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読了しましたが、この時間になってしまったので四幕の感想まで。(※しつこいですが時事や現実の出来事への辛口や感情的な言及が入りますm(__)m
ヘレネーが消え、孤独の深淵に取り残されるファウスト。悪魔の力を借りて彼の築き上げたアルカディアが崩れて行くのを眺めながら「眩くもはかない日々の大きな意の反映」を見出す。そしてヘレネーの残した衣の与えるやさしさに、初恋・グレートヒェンのことをやっと思い出しやがった(^ω^#) 好き勝手やっときながら、なーにが「胸の一番深いところにある焦れてきた宝」だよ。「己の心の中にある最高のもの」おうおう、こんな奴からはぜひ持ち去ってもらって結構だな!
メフィストーフェレスの地獄の底の話が興味深い。「逐い落とされた時にはどうにもそこらがあんまり明るいので、随分と窮屈で不便な思いをしたものだが、悪魔一同の吐き出した咳によって体内の毒気があたりに充満し、最後にはガスとなり地殻が大破裂してしまった。」うーん、コレどこの中.国?結果として「われわれの居場所も逆になり、今までの底が、今度は天辺になってしまった。最低のものは最高のものなりという理論の根拠も、悪魔たちはここに求めたというわけです。」なるほどー( ´艸`)プークスクス 彼の語る言葉に、ファウストは「気高く無言のうちに聳え立つ山塊は、どういうふうにして出来たのか、なぜ出来たのか問おうとは思わない。自然が自分の中に自分の基礎を置いた時、自然が地球を無理をせずに丸め上げた。・・・自然というものは、自分自身の姿をたのしむために、気違いじみた力ずくの荒業は必要としないのだ。」と反論する。
メフィストーフェレスの「あなたはこれほどはっきりしたことはないと思っているのでしょうが、私は現場にいたのだから、そういう工合に事は運ばれなかったということをよく知っています。・・・岩と岩とを打合せてできた山のかけら、陸地にあるよその世界から飛んできたすごく重たい物が腰を据えているのに、これほどのものを投げ飛ばす力の説明ができる者はいますか。哲学者なんか、手も足も出ませんや。とにかく岩がそこにある。これは事実だ。こいつをどう説明するか、われわれは考え抜いてきたわけだが、結論はというと――素朴な一般大衆だけが事実を事実として素直に認め、ひねくれた解釈などはしないのです。」という更なる反駁に、大いなる矛盾を感じざるを得ない。悪魔の自然観こそが神をも含む超自然的な力の世界への干渉を肯定しているとか。ファウストは「自然」という言葉をめっちゃ使うし愛してるみたいだけど、ソレは「創造主」を認めた上でのことなのかイマイチよく分かんないし(´・ω・`) 「自然がどんなであろうと、知ったことじゃない。正直のところ問題は、悪魔がその場に居合せたという一事にある。」メフィストーフェレスのムキになっているようなセリフ含め、このやりとりに19世紀という科学の黎明期、全ての自然の成り立ちが解明される予感への人類の最後の惑いのようなものが表されているのかな?
「満足というものを知らないあなたは、欲しいものもなかったのだろう」とメフィストーフェレスに話を振られて、ファウストは新たな欲について語り出す。「己は支配し所有したいのだ。行為がすべてだ、名声などなんの値打ちがある。」あーらら、いっちばん厄介な欲来ちゃった(´Д`;) メフィストーフェレスの「けれども詩人という手合いが出てきて、後世にあなたの誉れを言い伝え、愚行によって愚行を奨励することになりますぜ。」って返事が最高(^∀^)σヒャーッハッハ!OPとも繋がるし、確かにそんなん謡われたくないよねー、ってエピ盛られて語り伝えられちゃってる神様だの英雄山ほどいますもんね。そんな悪魔に「人間が何を志しているか、君は知らぬのだ。刻薄で辛辣な厭らしい君は(イヤイヤあんたも負けてませんって(^^)b)、人間が求めているところのものについては何も知らぬのだ。」とファウストは返す。でもね、この後に続く彼の野望、海と波に対する憎しみに思わず胸がかき乱されちゃった(-_-;)「広い平坦な岸辺に襲いかかる波が己の癪にさわったのだ。傲る心が情熱的に騒ぐ血によって、すべての権利を尊重する自由な精神を不快な気持にさせるようなものだ。」「波はあとからあとから押し寄せてきて、威力を揮って支配するが、引去ったあとを見ると、不安のあまり己を絶望させることは何一つとしてないのだ。」五年後のあの日が近づいている東北民として、これほど胸に突き刺さるセリフがあるかっての。津波が来ない大陸の人間は何ておめでたいんだろう。彼にとって波は非生産的に押し寄せる諸々の不条理の繰り返しの比喩でしかない。だからそれを「不羈なる自然の、目的をもたぬ力にすぎぬ。」と言い、「己はここで戦ってみたい。波をねじ伏せてやりたい。」なんて“精神的な意味で”のたまうことができる。現実にそれを必死にやろうとしてきた土地に生きる人間の存在を、この時代のヨーロッパに生きる人々にはきっと想像もつかないんでしょうね。
