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ほぼ対自分向けメモ録。ブックマーク・リンクは掲示板貼付以外ご自由にどうぞ。著作権は一応ケイトにありますので文章の無断転載等はご遠慮願います。※最近の記事は私生活が詰まりすぎて創作の余裕が欠片もなく、心の闇の吐き出しどころとなっているのでご注意くださいm(__)m
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生きて生きて生きて』・『Love Love Love』弟サイド。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



あなたは今、何を思っていますか?
 
この首が切り落とされて、もうどのくらいになるでしょう?
あの娘は女王になりました。
人々から蔑まれ、謗られながらも自らの足で立ち上がる女王に。
幾年月、行方知れずのあなたの代わりに、私は彼女を見守ってきました。
あなたはどこにいるのですか? 
一体どこで、たった独り憎しみの澱に沈んでいるのですか?
早く、早く、共に地獄で眠りたい。
 
ぼんやりと霞む視界に、実態を持たぬ手足。
あなたへの想いのみが、私をこの世に止まらせる。
 
ぜんぶ、全部どうなっても良かった。
疎まれても、侮られても、世界の全てが嘲笑っても……あなたと、共にいられるのなら。
 
あなたは未だ見つからない。
あの女が死んでも、王が死んでも、こちらを振り向いてくれないのなら。
いっそ私が、あなたに憎まれていたかった……!
 
 
~~~
 
 
「レオ」
 
こっそりと名を呼ぶ声、周囲を窺ってみせる眼差し。
私に近づいて安心したように微笑む、その笑顔が好きでした。
嫡男でありながら不具に生まれつき、屋敷に引きこもるようにして暮らす私に、
唯一優しく接してくれたのはあなたでした。あなたは、私が外を恐れて
閉じこもっているのだと思っていたのかもしれませんが、本当は弱視の長男を
人目に晒すことを恥じた両親が、私に屋敷を出ぬよう忠告していたのです。
だから彼らは、一族の重要な“資源”である姉上たちに私が近づくことを厭った。
何度か私の元にいるところが見つかり、母上に叱られても、
あなたは毎日私の部屋を訪れてくれました。
独りぼっちの私にとって、あなたはたった一人の女(ひと)だった。
あなたが、城に行かれるまで……。
 
身籠った上の姉上に代わり、城に上がったあなたに何が起きたか察した時、
あなたは既に王の娘を腹に宿していました。
何も分からぬまま、上がっていく爵位。消えていくあなたとの時間。
耐えられなかった。人々の陰口より、冷たい視線より、何よりあなたが傍にいないことに。
 
 
~~~
 
 
告白しましょう、姉上。あの噂を流したのは私です。
おしゃべりな侍女に相談に乗ってもらうふりをして嘘を話し、
更にはあの女の前で思わせぶりな態度を取れば簡単でした。
あなたは少しも気づいていなかったようだけれど。
 
そうして、城中に噂が蔓延したあの日。
王がいることを知っていて、私はあなたに口付けた。
初めて触れる唇は少し冷たく、乾いていて。
腕の中でかすかに身じろぐあなたの可愛らしかったこと!
王は愚かです。私の思惑通り、私とあなたを同じ運命に導いてくれた。
姉と弟、本来なら交わることの無い運命を、最後の最後に結び付けてくれた。
 
刺客は、思ったよりも早くやってきました。
そしてそれは驚くべきことに、王自身であったのです。
何かに追い詰められているかのような燃える眼差しに、私は王の想いの丈を知りました。
だから、嗤ってやったのです。思い知るがいい、と。私と姉上の、愛の深さを。
最期の記憶は、飛び散る紅い血。姉上と同じ、愛しき我が血。
あの世ですぐにあなたに会えると、そう思っていました。
そして今度こそ、二人で、二人だけの夢の中で眠りにつけると。それなのに……
 
