないじゃない」
 
私が口を尖らすと、アーノルドはそっとこちらに近づいてきた。
 
「でも、ここでの立場は同じだろう? ……慣れない世界で、頑張ってる。
だからオトさんに会えたら、ミチルはきっと喜ぶんじゃないかな、と思って」
 
「アーノルド、あんたまさか……」
 
私のために、わざわざ他国の国王夫妻を招いてくれたの?
 
「ちょうどよくシャープ兄さんから手紙が来たからね」
 
悪戯にウィンクして見せたアーノルドに、私は小さく
 
「バカ……」
 
と呟いて、ぎゅっ、と手を握った。
彼の大きな手から伝わる温もりは、地球にいるあの人を思い出させた。
少しだけ懐かしい、そしてとても切ない気持ちと共に。





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「そんなことないさ」
 
え? 今の聞こえてた? アーノルドを見返すと、
 
「あれ、魔力が強いと心読めるの言ってなかったっけ?」
 
ととぼけたように聞いてきた。
 
「聞いてないわよそんなのっ! じゃあ何!?
今までの私の打算や動揺なんかも全部お見通しだったわけ!?
なんでそれで結婚したのよ、このばかーっ!!」
 
悔しさと羞恥でいっぱいになりながらアーノルドに掴みかかると、
彼はその手を優しく受け止め、
 
「人の気持ちが分かってしまうのはあんまり楽しいことじゃないし、もちろん
普段はなるべく読まないようにしてるよ。最初は君がどんな気持ちで
近づいてきてるのか分かって……あまりいい気持ちはしなかったけど。
君は“それだけ”の人じゃなかったから、いつしか本当に君を好きになって……
それからは、出来るだけ君の心は読まないようにしてきたんだ」
 
と言った。私は彼の言葉が信じられずに、唇をわななかせながら叫んだ。
 
「私の考えてることわかって、どうしてそれで、好きになれるの?
本当の私は、誰かに愛されるような人間じゃない。
誰にも必要としてもらえない人間なのに、なんで……!?」
 
「それは違うよ、ミチル。君は真っ直ぐで、きれいな女性だ。
見掛けは派手だし、虚勢を張っていても、本当は素直で純粋な心の持ち主じゃないか。
君があちらの世界でどんな経験をしてきたのかはわからないけど、
きっと君と深く関わったことのある人間なら、間違いなく
君の見た目だけじゃなく、中身にも惹かれるはずだよ」
 
「アーノルド……」
 
アーノルドはどこまでも優しい微笑を浮かべて、私を見つめる。
彼の心の中をそのまま写し取ったような、澄み切った空のように真っ青な眼差し。
その瞳に私が写る。醜く取り乱した私。
アーノルドの瞳は澄んでいるが故に、他人の心までを映し出す鏡のようだ。
 このボケボケ王子、たまにはこんなクサイ台詞もしっかり言えるんじゃない……!
 
ずっと、誰かに愛されたかった。愛されてなかったわけじゃない。
それでも、誰かの「一番」になりたかった。必要とされたかった。
 
『君がそうしたいなら』
 
その台詞は「キミガイナクテモベツニヘイキ」と聞こえた。
仕事よりも、友達よりも私を選んで。私だけを見て。私は、「私」だけの場所が欲しかったのだ。
「どうしても、君がいなくちゃダメだ」と言ってくれる人を求めていたのだ。
 
アーノルドが、「本当の私」を知ってくれた。理解してくれた。
もしかしたら、今度こそ……。私の胸の中に、小さな希望の光が宿ったように感じた。
 
 
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「いとこぉ?」
 
「ああ、僕の従兄にあたるミュージックキングダムの国王夫妻が
一週間後に我が国を訪問されることが決まったんだ。
君にも紹介するよ、ミチル。ああ、お祝いを用意しておかなきゃ……!」
 
側近が丁重に持ってきた手紙の封を開けた途端、慌てだしたアーノルドに
その原因を問うと、彼はこんな答えを返してきた。王様が従兄、ね……。
まあヤツ自身も未来の王様なんだから何の不思議もないのだけれど。
つくづく、すごいオトコを捕まえてしまった……。
 
「お祝いって?」
 
私の質問に、アーノルドはにっこりと微笑んで
 
「シャープ兄さん……ミュージックキングダムの国王は、
つい最近結婚式を挙げたばかりなんだよ。今回の各国訪問も、
視察という形を取ってはいるけど実際にはハネムーンみたいなものじゃないかな?
異世界から来た王妃様にこの世界のいいところを見せて回りたいんだと思うよ」
 
と告げた。ふーん、こっちの世界でも“ハネムーン”なんてやるのねぇ。
私とアーノルドの場合はどうなるのかしら……、って!
 
「今、なんて言った?」
 
「え、だからシャープは今回来るのは新婚旅行だ、って……」
 
「その前! っていうか後っていうか……あ~もう!
とにかく、その王様の奥さんがどっから来たって!?」
 
「え、王妃のオトさんは確か……」
 
「たしか!?」
 
「ミチルと同じように、異なる世界から、来たって……」
 
「……!!」
 
異なる世界……ここから見て異世界……って地球のこと?
いや、ここがあるってことは「地球」以外のパラレルワールドもいくつもあるかも……。
大体、“オト”って名前が微妙よね。男なんだか女なんだかいくつなんだか。
仮に地球人だったとしてもどこの国の人かもわかんないじゃない!
 
「ミチル、どうかした?」
 
ブツクサ呟きながら自分の思考に陥ってしまっていた私に、アーノルドの能天気な声がかかる。
 
「もう、うるさいわね! 少し黙ってて!」
 
もし“オトさん”が地球人だったら、どうやって来たのか聞けるかもしれない。
そしたら帰るヒントだって少しは……、って違う違う。私は別に帰りたくなんかないじゃない。
ここにいたら一生贅沢ができるし、国一番のセレブの妻だし……。
でも、少し地球の話もできたら、嬉しいかな……。
 
「なによ?」
 
ふと、視線に気づいてアーノルドを見ると、彼はとろけそうに優しい微笑を浮かべていた。
出た、必殺王子スマイル。
ボッ、と顔がほてりそうになるのをごまかすように、乱暴に問うと、彼は
 
「やっぱり、同じところから来た人に会うのは嬉しいんだなぁ、と思って」
 
と答えた。
 
「まだ同じとこから来たかどうかはわかんないじゃない」
 
私が口を尖らすと、アーノルドはそっとこちらに近づいてきた。
 
「でも、ここでの立場は同じだろう? ……慣れない世界で、頑張ってる。
だからオトさんに会えたら、ミチルはきっと喜ぶんじゃないかな、と思って」
 
「アーノルド、あんたまさか……」
 
私のために、わざわざ他国の国王夫妻を招いてくれたの?
 
「ちょうどよくシャープ兄さんから手紙が来たからね」
 
悪戯にウィンクして見せたアーノルドに、私は小さく
 
「バカ……」
 
と呟いて、ぎゅっ、と手を握った。
彼の大きな手から伝わる温もりは、地球にいるあの人を思い出させた。
少しだけ懐かしい、そしてとても切ない気持ちと共に。





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