ファウストの望みを叶えるために、皇帝の戦争に協力し土地を得ろとそそのかすメフィストーフェレス。「また戦争か。賢者の好んで聴こうとしない響きだ。」おう、全くだとも(´-`)=3 若く享楽に走る皇帝に反発する勢力が出てくるのは当然。ファウストも「大変な間違いだ。・・・享楽は人を卑俗にする。」と納得する。皇帝が遊んでる間の国内の無政府状態っぷり、どっかの何かを彷彿とさせまくりますなぁ。どの時代、どの場所にもこういう悲惨は存在してきた、いや今も存在する。うちらが安全地帯から見て見ぬふりをしているだけで。しかし「新帝を立てて国に新たに魂を吹き込んでもらおう、市民生活の安全を保証してもらって、生れ変った新世界で、平和と正義とを一つにしてもらおう」という発想は、まだドイ○が民主制から程遠い状態だったことへの皮肉だろうか? いや絶大な権力を握っていた教会への皮肉か、やっぱり(笑)「事実そういったのは坊主どもなのです。奴らはよく肥えた太い腹の安全を計ったのです。奴らこそ誰よりも立ち働いたのです。叛乱は拡がり、神聖なものとされた。」あー、アジア人的には義/和団とか比.叡山なんかも思い起こさせますねぇ。
皇帝が陣を張る前山の上。やっぱり親戚縁者から寝返り出てましたか^^ヨーロッパの王室まじカオス過ぎて戦争だの革命だのの動き見ると爆笑するよな。日/本の武将だの将軍の跡目争いがみみっちく思えるくらい、みんなコッキタネー!口さきだけで、腰を上げようとしない諸侯も定番ですな。現代もオバ○とかっていう似たような感じのがいるよ☆(やらないなら黙ってれば良いのに、喋ることによって余計な結果を招き、結局出遅れて自体を泥沼化させるという天才でしたな。一般的な“頭が良い人”の判断というか行動として理解はできるけど)皇帝の「保身が利己主義の鉄則だ。感恩も思慕も、義務も対面もないのだ。悪徳の勘定書が一杯になると、隣家の舵で自分も焼き殺されるということを考えないのだ。」という真理を突きまくったセリフはぜひウチの平和ボケ連中にもお聞かせ願いたいお言葉。「新しい皇帝が出てくると指図されたとおりにぞろぞろと動いて行く大衆、贋の旗について行く羊のような根性なし」このくだりは阿Qの革命軍と村人たちをメッチャ想起させますね><←まだ引きずりまくってる(笑)
そんな諸侯や民衆の不甲斐なさをグチる間諜たちに向かって、「叛逆皇帝が出てきたということは、余の利益になる。今にして初めて余は、余こそ皇帝だということを感ずる。・・・どれほど豪華な遊宴の中にも、危険というものだけはいつも欠けていた。・・・その方どもが世に戦争を思いとどまらせなかったならば、今頃は余も武勲に輝いていたことであろう。 いつであったか(メフィストーフェレスの幻術により)一面の火に囲まれた折も、余は余の胸中に独立不羈の精神の気配を感じた。・・・勝利と栄光の他愛もない夢を見てきた余だが、余は今こそ余が不埒にも怠ってきたものを取り戻すのだ。」と皇帝は告げる。初めは彼のセリフに、じゃあ一人で勝手に戦ってろっての、無責任な為政者め^^#とムカつきましたが、最後に彼は戦う意味、危険にさらされて初めて己の地位と責任の実感を得られたのかな、と。そこへ現れたファウストに、「調子の良い時に群がってくる連中は沢山いるが、こちらが劣勢の時に駆けつけてくれる人物ほど歓迎されるものはない」と皇帝大喜び(笑)「数千の人間が余に味方し、あるいは敵となって、相争おうというこの刹那を大切に考えてもらいたい。独力でやりとげてこそ男ではないか。(このフレーズも繰り返し出てくるからゲーテ哲学の主要素なんでしょうね)玉座と王冠を欲する者は、その身にそれだけの値打ちがなければならぬ。」うーん、彼自身も世襲の皇帝のはずなんでしょうが、大陸の“天命”にも通じる思想だなぁ(・・;) そんな彼を「大願成就のために御自身の首をお賭けになるのはよろしくございませぬ。陛下というおつむりなくしては、我ら手足に何ができましょう。」と持ち上げてみせるファウスト、自分の本心との矛盾に気づきながらの二枚舌、全くクソ野郎だな!
