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第三幕読了。(※引き続き時事とか歴史諸々への言及含みますm(__)m)
やっとスパルタに帰ってきたヘレネーさん、「世間の人は好んでわたしの噂をするが、誰にしても自分のことが大げさに語り伝えられて出来上がった荒唐無稽な話を聴けば、いい気持がしないのも当然」うーん、美人とか有名人って大変やな、ってくだんないことでいつまでもしつっこく騒ぎ立てるワイドショー見てても思うわ@現代(´-`) 「二通りの意味を持つ名声と運命、美貌の伴をする剣呑な二つのもの」が彼女には常に陰鬱に脅すようにつきまとっている。そしてそれ故に夫ともしっくり行かなくなってしまった、と・・・。でも正直数々の“伝説”と後半のストーリー含むよろめきっぷりを見るに、いくら美人とはいえ実父譲りの浮気性が過ぎるせいで数々の破滅を自ら引き起こして来たのでは?と言いたくなっちゃいますけどね(-_-;) そりゃ正式な旦那が怒るのも当然だわ、言わば入り婿だったわけだし、彼女のためにより領土を広げて強い国の王たろうと戦いに明け暮れてきたかもしれなかったのに、妻は女神の悪戯とはいえ若いのによろめくわ、そっちが死んだらすぐ弟に絆されるわ、挙句エジプ○でも火遊びとかそりゃもう一方的な被害者として慰められないのは当然だし、神々の時代とはいえ十年の歳月は大きいだろうし。(と、改めて真面目に考えてみる^^)引き換え侍女たちは能天気で随分調子良いな!(@o@;)
王に生贄の具体的な指図をされなかったことを不安に感じながら「取り越し苦労はせぬことにして、すべてを気高い神々にお任せしてしまおう。神々は、人間の思惑などにはとんと無頓着に、御心の欲するところに従って万事をお計らい遊ばす。わたしたち死すべき人間は、神々の御意に従うばかりなのです。」私の一番大っ嫌いな信仰者の思想ktkr(゜∀゜) 南欧が色々とダメなのはこういう理由ですね、そりゃゲーテさん的考え方のド○ツ人やある程度本人の意思や責任を大事にするプロテス○ント系とも相容れないわけだわ。
で、スパルタの宮殿に帰って来た彼女たちを出迎えたのは何とメフィストーフェレスが二幕で化けた(一体化した)ポルキュアスでしたΣ(゜Д゜;) ヘレネーさんたち、罠やで、逃げてー!醜いその姿に怒り狂ったヘレネー「お前みたいな化け物が美の横にしゃしゃり出て、陽の神アポㇽロンの万事を知り抜いた眼を怖れないとは。・・・あの神の尊い眼には、醜悪なものは見えないのだから。蔭を見たことのないあの神の眼には。 けれども悲しい運命の定めで、死すべき私たち人間は、美を愛していればこそかえって、醜悪で永遠に呪われたものを見ると、目に言いようのない痛みを覚えずにはいられません。 あつかましくも私たちの前に出てこようというのなら、神々によって創られた幸福な者の罵る口から出るあらゆる非難の威しと呪いの言葉をよく聴くがいい。」確かに醜い怪物相手とはいえ、何という差別意識(((>_<;))) これぞまさに本物のヘ○トスピーチの原形ですな!それに対して「廉恥と美が手に手を執ってともに歩んで行くことはないという諺の意は永遠に深く真実です。この二つのものの間には、深く根差した古い憎しみが巣喰っているので、どこでも敵同士として互いに背を向け合うのです。・・・老いが両者を早めに縛り上げなければ、両者はそのまま冥府のうつろな闇の中へ突っ込んで行ってしまう。・・・鶴は鶴の道を行き、旅人は旅人の道を行く。私たちの間柄も、まあそんなもの」と応じるポルキュアスの言葉、深いでぇ(´Д`;) 特に女性にとっての美醜は本当に厄介な問題だと思う。
ほんでもってポルキュアスは好き勝手合唱するヘレネーの侍女たちを、「他人が丹精したものを喰い荒し、芽生えた富を撮み喰いして滅ぼす蝗虫の大群のようなもの。征服され、市場に売りに出され、物々交換される商品のような女ども」とこきおろす。ヘレネーはさすがにカチンと来たのか、「褒めるのも罰するのも女主人だけがして良いこと、主人は召使が誰かを問題にせず、奉公ぶりだけを問題にする」と言い返す。ヘレネーさん中々強い!(^^)b 完全に対立した侍女たちとポルキュアス「醜いものは美しいもののそばに置いてみると、また一段と醜く見える。」VS「利口な人のそばだと、馬鹿は一段と馬鹿に見える。」この辺爆笑しそうになるわ(ノ∀`) 女主人ヘレネーさんは困り果てて「腹は立たないが悲しくなるから口汚い言い争いはおよし。忠実な召使たちの眼に見えず化膿するような仲たがいほど主人にとって不利益なことはない。何かを命じてもそれが即座に実行されるという気持のいい反響が戻ってこないから。」んー、日/韓を見るアメ○カ様の視点ですね分かります^^ でもそっちは種まいたの自分だからね!ウチはもうぶっちゃけ知らないっつーかできる限り関わりたくないよね、そりゃ半島が全赤化しちゃったら困るけどさ。
怒涛の過去を振り返りつつ「あれは現実の過去だったのか、それとも己の妄想だったのか。諸方の都を荒廃させた女の怖ろしい夢の光景は。あれはみなわたしの作り上げたものだったのかしら、今のわたしなのか、それとも未来のわたしなのかしら。」ダメだヘレネーさん、自分の仕出かしたこと分かってねぇ(^ω^#) 可哀想な?(半分は自業自得なわけだから)パリス兄弟と罪もないトロイアの皆さん・・・!神々の気紛れとアフロディ―テの勝手な贈賄約束のせいで(つД`)ウッウッ それなのにヘレネーは「怖ろしい不幸」だの「数限りない辛酸」だの悲劇のヒロイン気取りで「現在只今でさえ、どちらのわたしが本当の自分だったのかわからない」黄泉の国から出てきて運命に逆らい彼女を慕ったアキレウスのことも「幻の身と幻の身が一緒になったまでのこと。言い伝えにも、あれは夢であったとしてあります。わたしはこのまま消え失せて、幻になってしまいそうな気がする。」どんだけ外的要因に責任丸投げしてるんですかー!?そこにアンタの意思は全く介入してなかったと?(・・;)
そんなヘレネーに嫌味を畳みかけるポルキュアスを、侍女たちは「お前は過去の一番厭なことを現在に呼び戻して、現在の輝きとともに、同時に未来の、仄かに光る希望の灯をも暗くしてしまう。・・・お妃さまの魂は、もう半ば逃げ腰になっていらっしゃる。ぜひしっかりとお引止めしたい。」と黙らせようとする。うん、そりゃ確かに美貌のせいでヘレネーが大変な人生を歩んできたことはよくわかるけどさ(´・ω・`) そしてポルキュアス「人はわたしを醜いというけれど、わたしだって美しいものを美しいと見分けることは知っている」とヘレネーに歩み寄る。うわあぁ、逃げてぇ!(再)奴に王はお前らを生贄に捧げる気だ、とそそのかされ怯える侍女たちに向かって「死は所詮まぬがれられないのさ。それは万人が万人承知だが、潔い奴はごく稀だ。」と呟くポルキュアス、悪魔の本性のぞいちゃってますよー(´∀`)σ)Д`*)
で、何とか威厳を保ちつつ助かる方法を聞き出そうとするヘレネーにポルキュアスは「家にじっとして大切な宝を守っている者は生涯仕合せに暮せるけれど、閾の神聖な線を無造作に気軽な足取りで不埒に越えて行く者は、元の場所へ帰ってきてもすべてがらりと変っているもの」と痛烈な言葉を浴びせかける。でもってそこからファウスト上げの巧妙な誘導が始まるわけですな>< ヘレネーの夫・メネラーオス王の残酷さを訴え、「それはわたし故になさったこと」と庇う彼女に「美人は共有しがたく、美人を独占した者は、どんな形にもせよ共有ということを嫌って、いっそその美人を殺してしまうもの」と、きったねーけど信じさせるような嘘つきやがるポルキュアスの網に、ヘレネーは完全に絡め取られてしまった(((゜Д゜;)))gkbr
城の中庭の場面、自分たちの今後について不安に震え嘆く侍女たちに指揮する女が言うセリフ「そそっかしくて愚かで、ほんとに女の見本だわね。目先のことに気を奪われ、禍福の風の吹き回しにもてあそばれて、どちらにも平静な心で立ち向うことができず、寄るとさわるといがみ合って、てんやわんやの大騒ぎ。喜びにつけ悲しみにつけ、同じ調子で泣いたり笑ったりさ。」うーん、確かにそうだけどこれも現代なら女性に対しての偏見を助長するだ何だ物議をかもしちゃいそうなセリフですね☆アメリ○の大学図書館からこの作品が駆逐されないことを祈ってます(-人-)ナモナモ 「もうさすらい歩くのはいやです。ただ休みたい。」これがヘレネーの一番の本音の本音なんじゃないかな、と何かここで初めて彼女に対して同情というか胸打たれた。
で、懲りないファウストようやく登場(´-`)=3 望楼守使ってヘレネーの歓心買おう大作戦☆ですな。もう自分の容姿が引き起こす災厄にウンザリしてるヘレネーはファウストに彼を裁く役割を委ねられて彼を許す。許されたリュンケウスの「私は最初なんであったのでしょう、今は何なのでしょう。何を望んでいるのでしょう、何をすればよろしいのでしょう。眼が利くからとて、それが何の足しになりましょう。・・・進撃につぐ進撃をもって、私どもは諸方の国々を征服致しました。今日私どもが支配した土地も、あすは他の者の掠奪をこうむるという有様でございました。」んー、この辺ゲルマン民族の実際の歴史を思い起こさせるし、現在起こっている問題の諸々についても考えさせられますね(・・;) そんな戦いの中の掠奪においても他人が持っているようなものには目もくれず、ひたすら珍しいものを集めてきた彼が、余りに麗しいヘレネーの姿を前にそれらの貴重品にはなんの価値もないということがわかってしまった。だから「どうかひと目ごらん下さって、失われた価値を元通りに取戻させてやって下さいまし。」と彼女に宝物を捧げるという・・・。「拝するものの豊けさのために、一切が空虚になってしまった。」ホントどんだけ魔性の美貌なのヘレネー(@_@;) まぁでも分かる、往年の名作読んだり観たりした後に恐らく今だけで消えるな、っていう流行り物系眺めると何も感じないし時間ムダにしたな、って気分になったり。本当に美しい自然の光景や絵画の実物を目の当たりにするとクッソ憧れて保存してたPCの画像とか画集投げ捨てたくなったりするよね!(ん、ちょっと感覚ズレてる?)