 
~~~
 
 
許せなかった。王が、あの男が、あなたの柔肌に触れることが。
たとえそれが、あなたの私を想う心がさせたことであったとしても。
殺される瞬間、私は王に勝ったと思っていました。けれどそれは違いました。
あなたは彼への憎しみに捉われたまま、いつまで経っても私のところへは戻ってこない。
 
あなたは純粋すぎたのです。あなたは本当の私を知らない。
あなたが愛したのは、あの純朴で優しい片輪の弟……!
 
ああ、姉上! 
何もかもお話したい。全ては私が仕組んだことだったのだと。
あなたの死も、娘の不幸も、あの男の不実も、あなたの憎しみの源である私の死さえも……!
全ては、自らが望んだことであったのだと。
私はあなたに罰を乞う。
 
愛するあなた。
私の姉上。
口付け一つで命を落とした、哀れな私の……





ブログ初出2008/6/16
 

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あなたは今、何を思っていますか?
 
この首が切り落とされて、もうどのくらいになるでしょう?
あの娘は女王になりました。
人々から蔑まれ、謗られながらも自らの足で立ち上がる女王に。
幾年月、行方知れずのあなたの代わりに、私は彼女を見守ってきました。
あなたはどこにいるのですか? 
一体どこで、たった独り憎しみの澱に沈んでいるのですか?
早く、早く、共に地獄で眠りたい。
 
ぼんやりと霞む視界に、実態を持たぬ手足。
あなたへの想いのみが、私をこの世に止まらせる。
 
ぜんぶ、全部どうなっても良かった。
疎まれても、侮られても、世界の全てが嘲笑っても……あなたと、共にいられるのなら。
 
あなたは未だ見つからない。
あの女が死んでも、王が死んでも、こちらを振り向いてくれないのなら。
いっそ私が、あなたに憎まれていたかった……!
 
 
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「レオ」
 
こっそりと名を呼ぶ声、周囲を窺ってみせる眼差し。
私に近づいて安心したように微笑む、その笑顔が好きでした。
嫡男でありながら不具に生まれつき、屋敷に引きこもるようにして暮らす私に、
唯一優しく接してくれたのはあなたでした。あなたは、私が外を恐れて
閉じこもっているのだと思っていたのかもしれませんが、本当は弱視の長男を
人目に晒すことを恥じた両親が、私に屋敷を出ぬよう忠告していたのです。
だから彼らは、一族の重要な“資源”である姉上たちに私が近づくことを厭った。
何度か私の元にいるところが見つかり、母上に叱られても、
あなたは毎日私の部屋を訪れてくれました。
独りぼっちの私にとって、あなたはたった一人の女(ひと)だった。
あなたが、城に行かれるまで……。
 
身籠った上の姉上に代わり、城に上がったあなたに何が起きたか察した時、
あなたは既に王の娘を腹に宿していました。
何も分からぬまま、上がっていく爵位。消えていくあなたとの時間。
耐えられなかった。人々の陰口より、冷たい視線より、何よりあなたが傍にいないことに。
 
 
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告白しましょう、姉上。あの噂を流したのは私です。
おしゃべりな侍女に相談に乗ってもらうふりをして嘘を話し、
更にはあの女の前で思わせぶりな態度を取れば簡単でした。
あなたは少しも気づいていなかったようだけれど。
 
そうして、城中に噂が蔓延したあの日。
王がいることを知っていて、私はあなたに口付けた。
初めて触れる唇は少し冷たく、乾いていて。
腕の中でかすかに身じろぐあなたの可愛らしかったこと!
王は愚かです。私の思惑通り、私とあなたを同じ運命に導いてくれた。
姉と弟、本来なら交わることの無い運命を、最後の最後に結び付けてくれた。
 
刺客は、思ったよりも早くやってきました。
そしてそれは驚くべきことに、王自身であったのです。
何かに追い詰められているかのような燃える眼差しに、私は王の想いの丈を知りました。
だから、嗤ってやったのです。思い知るがいい、と。私と姉上の、愛の深さを。
最期の記憶は、飛び散る紅い血。姉上と同じ、愛しき我が血。
あの世ですぐにあなたに会えると、そう思っていました。
そして今度こそ、二人で、二人だけの夢の中で眠りにつけると。それなのに……
 
 
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許せなかった。王が、あの男が、あなたの柔肌に触れることが。
たとえそれが、あなたの私を想う心がさせたことであったとしても。
殺される瞬間、私は王に勝ったと思っていました。けれどそれは違いました。
あなたは彼への憎しみに捉われたまま、いつまで経っても私のところへは戻ってこない。
 
あなたは純粋すぎたのです。あなたは本当の私を知らない。
あなたが愛したのは、あの純朴で優しい片輪の弟……!
 
ああ、姉上! 
何もかもお話したい。全ては私が仕組んだことだったのだと。
あなたの死も、娘の不幸も、あの男の不実も、あなたの憎しみの源である私の死さえも……!
全ては、自らが望んだことであったのだと。
私はあなたに罰を乞う。
 
愛するあなた。
私の姉上。
口付け一つで命を落とした、哀れな私の……





ブログ初出2008/6/16
 

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