自分が悪魔にやらせてることを皇帝が救った妖術師の仕業にしやがったファウスト(ノ∀`) でも皇帝が教会から遺恨を買ったキッカケもこれで納得だわ。「物事に拘泥せぬ心から出た善行は、大きく実るもの」という情けは人のためならず精神には実は密かに頷いてしまうけど。「私、良いことしてるんですー!」アピよりよっぽど押し付けがましくなくて救われるというか@ヒネクレ者だからさ(^-^;) メフィストーフェレスの配下の烏を見て不吉だと怯える皇帝に「鳩は平和の使者でございますが、烏は軍事の使者」と説明するファウスト、え、鳩の対称は何となく鷹だと思ってたわ・・・。
いくら実際の正体が忠誠を持たぬ悪魔とそれに魅入られた男でも、彼らに散々頼っておきながら「気味が悪くて叶わぬから、悪化した戦況の後始末は奴らにやらせよう。だが指揮杖は渡さない。」って将軍と皇帝酷くないか?まぁ結局悪魔のメフィストーフェレスの幻術によって上手くカタは付くわけだが。洪水の光景に怖気立つファウストに「騙されるのは人間の眼だけですよ。・・・ちゃんと地面の上にいるくせに、あっぷあっぷやって、水の中を泳ぐような恰好をして慌てふためいているとは愉快だね。」と語るメフィストーフェレスのセリフ、結局人間の真実ってこんなものなのかもなぁ、と昨今の原油価格や株の上げ下げに右往左往する世界とか、くだらない小さなことが溜め込んだだけで今の状態に陥っている自分を省みても思った(´-`)
更にメフィストーフェレスはがちゃがちゃいう武具の音を「妖しい、まやかしの音」と表したファウストに戦争の真理とも言えるものを教える。「その通りです、もう止めても止まりません。・・・籠手も脛当も、皇帝派と反皇帝派に分れて、永遠の闘諍を新たにします。頑固に先祖伝来の考えを変えず、和解の気配などは見られませんね。・・・悪魔の例に洩れず、最後にものをいうのは、党派の憎しみで、とどのつまりはなんとも怖ろしい結果に終るのです。」もう何もかもいつの時代、どの場所でも一緒や、人類って進歩できないのかorzと虚しくなってしまう言葉。
メフィストーフェレスの配下たちが戦利品を分捕ろうとしているところに、皇帝の親衛兵が現れて「それはわれわれの流儀に反する。兵士と泥棒が兼ねられるか。陛下の臣たらんとする者は、廉直な武人でなければならぬ。」と告げるが「廉直とはつまり徴発のことでしょう。お前さん方も同じ穴のむじなさ。」って取り込み屋に返されて何も言えなくなるってのが(ノ∀`) ホントこれって真実だよなー。いつの時代も“上”からの取り立てに民衆がどれだけ苦しめられてきたか!味方の支配者だろうが敵の略奪者だろうが、庶民にとったら何も変わりないよなぁ。
でもっていざ勝利を手にした皇帝は「幻術の助けを受けたことも事実ではあったが、つまりはわれらが独力で戦勝を獲たのだ。」とかのたまいやがる(笑)大僧正が大宰相を兼ねちゃってる時点で、教会の奴らに痛い目遭わされといて何やってんすか、と思うんだけどその大僧正様による皇帝への忠告でヨーロッパ・キリス○教社会における法王のおっそろしいまでの権力が分かるな!「妖術師の助けを借りて勝利したことがバレたら破門されて国が滅びるから土地と税金寄進しまくって新たな礼拝堂作れ」って?アホかー、生臭っ!(゜Д゜;)としか感じられないけど、その提言を「さすれば神を称え、余が罪障も消滅するであろう。余はすでに精神の高揚を感じ始めた。」ってナチュラルに受け入れる皇帝、なんちゅう世界や(((@_@;)))gkbr 私がこの時代にこの場所に生れちゃってたら一発で魔女認定食らってとっとと(以下略)のになぁ。ファウストが望みを叶えたことを大僧正の発言から確認できたわけだけど、そこからも更に教会に諸々差っ引こうとする大僧正に、さすがに皇帝の独り言「あの分では、当座の引出物に国全体を譲ってやっても満足すまい。」あー、やっぱ本音ではそう思ってらっしゃいましたか、と安心しちゃいました(^^;
ヘ○リー8世の件といい(イヤあれは彼自身も大概だったけどさ)、当時のヨーロッパにおけるキリ○ト原理主義というか教会の力と金の持ちっぷりって改めておっそろしいなぁ。カ○ッサの屈辱とか・・・皇帝だって逆らえないとか、錦の御旗かよ。(でも日/本はそこに更に複数の仏教勢力と実質的政務を執り行う将軍、時に振り回され時に利用し合い、という複雑な均衡・共依存関係が成り立ち得たというのが世界でもかなり特異かな? Tenno・公家側は生き残るために形骸化した権威としての立場を受け入れたのだろうし、武家もまた彼らに「お墨付き」をもらった存在であることを統治の正当化に利用した。そしてまた双方と依存あるいは癒着し、巧みに寄進や意のままに動く信徒を得るためのツールとして上手く隙間を埋めてきた寺院勢力という絶妙な絡み合いっぷりは、何だかんだ官僚制度がずーっと長いこと絶対的なシステムとして機能してきた近隣諸国と比較した時に全然違って興味深いです。すぐお隣の国なのに。笑)はー面白かった。明日こそ最後の感想をまとめたいと思います!
メフィストーフェレスの地獄の底の話が興味深い。「逐い落とされた時にはどうにもそこらがあんまり明るいので、随分と窮屈で不便な思いをしたものだが、悪魔一同の吐き出した咳によって体内の毒気があたりに充満し、最後にはガスとなり地殻が大破裂してしまった。」うーん、コレどこの中.国?結果として「われわれの居場所も逆になり、今までの底が、今度は天辺になってしまった。最低のものは最高のものなりという理論の根拠も、悪魔たちはここに求めたというわけです。」なるほどー( ´艸`)プークスクス 彼の語る言葉に、ファウストは「気高く無言のうちに聳え立つ山塊は、どういうふうにして出来たのか、なぜ出来たのか問おうとは思わない。自然が自分の中に自分の基礎を置いた時、自然が地球を無理をせずに丸め上げた。・・・自然というものは、自分自身の姿をたのしむために、気違いじみた力ずくの荒業は必要としないのだ。」と反論する。
メフィストーフェレスの「あなたはこれほどはっきりしたことはないと思っているのでしょうが、私は現場にいたのだから、そういう工合に事は運ばれなかったということをよく知っています。・・・岩と岩とを打合せてできた山のかけら、陸地にあるよその世界から飛んできたすごく重たい物が腰を据えているのに、これほどのものを投げ飛ばす力の説明ができる者はいますか。哲学者なんか、手も足も出ませんや。とにかく岩がそこにある。これは事実だ。こいつをどう説明するか、われわれは考え抜いてきたわけだが、結論はというと――素朴な一般大衆だけが事実を事実として素直に認め、ひねくれた解釈などはしないのです。」という更なる反駁に、大いなる矛盾を感じざるを得ない。悪魔の自然観こそが神をも含む超自然的な力の世界への干渉を肯定しているとか。ファウストは「自然」という言葉をめっちゃ使うし愛してるみたいだけど、ソレは「創造主」を認めた上でのことなのかイマイチよく分かんないし(´・ω・`) 「自然がどんなであろうと、知ったことじゃない。正直のところ問題は、悪魔がその場に居合せたという一事にある。」メフィストーフェレスのムキになっているようなセリフ含め、このやりとりに19世紀という科学の黎明期、全ての自然の成り立ちが解明される予感への人類の最後の惑いのようなものが表されているのかな?