ファウストの言葉が異様に快く響くと語るヘレネーに「言葉が心から出て胸に憧れの情が充ち溢れますと顧みて問うのです――」と早速愛の問答()を始めやがるファウスト^^# 心は未来をも過去をも見ないで、ただこの日、この時の現在ばかりが幸福、とか、ホント何なのこいつら。グレートヒェンの悲劇は?旦那だのパリス兄弟だのアキレウスは?「現在こそ、宝、利益、財産、抵当物」だと┐( ̄ヘ ̄)┌ 晴れて?結ばれた二人の心地、ヘレネー「ひどく遠方にいるような、また近くにいるような気が致しますけれど、それでも「ここにいます、ここに」といわずにはいられません。」余りにも長い間美貌によってアチコチさ迷わされてきた美女の本音とも言えるのかもしれないなぁ、そう言える場所を得たことは。ファウストの「時間も空間も超越した夢」っつーのはアンタ、その通りだよ^^ まさに悪魔が見せてくれた束の間の夢な!「一生が終わってしまったような、けれどこれから始まるような気が致します。」と言うヘレネーに「「在る」ということは義務です、それが瞬時のほどであろうとも。」と告げるファウストに若干残る学者臭を感じる。
でもってやっぱり怒って妃を取り戻しに来たメネラーオス王に対し「海上をさまよい、掠奪し、窺うのが、あの王の好みで宿命」とほざきやがるファウスト。「陽光に恵まれたいずれの国にも勝るアルカディアは永遠にどの種族にとっても幸多き国となってくれ。」先に言及されていた兵士たちの分類を見るに、その種族の内に有色人種やラテン系は含まれていないんでしょうね、きっと(´-`) もうE Uはさ、北(北欧+アングロ+ゲルマン組)と南(東欧含む文字通りラテン=旧ローマ支配下)に別れれば万事解決してイギ○スも留まってくれるしス○スやノ○ウェーも加盟してくれんじゃね? フラ○ス先輩が一人で死にかけそうだけど(笑)面倒事ド○ツに丸投げしてきたツケの支払いということで・・・イギ○スに次いで旧植民地への影響力は強いわけだし、スペ○ン・ポル○ガル語圏の新興国もメッチャあるやろ。その利点を活かして(以下略)何でだろうなー、あの辺に支配された国がアレな感じばっかなのは@棒(’ ε ’) あっ、強制布教による文化断絶のせいかな?教育機会ゼロにしたせいかな?そのままテキトーにアングロに搾取されんのほっといたせいかなぁ?ほんと、唐辛子もトマトもコーヒーもバナナも黄金も、あんだけのもの輩出できる豊かな土地ゲットして暴れ回っといて何一つ活かせず、その土地の発展にも貢献できなかったとか、ある意味才能ありすぎですわービッ○リポンや!
ゲルマン民族の考えるところの理想郷アルカディアでは「人々は自適していて、誰もがその境界で不死になり、心やすらかでからだも丈夫。・・・その様子は神か人かと尋ねてみずにはいられないほど。・・・自然が浄らかな世界のうちに君臨するところでは、一切は融け合ってしまうから。」そしてヘレネーに「私もあなたもそんな風になったのだから、過去などになんの用がありましょう。・・・永遠の若々しさを湛える幸福な土地で、あなたは最もたのしい運命の中へ足を踏み入れられました。・・・私たちの幸福が楽園らしく自由なものでありますように。」とうそぶきやがるファウストがもう本当に(以下略)
「私がはっきりとこの眼で見たことを夢見ているのかどうか、それもやはり私にはわからない。」と言いながら眠り続けるヘレネーの侍女たちに「信じうる奇蹟の解決」を見届けさせようと起こすポルキュアスの言葉が不穏。「奥の究められない深い所」でファウストとヘレネーに何が起こっていたか、何と伝説通り息子が生まれていましたとさー(ノ∀`) その子の輝きと美しさを称えるポルキュアスに、侍女たちは「現在起っていることなどみな、過去の輝かしい時代の、侘しい余韻にすぎないのです。・・・数々の神々や英雄と同じように、この坊やもすべてに対して永遠に恵み深い霊であることを実に巧妙なやり方で忽ち証明してみせる」と語る様に、初めてさすがヘレネーさんの侍女!と感じられる一節が来ましたね。それでもポルキュアスは「昔のことなんかさっさと忘れておしまい。・・・誰もお前さんたちの話なんか聴きたがりはしないよ。・・・なぜって、人の心を本当に動かすのは、やはり心の奥底から出てきたものだけだからね。」と毒づく。このフレーズ繰り返し登場しますね。ゲーテ哲学の神髄かな? しかし洞窟の奥から響く甘い音楽を聴いて「陽の光なんか要らないわ。魂の中に夜明けが来て、どこを探そうとも得られないものが、自分の心の中に見つかったんですもの。」って侍女たち、絆されんのはっえーな!(´Д`;)
話題の親子三人の会話「人間らしく仕合せになるのには、愛でふたりが結ばれればいいのだけれど、めでたく三人が組まなければ、神々の味わう悦びは得られないのね。」おお、全国の子どものいない夫婦とL G B Tの皆さんの心を抉るヘレネー様。(すみませんソッチ系のネタに敏感になり過ぎな時期でして。笑)それに答えるファウスト「私はお前のもの、お前は私のもの。私たちはこんな風に結ばれ合った。これが最も望ましい状態だ。」子はかすがいってヤツですか・・・ウンだから、グレートヒェンちゃんが自ら殺さざるを得なかったお子さんと元の旦那との間に生まれたお子さんのことは(以下略)二人の息子エウポリオーンは大胆不敵な性質らしく、地面に縛り付けられず空高く昇ってみたいという望みをどうしても棄てられない。その体は親のものではなく自分のものなのだから、好きにして良いだろう、と言う息子に「やっとの思いで手に入れた私たちのもの」とあくまで我が子を自分たちの所有物であるかのように語るヘレネー。あぁ、いずこの時代・世界でも・・・((-_-)ウンウン 結局親のために己を抑えようとするけれど、エウポリオーンの持つ烈しさは留まるところを知らず、女性や戦争にも向けられていく。
狭苦しいところを嫌い、高く遠くを目指す彼は(ファウストのあくなき渇望という資質を強く受け継いでいるのかも)、理想郷の島に留まることを良しとしない。何故この美しい国に大人しくしていないのか、と問う侍女たちに「君たちは平和の世を夢見ているの。夢を見たい人は見ているがいい。戦争、これが合言葉、そして、勝利、と言葉が続くのです。」とエウポリオーン。侍女たちは「平和な世に住んで昔の戦争を懐かしがる人は希望という幸福に別れてしまう。」と返すが、エウポリオーンは「かつて危難の中から国を生み落とした、自由な精神と限りない勇気を持ち、抑えがたい神聖な志操を持って戦う人々に戦勝を得させよう。」と願う。両親であるヘレネーとファウストは「生れたばかりで、清らかな日に身を委ねるか委ねないかのうちに、急な階段を昇って、労苦の多い所へ憧れるのか。私たちのことなど、なんとも思わないの。」と我が子を引き留めようとするが、エウポリオーンは「死は掟であり、当然の宿命なのです。・・・遠方から黙って見ていられるでしょうか。とてもそんなことはできない。私は憂苦艱難を分かちたいのです。・・・おれはあすこへ住かなければならない。」とイカロスと同じ運命を辿る。
