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結末
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は男を待っていた。
毎夜毎夜、私の夢を訪れる、硬質な眼差しを秘めた美しい男を。
初めて出会った時、一目であの男だと気づいた。
ずっとずっと、逢いたくて堪らなかった夢の中の男。
父が死す前、私の生涯を決する相手だと予言を残していった相手。
あの夜、拒むことが出来なかったのはそのためだった。
男が島を去った時、あんなにも哀しかったのは……
子を宿したことが、あんなにも嬉しかったのは……
全て、私が恋をしていたから。夢の中で、あの男に。
子を宿したことが、あんなにも嬉しかったのは……
全て、私が恋をしていたから。夢の中で、あの男に。
生身の男に出会い、夢で逢うことができなくなって初めて、
私は己が男を愛していることを知った。
私は己が男を愛していることを知った。
島を捨てたのは、男についてきたのは……私自身のため。
私自身が、男の傍にいたかったから。
私自身が、男の傍にいたかったから。
けれど男の方は……私を迎えたのは、きっとほんの気まぐれ。
だから、笑うことは出来なかった。名を呼ぶことはできなかった。
私は男にとって、そんなことを求められる人間ではないと思ったから。
「随分長い遠回りを……していたのだな」
男は微笑んで、私の頬を撫でた。夢の中と同じ、暖かくて、優しい微笑みだった。
触れる手の熱さが堪らなく愛しい。夢は今、現(うつつ)へと鮮やかに変貌を遂げた。
――姦しい京雀たちのさえずりに、
「帝の母たる国母の生家として大臣家が栄えたのは、類稀なる巫女を北の方に迎えた所以」
――姦しい京雀たちのさえずりに、
「帝の母たる国母の生家として大臣家が栄えたのは、類稀なる巫女を北の方に迎えた所以」
との噂を聞くには、今しばらくの時を待つ。
→後書き
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私は男を待っていた。
毎夜毎夜、私の夢を訪れる、硬質な眼差しを秘めた美しい男を。
初めて出会った時、一目であの男だと気づいた。
ずっとずっと、逢いたくて堪らなかった夢の中の男。
父が死す前、私の生涯を決する相手だと予言を残していった相手。
あの夜、拒むことが出来なかったのはそのためだった。
男が島を去った時、あんなにも哀しかったのは……
子を宿したことが、あんなにも嬉しかったのは……
全て、私が恋をしていたから。夢の中で、あの男に。
子を宿したことが、あんなにも嬉しかったのは……
全て、私が恋をしていたから。夢の中で、あの男に。
生身の男に出会い、夢で逢うことができなくなって初めて、
私は己が男を愛していることを知った。
私は己が男を愛していることを知った。
島を捨てたのは、男についてきたのは……私自身のため。
私自身が、男の傍にいたかったから。
私自身が、男の傍にいたかったから。
けれど男の方は……私を迎えたのは、きっとほんの気まぐれ。
だから、笑うことは出来なかった。名を呼ぶことはできなかった。
私は男にとって、そんなことを求められる人間ではないと思ったから。
「随分長い遠回りを……していたのだな」
男は微笑んで、私の頬を撫でた。夢の中と同じ、暖かくて、優しい微笑みだった。
触れる手の熱さが堪らなく愛しい。夢は今、現(うつつ)へと鮮やかに変貌を遂げた。
――姦しい京雀たちのさえずりに、
「帝の母たる国母の生家として大臣家が栄えたのは、類稀なる巫女を北の方に迎えた所以」
――姦しい京雀たちのさえずりに、
「帝の母たる国母の生家として大臣家が栄えたのは、類稀なる巫女を北の方に迎えた所以」
との噂を聞くには、今しばらくの時を待つ。
→後書き
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この記事へのコメント
NEWVELから検索で飛んできました。予想外に切ない恋話で泣いちゃいました!
Re:泣けました~
atomさん、コメントありがとうございます。
実はコメントで感想をいただくのは初めてなので少しドキドキしています(^^;
「夢占」は短期間に一気に書いてしまったもので、上げては下げ上げては下げ・・・を繰り返した経緯があるのでそのような感想をいただけるととても嬉しいです。
更新の遅いブログですが、今後とものんびり書いていきたいと思っておりますので、また気が向きましたら遊びにいらしてください。
実はコメントで感想をいただくのは初めてなので少しドキドキしています(^^;
「夢占」は短期間に一気に書いてしまったもので、上げては下げ上げては下げ・・・を繰り返した経緯があるのでそのような感想をいただけるととても嬉しいです。
更新の遅いブログですが、今後とものんびり書いていきたいと思っておりますので、また気が向きましたら遊びにいらしてください。
2009/05/07(木) 12:04 | ケイト
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