「満足というものを知らないあなたは、欲しいものもなかったのだろう」とメフィストーフェレスに話を振られて、ファウストは新たな欲について語り出す。「己は支配し所有したいのだ。行為がすべてだ、名声などなんの値打ちがある。」あーらら、いっちばん厄介な欲来ちゃった(´Д`;) メフィストーフェレスの「けれども詩人という手合いが出てきて、後世にあなたの誉れを言い伝え、愚行によって愚行を奨励することになりますぜ。」って返事が最高(^∀^)σヒャーッハッハ!OPとも繋がるし、確かにそんなん謡われたくないよねー、ってエピ盛られて語り伝えられちゃってる神様だの英雄山ほどいますもんね。そんな悪魔に「人間が何を志しているか、君は知らぬのだ。刻薄で辛辣な厭らしい君は(イヤイヤあんたも負けてませんって(^^)b)、人間が求めているところのものについては何も知らぬのだ。」とファウストは返す。でもね、この後に続く彼の野望、海と波に対する憎しみに思わず胸がかき乱されちゃった(-_-;)「広い平坦な岸辺に襲いかかる波が己の癪にさわったのだ。傲る心が情熱的に騒ぐ血によって、すべての権利を尊重する自由な精神を不快な気持にさせるようなものだ。」「波はあとからあとから押し寄せてきて、威力を揮って支配するが、引去ったあとを見ると、不安のあまり己を絶望させることは何一つとしてないのだ。」五年後のあの日が近づいている東北民として、これほど胸に突き刺さるセリフがあるかっての。津波が来ない大陸の人間は何ておめでたいんだろう。彼にとって波は非生産的に押し寄せる諸々の不条理の繰り返しの比喩でしかない。だからそれを「不羈なる自然の、目的をもたぬ力にすぎぬ。」と言い、「己はここで戦ってみたい。波をねじ伏せてやりたい。」なんて“精神的な意味で”のたまうことができる。現実にそれを必死にやろうとしてきた土地に生きる人間の存在を、この時代のヨーロッパに生きる人々にはきっと想像もつかないんでしょうね。
ファウストの望みを叶えるために、皇帝の戦争に協力し土地を得ろとそそのかすメフィストーフェレス。「また戦争か。賢者の好んで聴こうとしない響きだ。」おう、全くだとも(´-`)=3 若く享楽に走る皇帝に反発する勢力が出てくるのは当然。ファウストも「大変な間違いだ。・・・享楽は人を卑俗にする。」と納得する。皇帝が遊んでる間の国内の無政府状態っぷり、どっかの何かを彷彿とさせまくりますなぁ。どの時代、どの場所にもこういう悲惨は存在してきた、いや今も存在する。うちらが安全地帯から見て見ぬふりをしているだけで。しかし「新帝を立てて国に新たに魂を吹き込んでもらおう、市民生活の安全を保証してもらって、生れ変った新世界で、平和と正義とを一つにしてもらおう」という発想は、まだドイ○が民主制から程遠い状態だったことへの皮肉だろうか? いや絶大な権力を握っていた教会への皮肉か、やっぱり(笑)「事実そういったのは坊主どもなのです。奴らはよく肥えた太い腹の安全を計ったのです。奴らこそ誰よりも立ち働いたのです。叛乱は拡がり、神聖なものとされた。」あー、アジア人的には義/和団とか比.叡山なんかも思い起こさせますねぇ。
皇帝が陣を張る前山の上。やっぱり親戚縁者から寝返り出てましたか^^ヨーロッパの王室まじカオス過ぎて戦争だの革命だのの動き見ると爆笑するよな。日/本の武将だの将軍の跡目争いがみみっちく思えるくらい、みんなコッキタネー!口さきだけで、腰を上げようとしない諸侯も定番ですな。現代もオバ○とかっていう似たような感じのがいるよ☆(やらないなら黙ってれば良いのに、喋ることによって余計な結果を招き、結局出遅れて自体を泥沼化させるという天才でしたな。一般的な“頭が良い人”の判断というか行動として理解はできるけど)皇帝の「保身が利己主義の鉄則だ。感恩も思慕も、義務も対面もないのだ。悪徳の勘定書が一杯になると、隣家の舵で自分も焼き殺されるということを考えないのだ。」という真理を突きまくったセリフはぜひウチの平和ボケ連中にもお聞かせ願いたいお言葉。「新しい皇帝が出てくると指図されたとおりにぞろぞろと動いて行く大衆、贋の旗について行く羊のような根性なし」このくだりは阿Qの革命軍と村人たちをメッチャ想起させますね><←まだ引きずりまくってる(笑)