この辺、現代日.本人的に非常に胸に迫るやりとりじゃないですか? 歴史や戦争に翻弄されてきた一国民として侍女の言うことも分かるし、エウポリオーンの気持ちも解る。更には一個人として、ファウストとヘレネーの親心にも大半は納得が行くだろう。世界の情勢が変わりつつある中にあって、何が正しいのか、どういう道を選べば自分たちが生き残れるのか、それは道義的に善いと言えることなのか、まさに分かれ道に立たされているのが今の日/本の状況だと思う。だから、「作戦」として70年以上も前の真偽すら定かではない出来事への宣伝攻勢を強める、現時点ではどうやっても敵対するしかない陣営からの影響も相まり、右も左も入り混じって喧々諤々の議論になる。グローバリゼーションが良いだけ進行した中で起こってしまった世界的不況により各国のナショナリズムが高まる中、ホントどんな未来が待っていて私たちがどういう選択をしなければいけないのか、色々と考えさせられる問答ですね。(・・・まぁ実は正直傍観者として興味深々の面が強くて、時々自分がその人間様だったり日.本人の一員だってことウッカリ忘れそうになるんだけどさ(^^; 眺めるのは楽しいけど、皮被って存在させてもらってるだけの虫けらに干渉する権利はないとも思ってるし)
彼の死を悼む侍女たちの「あなたは絶えず好んで意志のない宿命の網の中へ駆け込まれ、力ずくで良俗、法律を振切ってしまわれましたが、しかし最後はこの上ない試案が、純粋な勇気を重んじさせて、すばらしい仕事に成功しようとなさったのに、それがお出来にならなかったのですね。 誰にそれが出来るでしょう――この憂鬱な問いに対しては、運命さえも黙り込んでしまいます。・・・でも歌声を新たに致しましょう。いつまでもうなだれてはいますまい。大地がこれまでにも歌を生み出したように、歌は再び生み出されてくるでしょう。」という合唱に泣きそうになった(´;ω;`) そうだよ、どんな悲しみや混沌や破壊からでも必ず立ち直る、人間って、世界ってすごいんだよ!と。ヘレネーは冥府から自分を呼ぶ息子の声に「幸福と美とは永く一緒にはいないという、古い諺を悲しいことにわが身で確かめました。命の絆、愛の絆は断ち切られてしまいましたね。その両方を嘆きながら、悲しいお別れの時がやって参りました。」とファウストに別れを告げる。かき消えた彼女の姿に呆然とする彼に向かい、ポルキュアスは「おなくしになった女神は、もういらっしゃらない。けれど残ったものには神の息吹きがあります。気高い、無限の価値のある恵みをおろそかにせず、高く昇っていらっしゃい。即座にすべて低俗なものの上高くあなたを支えてくれますから。あなたは力の続く限り、空高くとどまっていられます。またお会い致しましょう。けれども遠くで、ここからよほど遠いところで。」と。侍女たちも無法な心の呪縛から解放され、自然の中の霊という自分たちの本性に還る。
第四部の語る葡萄酒の産地・南方の怪物たちのまとめ「情け容赦もあらばこそなのですね、割れた蹄が良風美俗など踏みしだいてしまうのです。・・・酔っぱらいは杯を手探りに探り求めて、頭も腹も酒ではち切れそうです。心配する者もいなくはないが、そういう者のためにかえって騒ぎが大きくなるばかり。なぜなら新酒を容れようと思えば、古い革袋は早く空にせざるをえませんからね。」皮肉というか暗喩というかやはり大変示唆に富んだお言葉ですね(^^;
追記:ここまで二巻全体を通して見て、民族大移動の末にようやく中央ヨーロッパに安住の地を見出したド○ツ人は古代からずっとその場所で暮らしてきた人々の国であるギリ○ャの神話や歴史に憧れ、またその地の美しさや豊かさを羨み尊んでもいるけれど、同時にギリシ○人の性質や文化・価値観については長く蔑み理解を拒んできたのだ、と感じてしまいました(´・ω・`) もしかしたら単純な経済的問題だけではなく、そうした昔からの因縁というか互いへの妬み嫉み、ひねくれ根性も絡む気質の相違・相容れなさが彼らの不協和音の根底にあったのかな、と。ギ○シャ人からすれば、「俺らの国に押しかけまくって神話漁ってネタにしまくっておきながらバカにしてくるとか、何なの後からこっち来たヤツらのくせに」みたいな気持ちがあるのかもしれないし。ちょっと日/本と中.韓にも通じるかな? 「俺らが文化伝えてやったのにキイィー!o(`皿´)=3」みたいな感情が、それから軽く千年以上は経つ今でも存在するみたいな話聞くし・・・。(近現代にウチが融通したモンの方が既に多くなっちゃってるんではないですかねぶっちゃけ? あ、戦後賠償だから当たり前なのかソレは(´-`))
まぁとにかくそんな感じで、いくら東アジアより人の往来が激しくて混じり合った大陸でもこういうどうしようもない認識や感情的齟齬、また宗派対立すらも抱えた状態で統合なんて土台無理な話だったのではないか?と。経済規模や人口だって国によって全く違うわけだしさぁ。今日ブ○ゴスで読んだ記事で「そもそもE Uはドイ○の首根っこ抑えさせるためのアメ○カの陰謀が始まりだった」というのを見たけど、結果的にド○ツは(リーマ○ショックからの米衰退→ユーロ統合の波+メル○ルという辣腕指導者の力もあって)正直どの時代より、少なくともヨーロッパの盟主と言える位置に付けてしまっていると思う。英/仏がそうなれなかったのは、皮肉なことに植民地を沢山抱えていたことと名ばかりの戦勝国になってしまったことが大きいのかな、と。戦後、各植民地で巻き起こった独立戦争、更には植民地の公用語を自国語にしていたがために、それを使える移民が世界中から押し寄せる状態になるわけで、復興のための労働力として彼らを受け入れる方便が「人権」という決して押し戻せない彼ら自身の「信念」として定着してしまった。ここら辺アメリ○の「正義」と対を成すというか、面白いですよね「人権」の捉え方の微妙な差異が^^ その「信念」がまさに彼ら自身を歪ませ軋ませてしまっている今、彼らがどこへ向かいどの道を選ぶのか、盟主であることを拒んできたドイ○、盟主としてのバランスを取れそうな唯一の指導者が力を失おうとしている彼の国がどう立ち振る舞って、E Uいやヨーロッパ全体がどうなるのか改めて興味が尽きないな、と考えちゃった。二百年前の話読んで(笑)
四幕まで読了したので明日一気に全部読んで感想書けたら良いな、と思ってます!