そんな諸侯や民衆の不甲斐なさをグチる間諜たちに向かって、「叛逆皇帝が出てきたということは、余の利益になる。今にして初めて余は、余こそ皇帝だということを感ずる。・・・どれほど豪華な遊宴の中にも、危険というものだけはいつも欠けていた。・・・その方どもが世に戦争を思いとどまらせなかったならば、今頃は余も武勲に輝いていたことであろう。 いつであったか(メフィストーフェレスの幻術により)一面の火に囲まれた折も、余は余の胸中に独立不羈の精神の気配を感じた。・・・勝利と栄光の他愛もない夢を見てきた余だが、余は今こそ余が不埒にも怠ってきたものを取り戻すのだ。」と皇帝は告げる。初めは彼のセリフに、じゃあ一人で勝手に戦ってろっての、無責任な為政者め^^#とムカつきましたが、最後に彼は戦う意味、危険にさらされて初めて己の地位と責任の実感を得られたのかな、と。そこへ現れたファウストに、「調子の良い時に群がってくる連中は沢山いるが、こちらが劣勢の時に駆けつけてくれる人物ほど歓迎されるものはない」と皇帝大喜び(笑)「数千の人間が余に味方し、あるいは敵となって、相争おうというこの刹那を大切に考えてもらいたい。独力でやりとげてこそ男ではないか。(このフレーズも繰り返し出てくるからゲーテ哲学の主要素なんでしょうね)玉座と王冠を欲する者は、その身にそれだけの値打ちがなければならぬ。」うーん、彼自身も世襲の皇帝のはずなんでしょうが、大陸の“天命”にも通じる思想だなぁ(・・;) そんな彼を「大願成就のために御自身の首をお賭けになるのはよろしくございませぬ。陛下というおつむりなくしては、我ら手足に何ができましょう。」と持ち上げてみせるファウスト、自分の本心との矛盾に気づきながらの二枚舌、全くクソ野郎だな!
自分が悪魔にやらせてることを皇帝が救った妖術師の仕業にしやがったファウスト(ノ∀`) でも皇帝が教会から遺恨を買ったキッカケもこれで納得だわ。「物事に拘泥せぬ心から出た善行は、大きく実るもの」という情けは人のためならず精神には実は密かに頷いてしまうけど。「私、良いことしてるんですー!」アピよりよっぽど押し付けがましくなくて救われるというか@ヒネクレ者だからさ(^-^;) メフィストーフェレスの配下の烏を見て不吉だと怯える皇帝に「鳩は平和の使者でございますが、烏は軍事の使者」と説明するファウスト、え、鳩の対称は何となく鷹だと思ってたわ・・・。
いくら実際の正体が忠誠を持たぬ悪魔とそれに魅入られた男でも、彼らに散々頼っておきながら「気味が悪くて叶わぬから、悪化した戦況の後始末は奴らにやらせよう。だが指揮杖は渡さない。」って将軍と皇帝酷くないか?まぁ結局悪魔のメフィストーフェレスの幻術によって上手くカタは付くわけだが。洪水の光景に怖気立つファウストに「騙されるのは人間の眼だけですよ。・・・ちゃんと地面の上にいるくせに、あっぷあっぷやって、水の中を泳ぐような恰好をして慌てふためいているとは愉快だね。」と語るメフィストーフェレスのセリフ、結局人間の真実ってこんなものなのかもなぁ、と昨今の原油価格や株の上げ下げに右往左往する世界とか、くだらない小さなことが溜め込んだだけで今の状態に陥っている自分を省みても思った(´-`)
更にメフィストーフェレスはがちゃがちゃいう武具の音を「妖しい、まやかしの音」と表したファウストに戦争の真理とも言えるものを教える。「その通りです、もう止めても止まりません。・・・籠手も脛当も、皇帝派と反皇帝派に分れて、永遠の闘諍を新たにします。頑固に先祖伝来の考えを変えず、和解の気配などは見られませんね。・・・悪魔の例に洩れず、最後にものをいうのは、党派の憎しみで、とどのつまりはなんとも怖ろしい結果に終るのです。」もう何もかもいつの時代、どの場所でも一緒や、人類って進歩できないのかorzと虚しくなってしまう言葉。
メフィストーフェレスの配下たちが戦利品を分捕ろうとしているところに、皇帝の親衛兵が現れて「それはわれわれの流儀に反する。兵士と泥棒が兼ねられるか。陛下の臣たらんとする者は、廉直な武人でなければならぬ。」と告げるが「廉直とはつまり徴発のことでしょう。お前さん方も同じ穴のむじなさ。」って取り込み屋に返されて何も言えなくなるってのが(ノ∀`) ホントこれって真実だよなー。いつの時代も“上”からの取り立てに民衆がどれだけ苦しめられてきたか!味方の支配者だろうが敵の略奪者だろうが、庶民にとったら何も変わりないよなぁ。
でもっていざ勝利を手にした皇帝は「幻術の助けを受けたことも事実ではあったが、つまりはわれらが独力で戦勝を獲たのだ。」とかのたまいやがる(笑)大僧正が大宰相を兼ねちゃってる時点で、教会の奴らに痛い目遭わされといて何やってんすか、と思うんだけどその大僧正様による皇帝への忠告でヨーロッパ・キリス○教社会における法王のおっそろしいまでの権力が分かるな!「妖術師の助けを借りて勝利したことがバレたら破門されて国が滅びるから土地と税金寄進しまくって新たな礼拝堂作れ」って?アホかー、生臭っ!(゜Д゜;)としか感じられないけど、その提言を「さすれば神を称え、余が罪障も消滅するであろう。余はすでに精神の高揚を感じ始めた。」ってナチュラルに受け入れる皇帝、なんちゅう世界や(((@_@;)))gkbr 私がこの時代にこの場所に生れちゃってたら一発で魔女認定食らってとっとと(以下略)のになぁ。ファウストが望みを叶えたことを大僧正の発言から確認できたわけだけど、そこからも更に教会に諸々差っ引こうとする大僧正に、さすがに皇帝の独り言「あの分では、当座の引出物に国全体を譲ってやっても満足すまい。」あー、やっぱ本音ではそう思ってらっしゃいましたか、と安心しちゃいました(^^;
ヘ○リー8世の件といい(イヤあれは彼自身も大概だったけどさ)、当時のヨーロッパにおけるキリ○ト原理主義というか教会の力と金の持ちっぷりって改めておっそろしいなぁ。カ○ッサの屈辱とか・・・皇帝だって逆らえないとか、錦の御旗かよ。(でも日/本はそこに更に複数の仏教勢力と実質的政務を執り行う将軍、時に振り回され時に利用し合い、という複雑な均衡・共依存関係が成り立ち得たというのが世界でもかなり特異かな? Tenno・公家側は生き残るために形骸化した権威としての立場を受け入れたのだろうし、武家もまた彼らに「お墨付き」をもらった存在であることを統治の正当化に利用した。そしてまた双方と依存あるいは癒着し、巧みに寄進や意のままに動く信徒を得るためのツールとして上手く隙間を埋めてきた寺院勢力という絶妙な絡み合いっぷりは、何だかんだ官僚制度がずーっと長いこと絶対的なシステムとして機能してきた近隣諸国と比較した時に全然違って興味深いです。すぐお隣の国なのに。笑)はー面白かった。明日こそ最後の感想をまとめたいと思います!
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メフィストーフェレスの地獄の底の話が興味深い。「逐い落とされた時にはどうにもそこらがあんまり明るいので、随分と窮屈で不便な思いをしたものだが、悪魔一同の吐き出した咳によって体内の毒気があたりに充満し、最後にはガスとなり地殻が大破裂してしまった。」うーん、コレどこの中.国?結果として「われわれの居場所も逆になり、今までの底が、今度は天辺になってしまった。最低のものは最高のものなりという理論の根拠も、悪魔たちはここに求めたというわけです。」なるほどー( ´艸`)プークスクス 彼の語る言葉に、ファウストは「気高く無言のうちに聳え立つ山塊は、どういうふうにして出来たのか、なぜ出来たのか問おうとは思わない。自然が自分の中に自分の基礎を置いた時、自然が地球を無理をせずに丸め上げた。・・・自然というものは、自分自身の姿をたのしむために、気違いじみた力ずくの荒業は必要としないのだ。」と反論する。
メフィストーフェレスの「あなたはこれほどはっきりしたことはないと思っているのでしょうが、私は現場にいたのだから、そういう工合に事は運ばれなかったということをよく知っています。・・・岩と岩とを打合せてできた山のかけら、陸地にあるよその世界から飛んできたすごく重たい物が腰を据えているのに、これほどのものを投げ飛ばす力の説明ができる者はいますか。哲学者なんか、手も足も出ませんや。とにかく岩がそこにある。これは事実だ。こいつをどう説明するか、われわれは考え抜いてきたわけだが、結論はというと――素朴な一般大衆だけが事実を事実として素直に認め、ひねくれた解釈などはしないのです。」という更なる反駁に、大いなる矛盾を感じざるを得ない。悪魔の自然観こそが神をも含む超自然的な力の世界への干渉を肯定しているとか。ファウストは「自然」という言葉をめっちゃ使うし愛してるみたいだけど、ソレは「創造主」を認めた上でのことなのかイマイチよく分かんないし(´・ω・`) 「自然がどんなであろうと、知ったことじゃない。正直のところ問題は、悪魔がその場に居合せたという一事にある。」メフィストーフェレスのムキになっているようなセリフ含め、このやりとりに19世紀という科学の黎明期、全ての自然の成り立ちが解明される予感への人類の最後の惑いのようなものが表されているのかな?