王に生贄の具体的な指図をされなかったことを不安に感じながら「取り越し苦労はせぬことにして、すべてを気高い神々にお任せしてしまおう。神々は、人間の思惑などにはとんと無頓着に、御心の欲するところに従って万事をお計らい遊ばす。わたしたち死すべき人間は、神々の御意に従うばかりなのです。」私の一番大っ嫌いな信仰者の思想ktkr(゜∀゜) 南欧が色々とダメなのはこういう理由ですね、そりゃゲーテさん的考え方のド○ツ人やある程度本人の意思や責任を大事にするプロテス○ント系とも相容れないわけだわ。
で、スパルタの宮殿に帰って来た彼女たちを出迎えたのは何とメフィストーフェレスが二幕で化けた(一体化した)ポルキュアスでしたΣ(゜Д゜;) ヘレネーさんたち、罠やで、逃げてー!醜いその姿に怒り狂ったヘレネー「お前みたいな化け物が美の横にしゃしゃり出て、陽の神アポㇽロンの万事を知り抜いた眼を怖れないとは。・・・あの神の尊い眼には、醜悪なものは見えないのだから。蔭を見たことのないあの神の眼には。 けれども悲しい運命の定めで、死すべき私たち人間は、美を愛していればこそかえって、醜悪で永遠に呪われたものを見ると、目に言いようのない痛みを覚えずにはいられません。 あつかましくも私たちの前に出てこようというのなら、神々によって創られた幸福な者の罵る口から出るあらゆる非難の威しと呪いの言葉をよく聴くがいい。」確かに醜い怪物相手とはいえ、何という差別意識(((>_<;))) これぞまさに本物のヘ○トスピーチの原形ですな!それに対して「廉恥と美が手に手を執ってともに歩んで行くことはないという諺の意は永遠に深く真実です。この二つのものの間には、深く根差した古い憎しみが巣喰っているので、どこでも敵同士として互いに背を向け合うのです。・・・老いが両者を早めに縛り上げなければ、両者はそのまま冥府のうつろな闇の中へ突っ込んで行ってしまう。・・・鶴は鶴の道を行き、旅人は旅人の道を行く。私たちの間柄も、まあそんなもの」と応じるポルキュアスの言葉、深いでぇ(´Д`;) 特に女性にとっての美醜は本当に厄介な問題だと思う。
ほんでもってポルキュアスは好き勝手合唱するヘレネーの侍女たちを、「他人が丹精したものを喰い荒し、芽生えた富を撮み喰いして滅ぼす蝗虫の大群のようなもの。征服され、市場に売りに出され、物々交換される商品のような女ども」とこきおろす。ヘレネーはさすがにカチンと来たのか、「褒めるのも罰するのも女主人だけがして良いこと、主人は召使が誰かを問題にせず、奉公ぶりだけを問題にする」と言い返す。ヘレネーさん中々強い!(^^)b 完全に対立した侍女たちとポルキュアス「醜いものは美しいもののそばに置いてみると、また一段と醜く見える。」VS「利口な人のそばだと、馬鹿は一段と馬鹿に見える。」この辺爆笑しそうになるわ(ノ∀`) 女主人ヘレネーさんは困り果てて「腹は立たないが悲しくなるから口汚い言い争いはおよし。忠実な召使たちの眼に見えず化膿するような仲たがいほど主人にとって不利益なことはない。何かを命じてもそれが即座に実行されるという気持のいい反響が戻ってこないから。」んー、日/韓を見るアメ○カ様の視点ですね分かります^^ でもそっちは種まいたの自分だからね!ウチはもうぶっちゃけ知らないっつーかできる限り関わりたくないよね、そりゃ半島が全赤化しちゃったら困るけどさ。
怒涛の過去を振り返りつつ「あれは現実の過去だったのか、それとも己の妄想だったのか。諸方の都を荒廃させた女の怖ろしい夢の光景は。あれはみなわたしの作り上げたものだったのかしら、今のわたしなのか、それとも未来のわたしなのかしら。」ダメだヘレネーさん、自分の仕出かしたこと分かってねぇ(^ω^#) 可哀想な?(半分は自業自得なわけだから)パリス兄弟と罪もないトロイアの皆さん・・・!神々の気紛れとアフロディ―テの勝手な贈賄約束のせいで(つД`)ウッウッ それなのにヘレネーは「怖ろしい不幸」だの「数限りない辛酸」だの悲劇のヒロイン気取りで「現在只今でさえ、どちらのわたしが本当の自分だったのかわからない」黄泉の国から出てきて運命に逆らい彼女を慕ったアキレウスのことも「幻の身と幻の身が一緒になったまでのこと。言い伝えにも、あれは夢であったとしてあります。わたしはこのまま消え失せて、幻になってしまいそうな気がする。」どんだけ外的要因に責任丸投げしてるんですかー!?そこにアンタの意思は全く介入してなかったと?(・・;)
そんなヘレネーに嫌味を畳みかけるポルキュアスを、侍女たちは「お前は過去の一番厭なことを現在に呼び戻して、現在の輝きとともに、同時に未来の、仄かに光る希望の灯をも暗くしてしまう。・・・お妃さまの魂は、もう半ば逃げ腰になっていらっしゃる。ぜひしっかりとお引止めしたい。」と黙らせようとする。うん、そりゃ確かに美貌のせいでヘレネーが大変な人生を歩んできたことはよくわかるけどさ(´・ω・`) そしてポルキュアス「人はわたしを醜いというけれど、わたしだって美しいものを美しいと見分けることは知っている」とヘレネーに歩み寄る。うわあぁ、逃げてぇ!(再)奴に王はお前らを生贄に捧げる気だ、とそそのかされ怯える侍女たちに向かって「死は所詮まぬがれられないのさ。それは万人が万人承知だが、潔い奴はごく稀だ。」と呟くポルキュアス、悪魔の本性のぞいちゃってますよー(´∀`)σ)Д`*)
で、何とか威厳を保ちつつ助かる方法を聞き出そうとするヘレネーにポルキュアスは「家にじっとして大切な宝を守っている者は生涯仕合せに暮せるけれど、閾の神聖な線を無造作に気軽な足取りで不埒に越えて行く者は、元の場所へ帰ってきてもすべてがらりと変っているもの」と痛烈な言葉を浴びせかける。でもってそこからファウスト上げの巧妙な誘導が始まるわけですな>< ヘレネーの夫・メネラーオス王の残酷さを訴え、「それはわたし故になさったこと」と庇う彼女に「美人は共有しがたく、美人を独占した者は、どんな形にもせよ共有ということを嫌って、いっそその美人を殺してしまうもの」と、きったねーけど信じさせるような嘘つきやがるポルキュアスの網に、ヘレネーは完全に絡め取られてしまった(((゜Д゜;)))gkbr
城の中庭の場面、自分たちの今後について不安に震え嘆く侍女たちに指揮する女が言うセリフ「そそっかしくて愚かで、ほんとに女の見本だわね。目先のことに気を奪われ、禍福の風の吹き回しにもてあそばれて、どちらにも平静な心で立ち向うことができず、寄るとさわるといがみ合って、てんやわんやの大騒ぎ。喜びにつけ悲しみにつけ、同じ調子で泣いたり笑ったりさ。」うーん、確かにそうだけどこれも現代なら女性に対しての偏見を助長するだ何だ物議をかもしちゃいそうなセリフですね☆アメリ○の大学図書館からこの作品が駆逐されないことを祈ってます(-人-)ナモナモ 「もうさすらい歩くのはいやです。ただ休みたい。」これがヘレネーの一番の本音の本音なんじゃないかな、と何かここで初めて彼女に対して同情というか胸打たれた。
で、懲りないファウストようやく登場(´-`)=3 望楼守使ってヘレネーの歓心買おう大作戦☆ですな。もう自分の容姿が引き起こす災厄にウンザリしてるヘレネーはファウストに彼を裁く役割を委ねられて彼を許す。許されたリュンケウスの「私は最初なんであったのでしょう、今は何なのでしょう。何を望んでいるのでしょう、何をすればよろしいのでしょう。眼が利くからとて、それが何の足しになりましょう。・・・進撃につぐ進撃をもって、私どもは諸方の国々を征服致しました。今日私どもが支配した土地も、あすは他の者の掠奪をこうむるという有様でございました。」んー、この辺ゲルマン民族の実際の歴史を思い起こさせるし、現在起こっている問題の諸々についても考えさせられますね(・・;) そんな戦いの中の掠奪においても他人が持っているようなものには目もくれず、ひたすら珍しいものを集めてきた彼が、余りに麗しいヘレネーの姿を前にそれらの貴重品にはなんの価値もないということがわかってしまった。だから「どうかひと目ごらん下さって、失われた価値を元通りに取戻させてやって下さいまし。」と彼女に宝物を捧げるという・・・。「拝するものの豊けさのために、一切が空虚になってしまった。」ホントどんだけ魔性の美貌なのヘレネー(@_@;) まぁでも分かる、往年の名作読んだり観たりした後に恐らく今だけで消えるな、っていう流行り物系眺めると何も感じないし時間ムダにしたな、って気分になったり。本当に美しい自然の光景や絵画の実物を目の当たりにするとクッソ憧れて保存してたPCの画像とか画集投げ捨てたくなったりするよね!(ん、ちょっと感覚ズレてる?)
ファウストの言葉が異様に快く響くと語るヘレネーに「言葉が心から出て胸に憧れの情が充ち溢れますと顧みて問うのです――」と早速愛の問答()を始めやがるファウスト^^# 心は未来をも過去をも見ないで、ただこの日、この時の現在ばかりが幸福、とか、ホント何なのこいつら。グレートヒェンの悲劇は?旦那だのパリス兄弟だのアキレウスは?「現在こそ、宝、利益、財産、抵当物」だと┐( ̄ヘ ̄)┌ 晴れて?結ばれた二人の心地、ヘレネー「ひどく遠方にいるような、また近くにいるような気が致しますけれど、それでも「ここにいます、ここに」といわずにはいられません。」余りにも長い間美貌によってアチコチさ迷わされてきた美女の本音とも言えるのかもしれないなぁ、そう言える場所を得たことは。ファウストの「時間も空間も超越した夢」っつーのはアンタ、その通りだよ^^ まさに悪魔が見せてくれた束の間の夢な!「一生が終わってしまったような、けれどこれから始まるような気が致します。」と言うヘレネーに「「在る」ということは義務です、それが瞬時のほどであろうとも。」と告げるファウストに若干残る学者臭を感じる。
でもってやっぱり怒って妃を取り戻しに来たメネラーオス王に対し「海上をさまよい、掠奪し、窺うのが、あの王の好みで宿命」とほざきやがるファウスト。「陽光に恵まれたいずれの国にも勝るアルカディアは永遠にどの種族にとっても幸多き国となってくれ。」先に言及されていた兵士たちの分類を見るに、その種族の内に有色人種やラテン系は含まれていないんでしょうね、きっと(´-`) もうE Uはさ、北(北欧+アングロ+ゲルマン組)と南(東欧含む文字通りラテン=旧ローマ支配下)に別れれば万事解決してイギ○スも留まってくれるしス○スやノ○ウェーも加盟してくれんじゃね? フラ○ス先輩が一人で死にかけそうだけど(笑)面倒事ド○ツに丸投げしてきたツケの支払いということで・・・イギ○スに次いで旧植民地への影響力は強いわけだし、スペ○ン・ポル○ガル語圏の新興国もメッチャあるやろ。その利点を活かして(以下略)何でだろうなー、あの辺に支配された国がアレな感じばっかなのは@棒(’ ε ’) あっ、強制布教による文化断絶のせいかな?教育機会ゼロにしたせいかな?そのままテキトーにアングロに搾取されんのほっといたせいかなぁ?ほんと、唐辛子もトマトもコーヒーもバナナも黄金も、あんだけのもの輩出できる豊かな土地ゲットして暴れ回っといて何一つ活かせず、その土地の発展にも貢献できなかったとか、ある意味才能ありすぎですわービッ○リポンや!
ゲルマン民族の考えるところの理想郷アルカディアでは「人々は自適していて、誰もがその境界で不死になり、心やすらかでからだも丈夫。・・・その様子は神か人かと尋ねてみずにはいられないほど。・・・自然が浄らかな世界のうちに君臨するところでは、一切は融け合ってしまうから。」そしてヘレネーに「私もあなたもそんな風になったのだから、過去などになんの用がありましょう。・・・永遠の若々しさを湛える幸福な土地で、あなたは最もたのしい運命の中へ足を踏み入れられました。・・・私たちの幸福が楽園らしく自由なものでありますように。」とうそぶきやがるファウストがもう本当に(以下略)
「私がはっきりとこの眼で見たことを夢見ているのかどうか、それもやはり私にはわからない。」と言いながら眠り続けるヘレネーの侍女たちに「信じうる奇蹟の解決」を見届けさせようと起こすポルキュアスの言葉が不穏。「奥の究められない深い所」でファウストとヘレネーに何が起こっていたか、何と伝説通り息子が生まれていましたとさー(ノ∀`) その子の輝きと美しさを称えるポルキュアスに、侍女たちは「現在起っていることなどみな、過去の輝かしい時代の、侘しい余韻にすぎないのです。・・・数々の神々や英雄と同じように、この坊やもすべてに対して永遠に恵み深い霊であることを実に巧妙なやり方で忽ち証明してみせる」と語る様に、初めてさすがヘレネーさんの侍女!と感じられる一節が来ましたね。それでもポルキュアスは「昔のことなんかさっさと忘れておしまい。・・・誰もお前さんたちの話なんか聴きたがりはしないよ。・・・なぜって、人の心を本当に動かすのは、やはり心の奥底から出てきたものだけだからね。」と毒づく。このフレーズ繰り返し登場しますね。ゲーテ哲学の神髄かな? しかし洞窟の奥から響く甘い音楽を聴いて「陽の光なんか要らないわ。魂の中に夜明けが来て、どこを探そうとも得られないものが、自分の心の中に見つかったんですもの。」って侍女たち、絆されんのはっえーな!(´Д`;)
話題の親子三人の会話「人間らしく仕合せになるのには、愛でふたりが結ばれればいいのだけれど、めでたく三人が組まなければ、神々の味わう悦びは得られないのね。」おお、全国の子どものいない夫婦とL G B Tの皆さんの心を抉るヘレネー様。(すみませんソッチ系のネタに敏感になり過ぎな時期でして。笑)それに答えるファウスト「私はお前のもの、お前は私のもの。私たちはこんな風に結ばれ合った。これが最も望ましい状態だ。」子はかすがいってヤツですか・・・ウンだから、グレートヒェンちゃんが自ら殺さざるを得なかったお子さんと元の旦那との間に生まれたお子さんのことは(以下略)二人の息子エウポリオーンは大胆不敵な性質らしく、地面に縛り付けられず空高く昇ってみたいという望みをどうしても棄てられない。その体は親のものではなく自分のものなのだから、好きにして良いだろう、と言う息子に「やっとの思いで手に入れた私たちのもの」とあくまで我が子を自分たちの所有物であるかのように語るヘレネー。あぁ、いずこの時代・世界でも・・・((-_-)ウンウン 結局親のために己を抑えようとするけれど、エウポリオーンの持つ烈しさは留まるところを知らず、女性や戦争にも向けられていく。
狭苦しいところを嫌い、高く遠くを目指す彼は(ファウストのあくなき渇望という資質を強く受け継いでいるのかも)、理想郷の島に留まることを良しとしない。何故この美しい国に大人しくしていないのか、と問う侍女たちに「君たちは平和の世を夢見ているの。夢を見たい人は見ているがいい。戦争、これが合言葉、そして、勝利、と言葉が続くのです。」とエウポリオーン。侍女たちは「平和な世に住んで昔の戦争を懐かしがる人は希望という幸福に別れてしまう。」と返すが、エウポリオーンは「かつて危難の中から国を生み落とした、自由な精神と限りない勇気を持ち、抑えがたい神聖な志操を持って戦う人々に戦勝を得させよう。」と願う。両親であるヘレネーとファウストは「生れたばかりで、清らかな日に身を委ねるか委ねないかのうちに、急な階段を昇って、労苦の多い所へ憧れるのか。私たちのことなど、なんとも思わないの。」と我が子を引き留めようとするが、エウポリオーンは「死は掟であり、当然の宿命なのです。・・・遠方から黙って見ていられるでしょうか。とてもそんなことはできない。私は憂苦艱難を分かちたいのです。・・・おれはあすこへ住かなければならない。」とイカロスと同じ運命を辿る。
この辺、現代日.本人的に非常に胸に迫るやりとりじゃないですか? 歴史や戦争に翻弄されてきた一国民として侍女の言うことも分かるし、エウポリオーンの気持ちも解る。更には一個人として、ファウストとヘレネーの親心にも大半は納得が行くだろう。世界の情勢が変わりつつある中にあって、何が正しいのか、どういう道を選べば自分たちが生き残れるのか、それは道義的に善いと言えることなのか、まさに分かれ道に立たされているのが今の日/本の状況だと思う。だから、「作戦」として70年以上も前の真偽すら定かではない出来事への宣伝攻勢を強める、現時点ではどうやっても敵対するしかない陣営からの影響も相まり、右も左も入り混じって喧々諤々の議論になる。グローバリゼーションが良いだけ進行した中で起こってしまった世界的不況により各国のナショナリズムが高まる中、ホントどんな未来が待っていて私たちがどういう選択をしなければいけないのか、色々と考えさせられる問答ですね。(・・・まぁ実は正直傍観者として興味深々の面が強くて、時々自分がその人間様だったり日.本人の一員だってことウッカリ忘れそうになるんだけどさ(^^; 眺めるのは楽しいけど、皮被って存在させてもらってるだけの虫けらに干渉する権利はないとも思ってるし)
彼の死を悼む侍女たちの「あなたは絶えず好んで意志のない宿命の網の中へ駆け込まれ、力ずくで良俗、法律を振切ってしまわれましたが、しかし最後はこの上ない試案が、純粋な勇気を重んじさせて、すばらしい仕事に成功しようとなさったのに、それがお出来にならなかったのですね。 誰にそれが出来るでしょう――この憂鬱な問いに対しては、運命さえも黙り込んでしまいます。・・・でも歌声を新たに致しましょう。いつまでもうなだれてはいますまい。大地がこれまでにも歌を生み出したように、歌は再び生み出されてくるでしょう。」という合唱に泣きそうになった(´;ω;`) そうだよ、どんな悲しみや混沌や破壊からでも必ず立ち直る、人間って、世界ってすごいんだよ!と。ヘレネーは冥府から自分を呼ぶ息子の声に「幸福と美とは永く一緒にはいないという、古い諺を悲しいことにわが身で確かめました。命の絆、愛の絆は断ち切られてしまいましたね。その両方を嘆きながら、悲しいお別れの時がやって参りました。」とファウストに別れを告げる。かき消えた彼女の姿に呆然とする彼に向かい、ポルキュアスは「おなくしになった女神は、もういらっしゃらない。けれど残ったものには神の息吹きがあります。気高い、無限の価値のある恵みをおろそかにせず、高く昇っていらっしゃい。即座にすべて低俗なものの上高くあなたを支えてくれますから。あなたは力の続く限り、空高くとどまっていられます。またお会い致しましょう。けれども遠くで、ここからよほど遠いところで。」と。侍女たちも無法な心の呪縛から解放され、自然の中の霊という自分たちの本性に還る。