「満足というものを知らないあなたは、欲しいものもなかったのだろう」とメフィストーフェレスに話を振られて、ファウストは新たな欲について語り出す。「己は支配し所有したいのだ。行為がすべてだ、名声などなんの値打ちがある。」あーらら、いっちばん厄介な欲来ちゃった(´Д`;) メフィストーフェレスの「けれども詩人という手合いが出てきて、後世にあなたの誉れを言い伝え、愚行によって愚行を奨励することになりますぜ。」って返事が最高(^∀^)σヒャーッハッハ!OPとも繋がるし、確かにそんなん謡われたくないよねー、ってエピ盛られて語り伝えられちゃってる神様だの英雄山ほどいますもんね。そんな悪魔に「人間が何を志しているか、君は知らぬのだ。刻薄で辛辣な厭らしい君は(イヤイヤあんたも負けてませんって(^^)b)、人間が求めているところのものについては何も知らぬのだ。」とファウストは返す。でもね、この後に続く彼の野望、海と波に対する憎しみに思わず胸がかき乱されちゃった(-_-;)「広い平坦な岸辺に襲いかかる波が己の癪にさわったのだ。傲る心が情熱的に騒ぐ血によって、すべての権利を尊重する自由な精神を不快な気持にさせるようなものだ。」「波はあとからあとから押し寄せてきて、威力を揮って支配するが、引去ったあとを見ると、不安のあまり己を絶望させることは何一つとしてないのだ。」五年後のあの日が近づいている東北民として、これほど胸に突き刺さるセリフがあるかっての。津波が来ない大陸の人間は何ておめでたいんだろう。彼にとって波は非生産的に押し寄せる諸々の不条理の繰り返しの比喩でしかない。だからそれを「不羈なる自然の、目的をもたぬ力にすぎぬ。」と言い、「己はここで戦ってみたい。波をねじ伏せてやりたい。」なんて“精神的な意味で”のたまうことができる。現実にそれを必死にやろうとしてきた土地に生きる人間の存在を、この時代のヨーロッパに生きる人々にはきっと想像もつかないんでしょうね。
ファウストの望みを叶えるために、皇帝の戦争に協力し土地を得ろとそそのかすメフィストーフェレス。「また戦争か。賢者の好んで聴こうとしない響きだ。」おう、全くだとも(´-`)=3 若く享楽に走る皇帝に反発する勢力が出てくるのは当然。ファウストも「大変な間違いだ。・・・享楽は人を卑俗にする。」と納得する。皇帝が遊んでる間の国内の無政府状態っぷり、どっかの何かを彷彿とさせまくりますなぁ。どの時代、どの場所にもこういう悲惨は存在してきた、いや今も存在する。うちらが安全地帯から見て見ぬふりをしているだけで。しかし「新帝を立てて国に新たに魂を吹き込んでもらおう、市民生活の安全を保証してもらって、生れ変った新世界で、平和と正義とを一つにしてもらおう」という発想は、まだドイ○が民主制から程遠い状態だったことへの皮肉だろうか? いや絶大な権力を握っていた教会への皮肉か、やっぱり(笑)「事実そういったのは坊主どもなのです。奴らはよく肥えた太い腹の安全を計ったのです。奴らこそ誰よりも立ち働いたのです。叛乱は拡がり、神聖なものとされた。」あー、アジア人的には義/和団とか比.叡山なんかも思い起こさせますねぇ。
皇帝が陣を張る前山の上。やっぱり親戚縁者から寝返り出てましたか^^ヨーロッパの王室まじカオス過ぎて戦争だの革命だのの動き見ると爆笑するよな。日/本の武将だの将軍の跡目争いがみみっちく思えるくらい、みんなコッキタネー!口さきだけで、腰を上げようとしない諸侯も定番ですな。現代もオバ○とかっていう似たような感じのがいるよ☆(やらないなら黙ってれば良いのに、喋ることによって余計な結果を招き、結局出遅れて自体を泥沼化させるという天才でしたな。一般的な“頭が良い人”の判断というか行動として理解はできるけど)皇帝の「保身が利己主義の鉄則だ。感恩も思慕も、義務も対面もないのだ。悪徳の勘定書が一杯になると、隣家の舵で自分も焼き殺されるということを考えないのだ。」という真理を突きまくったセリフはぜひウチの平和ボケ連中にもお聞かせ願いたいお言葉。「新しい皇帝が出てくると指図されたとおりにぞろぞろと動いて行く大衆、贋の旗について行く羊のような根性なし」このくだりは阿Qの革命軍と村人たちをメッチャ想起させますね><←まだ引きずりまくってる(笑)
そんな諸侯や民衆の不甲斐なさをグチる間諜たちに向かって、「叛逆皇帝が出てきたということは、余の利益になる。今にして初めて余は、余こそ皇帝だということを感ずる。・・・どれほど豪華な遊宴の中にも、危険というものだけはいつも欠けていた。・・・その方どもが世に戦争を思いとどまらせなかったならば、今頃は余も武勲に輝いていたことであろう。 いつであったか(メフィストーフェレスの幻術により)一面の火に囲まれた折も、余は余の胸中に独立不羈の精神の気配を感じた。・・・勝利と栄光の他愛もない夢を見てきた余だが、余は今こそ余が不埒にも怠ってきたものを取り戻すのだ。」と皇帝は告げる。初めは彼のセリフに、じゃあ一人で勝手に戦ってろっての、無責任な為政者め^^#とムカつきましたが、最後に彼は戦う意味、危険にさらされて初めて己の地位と責任の実感を得られたのかな、と。そこへ現れたファウストに、「調子の良い時に群がってくる連中は沢山いるが、こちらが劣勢の時に駆けつけてくれる人物ほど歓迎されるものはない」と皇帝大喜び(笑)「数千の人間が余に味方し、あるいは敵となって、相争おうというこの刹那を大切に考えてもらいたい。独力でやりとげてこそ男ではないか。(このフレーズも繰り返し出てくるからゲーテ哲学の主要素なんでしょうね)玉座と王冠を欲する者は、その身にそれだけの値打ちがなければならぬ。」うーん、彼自身も世襲の皇帝のはずなんでしょうが、大陸の“天命”にも通じる思想だなぁ(・・;) そんな彼を「大願成就のために御自身の首をお賭けになるのはよろしくございませぬ。陛下というおつむりなくしては、我ら手足に何ができましょう。」と持ち上げてみせるファウスト、自分の本心との矛盾に気づきながらの二枚舌、全くクソ野郎だな!