第四部の語る葡萄酒の産地・南方の怪物たちのまとめ「情け容赦もあらばこそなのですね、割れた蹄が良風美俗など踏みしだいてしまうのです。・・・酔っぱらいは杯を手探りに探り求めて、頭も腹も酒ではち切れそうです。心配する者もいなくはないが、そういう者のためにかえって騒ぎが大きくなるばかり。なぜなら新酒を容れようと思えば、古い革袋は早く空にせざるをえませんからね。」皮肉というか暗喩というかやはり大変示唆に富んだお言葉ですね(^^;
追記:ここまで二巻全体を通して見て、民族大移動の末にようやく中央ヨーロッパに安住の地を見出したド○ツ人は古代からずっとその場所で暮らしてきた人々の国であるギリ○ャの神話や歴史に憧れ、またその地の美しさや豊かさを羨み尊んでもいるけれど、同時にギリシ○人の性質や文化・価値観については長く蔑み理解を拒んできたのだ、と感じてしまいました(´・ω・`) もしかしたら単純な経済的問題だけではなく、そうした昔からの因縁というか互いへの妬み嫉み、ひねくれ根性も絡む気質の相違・相容れなさが彼らの不協和音の根底にあったのかな、と。ギ○シャ人からすれば、「俺らの国に押しかけまくって神話漁ってネタにしまくっておきながらバカにしてくるとか、何なの後からこっち来たヤツらのくせに」みたいな気持ちがあるのかもしれないし。ちょっと日/本と中.韓にも通じるかな? 「俺らが文化伝えてやったのにキイィー!o(`皿´)=3」みたいな感情が、それから軽く千年以上は経つ今でも存在するみたいな話聞くし・・・。(近現代にウチが融通したモンの方が既に多くなっちゃってるんではないですかねぶっちゃけ? あ、戦後賠償だから当たり前なのかソレは(´-`))
まぁとにかくそんな感じで、いくら東アジアより人の往来が激しくて混じり合った大陸でもこういうどうしようもない認識や感情的齟齬、また宗派対立すらも抱えた状態で統合なんて土台無理な話だったのではないか?と。経済規模や人口だって国によって全く違うわけだしさぁ。今日ブ○ゴスで読んだ記事で「そもそもE Uはドイ○の首根っこ抑えさせるためのアメ○カの陰謀が始まりだった」というのを見たけど、結果的にド○ツは(リーマ○ショックからの米衰退→ユーロ統合の波+メル○ルという辣腕指導者の力もあって)正直どの時代より、少なくともヨーロッパの盟主と言える位置に付けてしまっていると思う。英/仏がそうなれなかったのは、皮肉なことに植民地を沢山抱えていたことと名ばかりの戦勝国になってしまったことが大きいのかな、と。戦後、各植民地で巻き起こった独立戦争、更には植民地の公用語を自国語にしていたがために、それを使える移民が世界中から押し寄せる状態になるわけで、復興のための労働力として彼らを受け入れる方便が「人権」という決して押し戻せない彼ら自身の「信念」として定着してしまった。ここら辺アメリ○の「正義」と対を成すというか、面白いですよね「人権」の捉え方の微妙な差異が^^ その「信念」がまさに彼ら自身を歪ませ軋ませてしまっている今、彼らがどこへ向かいどの道を選ぶのか、盟主であることを拒んできたドイ○、盟主としてのバランスを取れそうな唯一の指導者が力を失おうとしている彼の国がどう立ち振る舞って、E Uいやヨーロッパ全体がどうなるのか改めて興味が尽きないな、と考えちゃった。二百年前の話読んで(笑)
四幕まで読了したので明日一気に全部読んで感想書けたら良いな、と思ってます!
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王に生贄の具体的な指図をされなかったことを不安に感じながら「取り越し苦労はせぬことにして、すべてを気高い神々にお任せしてしまおう。神々は、人間の思惑などにはとんと無頓着に、御心の欲するところに従って万事をお計らい遊ばす。わたしたち死すべき人間は、神々の御意に従うばかりなのです。」私の一番大っ嫌いな信仰者の思想ktkr(゜∀゜) 南欧が色々とダメなのはこういう理由ですね、そりゃゲーテさん的考え方のド○ツ人やある程度本人の意思や責任を大事にするプロテス○ント系とも相容れないわけだわ。
で、スパルタの宮殿に帰って来た彼女たちを出迎えたのは何とメフィストーフェレスが二幕で化けた(一体化した)ポルキュアスでしたΣ(゜Д゜;) ヘレネーさんたち、罠やで、逃げてー!醜いその姿に怒り狂ったヘレネー「お前みたいな化け物が美の横にしゃしゃり出て、陽の神アポㇽロンの万事を知り抜いた眼を怖れないとは。・・・あの神の尊い眼には、醜悪なものは見えないのだから。蔭を見たことのないあの神の眼には。 けれども悲しい運命の定めで、死すべき私たち人間は、美を愛していればこそかえって、醜悪で永遠に呪われたものを見ると、目に言いようのない痛みを覚えずにはいられません。 あつかましくも私たちの前に出てこようというのなら、神々によって創られた幸福な者の罵る口から出るあらゆる非難の威しと呪いの言葉をよく聴くがいい。」確かに醜い怪物相手とはいえ、何という差別意識(((>_<;))) これぞまさに本物のヘ○トスピーチの原形ですな!それに対して「廉恥と美が手に手を執ってともに歩んで行くことはないという諺の意は永遠に深く真実です。この二つのものの間には、深く根差した古い憎しみが巣喰っているので、どこでも敵同士として互いに背を向け合うのです。・・・老いが両者を早めに縛り上げなければ、両者はそのまま冥府のうつろな闇の中へ突っ込んで行ってしまう。・・・鶴は鶴の道を行き、旅人は旅人の道を行く。私たちの間柄も、まあそんなもの」と応じるポルキュアスの言葉、深いでぇ(´Д`;) 特に女性にとっての美醜は本当に厄介な問題だと思う。
ほんでもってポルキュアスは好き勝手合唱するヘレネーの侍女たちを、「他人が丹精したものを喰い荒し、芽生えた富を撮み喰いして滅ぼす蝗虫の大群のようなもの。征服され、市場に売りに出され、物々交換される商品のような女ども」とこきおろす。ヘレネーはさすがにカチンと来たのか、「褒めるのも罰するのも女主人だけがして良いこと、主人は召使が誰かを問題にせず、奉公ぶりだけを問題にする」と言い返す。ヘレネーさん中々強い!(^^)b 完全に対立した侍女たちとポルキュアス「醜いものは美しいもののそばに置いてみると、また一段と醜く見える。」VS「利口な人のそばだと、馬鹿は一段と馬鹿に見える。」この辺爆笑しそうになるわ(ノ∀`) 女主人ヘレネーさんは困り果てて「腹は立たないが悲しくなるから口汚い言い争いはおよし。忠実な召使たちの眼に見えず化膿するような仲たがいほど主人にとって不利益なことはない。何かを命じてもそれが即座に実行されるという気持のいい反響が戻ってこないから。」んー、日/韓を見るアメ○カ様の視点ですね分かります^^ でもそっちは種まいたの自分だからね!ウチはもうぶっちゃけ知らないっつーかできる限り関わりたくないよね、そりゃ半島が全赤化しちゃったら困るけどさ。
怒涛の過去を振り返りつつ「あれは現実の過去だったのか、それとも己の妄想だったのか。諸方の都を荒廃させた女の怖ろしい夢の光景は。あれはみなわたしの作り上げたものだったのかしら、今のわたしなのか、それとも未来のわたしなのかしら。」ダメだヘレネーさん、自分の仕出かしたこと分かってねぇ(^ω^#) 可哀想な?(半分は自業自得なわけだから)パリス兄弟と罪もないトロイアの皆さん・・・!神々の気紛れとアフロディ―テの勝手な贈賄約束のせいで(つД`)ウッウッ それなのにヘレネーは「怖ろしい不幸」だの「数限りない辛酸」だの悲劇のヒロイン気取りで「現在只今でさえ、どちらのわたしが本当の自分だったのかわからない」黄泉の国から出てきて運命に逆らい彼女を慕ったアキレウスのことも「幻の身と幻の身が一緒になったまでのこと。言い伝えにも、あれは夢であったとしてあります。わたしはこのまま消え失せて、幻になってしまいそうな気がする。」どんだけ外的要因に責任丸投げしてるんですかー!?そこにアンタの意思は全く介入してなかったと?(・・;)
そんなヘレネーに嫌味を畳みかけるポルキュアスを、侍女たちは「お前は過去の一番厭なことを現在に呼び戻して、現在の輝きとともに、同時に未来の、仄かに光る希望の灯をも暗くしてしまう。・・・お妃さまの魂は、もう半ば逃げ腰になっていらっしゃる。ぜひしっかりとお引止めしたい。」と黙らせようとする。うん、そりゃ確かに美貌のせいでヘレネーが大変な人生を歩んできたことはよくわかるけどさ(´・ω・`) そしてポルキュアス「人はわたしを醜いというけれど、わたしだって美しいものを美しいと見分けることは知っている」とヘレネーに歩み寄る。うわあぁ、逃げてぇ!(再)奴に王はお前らを生贄に捧げる気だ、とそそのかされ怯える侍女たちに向かって「死は所詮まぬがれられないのさ。それは万人が万人承知だが、潔い奴はごく稀だ。」と呟くポルキュアス、悪魔の本性のぞいちゃってますよー(´∀`)σ)Д`*)
で、何とか威厳を保ちつつ助かる方法を聞き出そうとするヘレネーにポルキュアスは「家にじっとして大切な宝を守っている者は生涯仕合せに暮せるけれど、閾の神聖な線を無造作に気軽な足取りで不埒に越えて行く者は、元の場所へ帰ってきてもすべてがらりと変っているもの」と痛烈な言葉を浴びせかける。でもってそこからファウスト上げの巧妙な誘導が始まるわけですな>< ヘレネーの夫・メネラーオス王の残酷さを訴え、「それはわたし故になさったこと」と庇う彼女に「美人は共有しがたく、美人を独占した者は、どんな形にもせよ共有ということを嫌って、いっそその美人を殺してしまうもの」と、きったねーけど信じさせるような嘘つきやがるポルキュアスの網に、ヘレネーは完全に絡め取られてしまった(((゜Д゜;)))gkbr
城の中庭の場面、自分たちの今後について不安に震え嘆く侍女たちに指揮する女が言うセリフ「そそっかしくて愚かで、ほんとに女の見本だわね。目先のことに気を奪われ、禍福の風の吹き回しにもてあそばれて、どちらにも平静な心で立ち向うことができず、寄るとさわるといがみ合って、てんやわんやの大騒ぎ。喜びにつけ悲しみにつけ、同じ調子で泣いたり笑ったりさ。」うーん、確かにそうだけどこれも現代なら女性に対しての偏見を助長するだ何だ物議をかもしちゃいそうなセリフですね☆アメリ○の大学図書館からこの作品が駆逐されないことを祈ってます(-人-)ナモナモ 「もうさすらい歩くのはいやです。ただ休みたい。」これがヘレネーの一番の本音の本音なんじゃないかな、と何かここで初めて彼女に対して同情というか胸打たれた。
で、懲りないファウストようやく登場(´-`)=3 望楼守使ってヘレネーの歓心買おう大作戦☆ですな。もう自分の容姿が引き起こす災厄にウンザリしてるヘレネーはファウストに彼を裁く役割を委ねられて彼を許す。許されたリュンケウスの「私は最初なんであったのでしょう、今は何なのでしょう。何を望んでいるのでしょう、何をすればよろしいのでしょう。眼が利くからとて、それが何の足しになりましょう。・・・進撃につぐ進撃をもって、私どもは諸方の国々を征服致しました。今日私どもが支配した土地も、あすは他の者の掠奪をこうむるという有様でございました。」んー、この辺ゲルマン民族の実際の歴史を思い起こさせるし、現在起こっている問題の諸々についても考えさせられますね(・・;) そんな戦いの中の掠奪においても他人が持っているようなものには目もくれず、ひたすら珍しいものを集めてきた彼が、余りに麗しいヘレネーの姿を前にそれらの貴重品にはなんの価値もないということがわかってしまった。だから「どうかひと目ごらん下さって、失われた価値を元通りに取戻させてやって下さいまし。」と彼女に宝物を捧げるという・・・。「拝するものの豊けさのために、一切が空虚になってしまった。」ホントどんだけ魔性の美貌なのヘレネー(@_@;) まぁでも分かる、往年の名作読んだり観たりした後に恐らく今だけで消えるな、っていう流行り物系眺めると何も感じないし時間ムダにしたな、って気分になったり。本当に美しい自然の光景や絵画の実物を目の当たりにするとクッソ憧れて保存してたPCの画像とか画集投げ捨てたくなったりするよね!(ん、ちょっと感覚ズレてる?)
ファウストの言葉が異様に快く響くと語るヘレネーに「言葉が心から出て胸に憧れの情が充ち溢れますと顧みて問うのです――」と早速愛の問答()を始めやがるファウスト^^# 心は未来をも過去をも見ないで、ただこの日、この時の現在ばかりが幸福、とか、ホント何なのこいつら。グレートヒェンの悲劇は?旦那だのパリス兄弟だのアキレウスは?「現在こそ、宝、利益、財産、抵当物」だと┐( ̄ヘ ̄)┌ 晴れて?結ばれた二人の心地、ヘレネー「ひどく遠方にいるような、また近くにいるような気が致しますけれど、それでも「ここにいます、ここに」といわずにはいられません。」余りにも長い間美貌によってアチコチさ迷わされてきた美女の本音とも言えるのかもしれないなぁ、そう言える場所を得たことは。ファウストの「時間も空間も超越した夢」っつーのはアンタ、その通りだよ^^ まさに悪魔が見せてくれた束の間の夢な!「一生が終わってしまったような、けれどこれから始まるような気が致します。」と言うヘレネーに「「在る」ということは義務です、それが瞬時のほどであろうとも。」と告げるファウストに若干残る学者臭を感じる。
でもってやっぱり怒って妃を取り戻しに来たメネラーオス王に対し「海上をさまよい、掠奪し、窺うのが、あの王の好みで宿命」とほざきやがるファウスト。「陽光に恵まれたいずれの国にも勝るアルカディアは永遠にどの種族にとっても幸多き国となってくれ。」先に言及されていた兵士たちの分類を見るに、その種族の内に有色人種やラテン系は含まれていないんでしょうね、きっと(´-`) もうE Uはさ、北(北欧+アングロ+ゲルマン組)と南(東欧含む文字通りラテン=旧ローマ支配下)に別れれば万事解決してイギ○スも留まってくれるしス○スやノ○ウェーも加盟してくれんじゃね? フラ○ス先輩が一人で死にかけそうだけど(笑)面倒事ド○ツに丸投げしてきたツケの支払いということで・・・イギ○スに次いで旧植民地への影響力は強いわけだし、スペ○ン・ポル○ガル語圏の新興国もメッチャあるやろ。その利点を活かして(以下略)何でだろうなー、あの辺に支配された国がアレな感じばっかなのは@棒(’ ε ’) あっ、強制布教による文化断絶のせいかな?教育機会ゼロにしたせいかな?そのままテキトーにアングロに搾取されんのほっといたせいかなぁ?ほんと、唐辛子もトマトもコーヒーもバナナも黄金も、あんだけのもの輩出できる豊かな土地ゲットして暴れ回っといて何一つ活かせず、その土地の発展にも貢献できなかったとか、ある意味才能ありすぎですわービッ○リポンや!