自分が悪魔にやらせてることを皇帝が救った妖術師の仕業にしやがったファウスト(ノ∀`) でも皇帝が教会から遺恨を買ったキッカケもこれで納得だわ。「物事に拘泥せぬ心から出た善行は、大きく実るもの」という情けは人のためならず精神には実は密かに頷いてしまうけど。「私、良いことしてるんですー!」アピよりよっぽど押し付けがましくなくて救われるというか@ヒネクレ者だからさ(^-^;) メフィストーフェレスの配下の烏を見て不吉だと怯える皇帝に「鳩は平和の使者でございますが、烏は軍事の使者」と説明するファウスト、え、鳩の対称は何となく鷹だと思ってたわ・・・。
いくら実際の正体が忠誠を持たぬ悪魔とそれに魅入られた男でも、彼らに散々頼っておきながら「気味が悪くて叶わぬから、悪化した戦況の後始末は奴らにやらせよう。だが指揮杖は渡さない。」って将軍と皇帝酷くないか?まぁ結局悪魔のメフィストーフェレスの幻術によって上手くカタは付くわけだが。洪水の光景に怖気立つファウストに「騙されるのは人間の眼だけですよ。・・・ちゃんと地面の上にいるくせに、あっぷあっぷやって、水の中を泳ぐような恰好をして慌てふためいているとは愉快だね。」と語るメフィストーフェレスのセリフ、結局人間の真実ってこんなものなのかもなぁ、と昨今の原油価格や株の上げ下げに右往左往する世界とか、くだらない小さなことが溜め込んだだけで今の状態に陥っている自分を省みても思った(´-`)
更にメフィストーフェレスはがちゃがちゃいう武具の音を「妖しい、まやかしの音」と表したファウストに戦争の真理とも言えるものを教える。「その通りです、もう止めても止まりません。・・・籠手も脛当も、皇帝派と反皇帝派に分れて、永遠の闘諍を新たにします。頑固に先祖伝来の考えを変えず、和解の気配などは見られませんね。・・・悪魔の例に洩れず、最後にものをいうのは、党派の憎しみで、とどのつまりはなんとも怖ろしい結果に終るのです。」もう何もかもいつの時代、どの場所でも一緒や、人類って進歩できないのかorzと虚しくなってしまう言葉。
メフィストーフェレスの配下たちが戦利品を分捕ろうとしているところに、皇帝の親衛兵が現れて「それはわれわれの流儀に反する。兵士と泥棒が兼ねられるか。陛下の臣たらんとする者は、廉直な武人でなければならぬ。」と告げるが「廉直とはつまり徴発のことでしょう。お前さん方も同じ穴のむじなさ。」って取り込み屋に返されて何も言えなくなるってのが(ノ∀`) ホントこれって真実だよなー。いつの時代も“上”からの取り立てに民衆がどれだけ苦しめられてきたか!味方の支配者だろうが敵の略奪者だろうが、庶民にとったら何も変わりないよなぁ。
でもっていざ勝利を手にした皇帝は「幻術の助けを受けたことも事実ではあったが、つまりはわれらが独力で戦勝を獲たのだ。」とかのたまいやがる(笑)大僧正が大宰相を兼ねちゃってる時点で、教会の奴らに痛い目遭わされといて何やってんすか、と思うんだけどその大僧正様による皇帝への忠告でヨーロッパ・キリス○教社会における法王のおっそろしいまでの権力が分かるな!「妖術師の助けを借りて勝利したことがバレたら破門されて国が滅びるから土地と税金寄進しまくって新たな礼拝堂作れ」って?アホかー、生臭っ!(゜Д゜;)としか感じられないけど、その提言を「さすれば神を称え、余が罪障も消滅するであろう。余はすでに精神の高揚を感じ始めた。」ってナチュラルに受け入れる皇帝、なんちゅう世界や(((@_@;)))gkbr 私がこの時代にこの場所に生れちゃってたら一発で魔女認定食らってとっとと(以下略)のになぁ。ファウストが望みを叶えたことを大僧正の発言から確認できたわけだけど、そこからも更に教会に諸々差っ引こうとする大僧正に、さすがに皇帝の独り言「あの分では、当座の引出物に国全体を譲ってやっても満足すまい。」あー、やっぱ本音ではそう思ってらっしゃいましたか、と安心しちゃいました(^^;
ヘ○リー8世の件といい(イヤあれは彼自身も大概だったけどさ)、当時のヨーロッパにおけるキリ○ト原理主義というか教会の力と金の持ちっぷりって改めておっそろしいなぁ。カ○ッサの屈辱とか・・・皇帝だって逆らえないとか、錦の御旗かよ。(でも日/本はそこに更に複数の仏教勢力と実質的政務を執り行う将軍、時に振り回され時に利用し合い、という複雑な均衡・共依存関係が成り立ち得たというのが世界でもかなり特異かな? Tenno・公家側は生き残るために形骸化した権威としての立場を受け入れたのだろうし、武家もまた彼らに「お墨付き」をもらった存在であることを統治の正当化に利用した。そしてまた双方と依存あるいは癒着し、巧みに寄進や意のままに動く信徒を得るためのツールとして上手く隙間を埋めてきた寺院勢力という絶妙な絡み合いっぷりは、何だかんだ官僚制度がずーっと長いこと絶対的なシステムとして機能してきた近隣諸国と比較した時に全然違って興味深いです。すぐお隣の国なのに。笑)はー面白かった。明日こそ最後の感想をまとめたいと思います!
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