ゲルマン民族の考えるところの理想郷アルカディアでは「人々は自適していて、誰もがその境界で不死になり、心やすらかでからだも丈夫。・・・その様子は神か人かと尋ねてみずにはいられないほど。・・・自然が浄らかな世界のうちに君臨するところでは、一切は融け合ってしまうから。」そしてヘレネーに「私もあなたもそんな風になったのだから、過去などになんの用がありましょう。・・・永遠の若々しさを湛える幸福な土地で、あなたは最もたのしい運命の中へ足を踏み入れられました。・・・私たちの幸福が楽園らしく自由なものでありますように。」とうそぶきやがるファウストがもう本当に(以下略)
「私がはっきりとこの眼で見たことを夢見ているのかどうか、それもやはり私にはわからない。」と言いながら眠り続けるヘレネーの侍女たちに「信じうる奇蹟の解決」を見届けさせようと起こすポルキュアスの言葉が不穏。「奥の究められない深い所」でファウストとヘレネーに何が起こっていたか、何と伝説通り息子が生まれていましたとさー(ノ∀`) その子の輝きと美しさを称えるポルキュアスに、侍女たちは「現在起っていることなどみな、過去の輝かしい時代の、侘しい余韻にすぎないのです。・・・数々の神々や英雄と同じように、この坊やもすべてに対して永遠に恵み深い霊であることを実に巧妙なやり方で忽ち証明してみせる」と語る様に、初めてさすがヘレネーさんの侍女!と感じられる一節が来ましたね。それでもポルキュアスは「昔のことなんかさっさと忘れておしまい。・・・誰もお前さんたちの話なんか聴きたがりはしないよ。・・・なぜって、人の心を本当に動かすのは、やはり心の奥底から出てきたものだけだからね。」と毒づく。このフレーズ繰り返し登場しますね。ゲーテ哲学の神髄かな? しかし洞窟の奥から響く甘い音楽を聴いて「陽の光なんか要らないわ。魂の中に夜明けが来て、どこを探そうとも得られないものが、自分の心の中に見つかったんですもの。」って侍女たち、絆されんのはっえーな!(´Д`;)
話題の親子三人の会話「人間らしく仕合せになるのには、愛でふたりが結ばれればいいのだけれど、めでたく三人が組まなければ、神々の味わう悦びは得られないのね。」おお、全国の子どものいない夫婦とL G B Tの皆さんの心を抉るヘレネー様。(すみませんソッチ系のネタに敏感になり過ぎな時期でして。笑)それに答えるファウスト「私はお前のもの、お前は私のもの。私たちはこんな風に結ばれ合った。これが最も望ましい状態だ。」子はかすがいってヤツですか・・・ウンだから、グレートヒェンちゃんが自ら殺さざるを得なかったお子さんと元の旦那との間に生まれたお子さんのことは(以下略)二人の息子エウポリオーンは大胆不敵な性質らしく、地面に縛り付けられず空高く昇ってみたいという望みをどうしても棄てられない。その体は親のものではなく自分のものなのだから、好きにして良いだろう、と言う息子に「やっとの思いで手に入れた私たちのもの」とあくまで我が子を自分たちの所有物であるかのように語るヘレネー。あぁ、いずこの時代・世界でも・・・((-_-)ウンウン 結局親のために己を抑えようとするけれど、エウポリオーンの持つ烈しさは留まるところを知らず、女性や戦争にも向けられていく。
狭苦しいところを嫌い、高く遠くを目指す彼は(ファウストのあくなき渇望という資質を強く受け継いでいるのかも)、理想郷の島に留まることを良しとしない。何故この美しい国に大人しくしていないのか、と問う侍女たちに「君たちは平和の世を夢見ているの。夢を見たい人は見ているがいい。戦争、これが合言葉、そして、勝利、と言葉が続くのです。」とエウポリオーン。侍女たちは「平和な世に住んで昔の戦争を懐かしがる人は希望という幸福に別れてしまう。」と返すが、エウポリオーンは「かつて危難の中から国を生み落とした、自由な精神と限りない勇気を持ち、抑えがたい神聖な志操を持って戦う人々に戦勝を得させよう。」と願う。両親であるヘレネーとファウストは「生れたばかりで、清らかな日に身を委ねるか委ねないかのうちに、急な階段を昇って、労苦の多い所へ憧れるのか。私たちのことなど、なんとも思わないの。」と我が子を引き留めようとするが、エウポリオーンは「死は掟であり、当然の宿命なのです。・・・遠方から黙って見ていられるでしょうか。とてもそんなことはできない。私は憂苦艱難を分かちたいのです。・・・おれはあすこへ住かなければならない。」とイカロスと同じ運命を辿る。
この辺、現代日.本人的に非常に胸に迫るやりとりじゃないですか? 歴史や戦争に翻弄されてきた一国民として侍女の言うことも分かるし、エウポリオーンの気持ちも解る。更には一個人として、ファウストとヘレネーの親心にも大半は納得が行くだろう。世界の情勢が変わりつつある中にあって、何が正しいのか、どういう道を選べば自分たちが生き残れるのか、それは道義的に善いと言えることなのか、まさに分かれ道に立たされているのが今の日/本の状況だと思う。だから、「作戦」として70年以上も前の真偽すら定かではない出来事への宣伝攻勢を強める、現時点ではどうやっても敵対するしかない陣営からの影響も相まり、右も左も入り混じって喧々諤々の議論になる。グローバリゼーションが良いだけ進行した中で起こってしまった世界的不況により各国のナショナリズムが高まる中、ホントどんな未来が待っていて私たちがどういう選択をしなければいけないのか、色々と考えさせられる問答ですね。(・・・まぁ実は正直傍観者として興味深々の面が強くて、時々自分がその人間様だったり日.本人の一員だってことウッカリ忘れそうになるんだけどさ(^^; 眺めるのは楽しいけど、皮被って存在させてもらってるだけの虫けらに干渉する権利はないとも思ってるし)
彼の死を悼む侍女たちの「あなたは絶えず好んで意志のない宿命の網の中へ駆け込まれ、力ずくで良俗、法律を振切ってしまわれましたが、しかし最後はこの上ない試案が、純粋な勇気を重んじさせて、すばらしい仕事に成功しようとなさったのに、それがお出来にならなかったのですね。 誰にそれが出来るでしょう――この憂鬱な問いに対しては、運命さえも黙り込んでしまいます。・・・でも歌声を新たに致しましょう。いつまでもうなだれてはいますまい。大地がこれまでにも歌を生み出したように、歌は再び生み出されてくるでしょう。」という合唱に泣きそうになった(´;ω;`) そうだよ、どんな悲しみや混沌や破壊からでも必ず立ち直る、人間って、世界ってすごいんだよ!と。ヘレネーは冥府から自分を呼ぶ息子の声に「幸福と美とは永く一緒にはいないという、古い諺を悲しいことにわが身で確かめました。命の絆、愛の絆は断ち切られてしまいましたね。その両方を嘆きながら、悲しいお別れの時がやって参りました。」とファウストに別れを告げる。かき消えた彼女の姿に呆然とする彼に向かい、ポルキュアスは「おなくしになった女神は、もういらっしゃらない。けれど残ったものには神の息吹きがあります。気高い、無限の価値のある恵みをおろそかにせず、高く昇っていらっしゃい。即座にすべて低俗なものの上高くあなたを支えてくれますから。あなたは力の続く限り、空高くとどまっていられます。またお会い致しましょう。けれども遠くで、ここからよほど遠いところで。」と。侍女たちも無法な心の呪縛から解放され、自然の中の霊という自分たちの本性に還る。
第四部の語る葡萄酒の産地・南方の怪物たちのまとめ「情け容赦もあらばこそなのですね、割れた蹄が良風美俗など踏みしだいてしまうのです。・・・酔っぱらいは杯を手探りに探り求めて、頭も腹も酒ではち切れそうです。心配する者もいなくはないが、そういう者のためにかえって騒ぎが大きくなるばかり。なぜなら新酒を容れようと思えば、古い革袋は早く空にせざるをえませんからね。」皮肉というか暗喩というかやはり大変示唆に富んだお言葉ですね(^^;
追記:ここまで二巻全体を通して見て、民族大移動の末にようやく中央ヨーロッパに安住の地を見出したド○ツ人は古代からずっとその場所で暮らしてきた人々の国であるギリ○ャの神話や歴史に憧れ、またその地の美しさや豊かさを羨み尊んでもいるけれど、同時にギリシ○人の性質や文化・価値観については長く蔑み理解を拒んできたのだ、と感じてしまいました(´・ω・`) もしかしたら単純な経済的問題だけではなく、そうした昔からの因縁というか互いへの妬み嫉み、ひねくれ根性も絡む気質の相違・相容れなさが彼らの不協和音の根底にあったのかな、と。ギ○シャ人からすれば、「俺らの国に押しかけまくって神話漁ってネタにしまくっておきながらバカにしてくるとか、何なの後からこっち来たヤツらのくせに」みたいな気持ちがあるのかもしれないし。ちょっと日/本と中.韓にも通じるかな? 「俺らが文化伝えてやったのにキイィー!o(`皿´)=3」みたいな感情が、それから軽く千年以上は経つ今でも存在するみたいな話聞くし・・・。(近現代にウチが融通したモンの方が既に多くなっちゃってるんではないですかねぶっちゃけ? あ、戦後賠償だから当たり前なのかソレは(´-`))
まぁとにかくそんな感じで、いくら東アジアより人の往来が激しくて混じり合った大陸でもこういうどうしようもない認識や感情的齟齬、また宗派対立すらも抱えた状態で統合なんて土台無理な話だったのではないか?と。経済規模や人口だって国によって全く違うわけだしさぁ。今日ブ○ゴスで読んだ記事で「そもそもE Uはドイ○の首根っこ抑えさせるためのアメ○カの陰謀が始まりだった」というのを見たけど、結果的にド○ツは(リーマ○ショックからの米衰退→ユーロ統合の波+メル○ルという辣腕指導者の力もあって)正直どの時代より、少なくともヨーロッパの盟主と言える位置に付けてしまっていると思う。英/仏がそうなれなかったのは、皮肉なことに植民地を沢山抱えていたことと名ばかりの戦勝国になってしまったことが大きいのかな、と。戦後、各植民地で巻き起こった独立戦争、更には植民地の公用語を自国語にしていたがために、それを使える移民が世界中から押し寄せる状態になるわけで、復興のための労働力として彼らを受け入れる方便が「人権」という決して押し戻せない彼ら自身の「信念」として定着してしまった。ここら辺アメリ○の「正義」と対を成すというか、面白いですよね「人権」の捉え方の微妙な差異が^^ その「信念」がまさに彼ら自身を歪ませ軋ませてしまっている今、彼らがどこへ向かいどの道を選ぶのか、盟主であることを拒んできたドイ○、盟主としてのバランスを取れそうな唯一の指導者が力を失おうとしている彼の国がどう立ち振る舞って、E Uいやヨーロッパ全体がどうなるのか改めて興味が尽きないな、と考えちゃった。二百年前の話読んで(笑)
四幕まで読了したので明日一気に全部読んで感想書けたら良いな、と思ってます!
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